凛として時雨、『スパイダーマン』最新作吹替版主題歌での挑戦 TK「P.S. RED I」との変化に迫る

凛として時雨『スパイダーマン』主題歌での挑戦

 凛として時雨がダブルAサイドシングル『Neighbormind / laser beamer』を7月3日にリリースする。4月に先行で配信されていた「laser beamer」は、過去にも主題歌を担当しているアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』シリーズの舞台版主題歌。そして、「Neighbormind」は6月28日に世界最速で日本公開となった映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』の日本語吹替版主題歌で、TKはアカデミー賞を受賞したアニメーション映画『スパイダーマン:スパイダーバース』の日本語吹替版主題歌となったソロ作「P.S. RED I」から、2作続けての『スパイダーマン』シリーズへの楽曲提供となる。

 TKが『スパイダーバース』の主題歌を手掛けるきっかけとなったのは、アニメ『東京喰種 トーキョーグール』のオープニングテーマとして2014年に発表した「unravel」の存在が大きい。この曲は原作の知名度とも相まって、海外でも高い評価を獲得し、Spotifyが発表した「2018年 海外で最も再生された国内アーティストの楽曲」で3位にランクイン(参考:『Spotify』2018年間ランキングにみる、世界の音楽シーンの変化とは?)。昨年は『東京喰種 トーキョーグール:re』の最終章のために、2曲目となるオープニングテーマ「katharsis」も提供している。

 人間と、人間を食べて生きる「喰種」の中間となってしまったことに葛藤する『東京喰種』の主人公と、普通の高校生であることとヒーローであることの狭間で苦悩する『スパイダーマン』の主人公には通じる部分も多く、その痛みと繊細さ、強い信念を同時に描き出すTKの楽曲は、作品との相性の良さを感じさせる。「P.S. RED I」発表時にTKが出した「ごく普通の少年が抱いている葛藤やコンプレックス…そういったものをちゃんと自分の中にある葛藤と結びつけて、それをどれだけスパイダーマンの世界と繋げられるか」というコメントも印象的だった。

 TKソロの「P.S. RED I」がシンセを使って強烈な低音を出し、ピアノやバイオリンといった生楽器とのコントラストで主人公の強さと弱さを表現したのに対して、バンドで発表される「Neighbormind」はあくまでTK、345、ピエール中野の3人の演奏が基軸。ゴシックメタル風のリフに始まり、ハイトーンなツインボーカル、怒涛のツーバス、フェイザーを大胆に用いたサイケな音像など、バンドとしての記名性が強い楽曲に仕上がっている。

凛として時雨『Neighbormind』 / 映画「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」日本語吹替版主題歌

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