魔法少女になり隊が生み出す圧倒的カオス感 ジャンルレスに繋がれるエンターテインメントの真髄

ましょ隊が持つ、圧倒的カオス感

 RPG系ラウド/ポップバンド“ましょ隊”こと魔法少女になり隊。知る人ぞ知る存在から、今のライブシーン、バンドシーンのネクストブレイクの一角を担う存在となった彼ら。本稿ではあえて客観的に、ましょ隊のライブにおけるオリジナリティと戦略を再定義してみようと思う。

魔法少女になり隊

 今回のライブは、『ハロウィンに乗っかりな祭~ころもくんの逆襲~』と銘打たれたハロウィンパーティー仕様。会場の代官山UNITの周辺に突如、邦ロックフェスかアイドルイベントが開催されるのか? と思しきファンが集う。その様は着飾った週末の人々が溢れる代官山に違和感を醸し出していて、ある種痛快だ。バンドのTシャツはもちろん、PIZZA OF DEATHやピエール中野Tシャツ、そしてわずかにスーパーマリオなどゲームやアニメキャラのコスプレをしたファンもいて、入場前から不思議な一体感が生まれている。

 ステージ前には幕が張られ、定刻になるとファンにはおなじみ、明治(Gt)の手による脱力系キャラ「ころもくん」が登場し、「奪われたビーフジャーキーの逆襲をする」という筋書きでライブがスタート。白いTシャツで横並びに立つメンバーは、衣装がシンプルなぶん、さらにキャラクターが際立つ。

 魔女の呪いで喋れなくなった火寺バジル(Vo)。歌う際はオートチューンで絶妙に人間味を削いだメカっぽさとそれでも溢れ出るキュートさで、逆境に立ち向かう、前向きな歌詞に説得力を与えている。デスボイスでフロアを煽りつつ、PCで映像を操るせわしない男、gari(Vo)。この2トップ、一般的な男女ツインボーカルとは一線を画すが、パラパラ風の振り付けやダンスでバジルとデュオのように見えるあたりも異様にキャッチーだ。

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