X JAPANは今もドラマを更新し続けるーー“無観客ライブ”決行した一夜を振り返る

X JAPAN、“無観客ライブ”を振り返る

 X JAPANとはつくづく難儀なバンドだ。ここまで運命に翻弄され続けることも稀だが、そういった困難を常にプラスに変えて乗り越えていく。そんな稀有な存在が、またしても奇跡を生み出した。

 X JAPANが9月28〜30日の3日間、幕張メッセ国際展示場1〜3ホールにて『X JAPAN Live 日本公演 2018 〜紅に染まった夜〜Makuhari Messe 3Days』と題した単独ライブを行うことを発表したのは、開催まで約1カ月という8月19日のこと。そんな異例の事態だったにも関わらず、3日間で約10万人予定のチケットは見事完売した。

 そもそも彼らが国内で単独ライブを行うのは今年4月のZepp DiverCity以来だったが、このような大規模の公演となると2010年の日産スタジアム以来8年ぶり。ほんの少し前に、YOSHIKI(Dr/Piano)から長年にわたりファンから切望されてきたニューアルバムのレコーディングがついに終了したという朗報もあっただけに、この3公演にかける思いはファンのみならずYOSHIKIをはじめとするメンバーにも強いものがあったはずだ。

 初日の28日、2日目の29日は問題なく実施された。その様子は筆者も実際に足を運んだ友人を通して聞いていたし、Twitterを通じて流れてくるさまざまな情報から確認できていた。しかし、最終日の30日に関しては当日に大型の台風24号が本州上陸、その影響によるJR京葉線の18時以降の運転見合わせ、ならびにそれ以降の首都圏JR在来線の運転見合わせという前例のない事態を受け、観客の安全を第一に考慮して中止されることに。この中止発表も開場時間の1時間前というタイミングだったこともあり、かなりギリギリまで開催できないか検討したことが伺える。

 しかも、この最終公演はWOWOWメンバーズオンデマンドにて生中継されることも決まっており、単に幕張メッセを訪れた3万3000人のファンだけが対象ではない。それだけに、開催中止を決定するにも慎重だったはずだ。

 しかし、結果はご存知のとおり。すでに幕張に集まったファン、そしてこれから会場へ向かおうとする来場者が無事に帰宅できることを考えれば、この判断は正しかったと断言できる。

 ところが、X JAPAN、いやYOSHIKIはただでは転ばない。中止発表後、YOSHIKIは自身のInstagramにて「悔しくて涙が止まらない。。でもみんなの身の安全が第一です」と無念さを明かしたが、同時に「まもなく代替え案の発表を行う予定です」とアナウンスし、これが前代未聞の「無観客ライブの全編生中継敢行」であることが明かされる。しかも、この生中継はWOWOWメンバーズオンデマンドのみならず、YOSHIKI CHANNELでも急遽生配信されることになった。

 筆者はもともとこのライブに足を運ぶ予定こそなかったものの、この事態に「X JAPANらしいな」とニヤニヤしながら配信を観ることを決意。きっと、台風が間近に迫っていることも大きかったのだろう、変なテンションになっていたことは否めない。

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