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井上陽水は70歳を迎える“いまが旬” バンドサウンドによる全国ツアーファイナル公演

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 井上陽水の全国ツアー『井上陽水 コンサート2018 ROCK PICNIC』のファイナル、Zepp DiverCity TOKYO公演。「北海道の利尻町や山口県の日本海側などにも行きました」(井上陽水)というコメント通り、小さめのライブハウス、ホールなどを中心とした今回のツアーには、井上のライブを支えてきた小島良喜(Key)のほか、田口慎二(Gt)、なかむらしょーこ(Ba)、張替智広(Dr/キンモクセイ)と若手のミュージシャンを起用。生々しいバンドサウンドによって井上陽水の奥深い音楽性を堪能できる、貴重なステージが展開された。

 この日のオープニングは「アジアの純真」。独特のエキゾチズムを感じさせる旋律、サイケデリックな音像が混ざり合い、いきなり井上陽水の音楽世界に引きずり込まれる。さらに軽やかなラテンナンバー「女神」(NHK『ブラタモリ』オープニングテーマ)、歌謡とロックンロールがナチュラルに溶け合う「Make-up Shadow」。古今東西の音楽を自由に行き来しながら、濃密なグルーヴと豊かな歌心を共存させたボーカルを響かせる井上陽水のパワーが会場全体に広がる。一瞬たりともピッチを外さない歌の上手さは言わずもがな。歌の途中、オフマイクで“Whoo!”“Yeah!”と合いの手を入れるのだが、それがすべてハッキリと聴こえる。どんな声量なんだ、一体。

 「4月から始まったこのツアー、今日が最終日でございまして。最後まで誠心誠意務めたいと思いますので、どうぞ楽しんでいってください。と言っても私の曲は不吉な曲が多くございますので(笑)、みなさんが抱えているトラブルや心配事を思い起こさせることもあるかもしれませんが、そこも楽しんでもらえればなと」という粋な挨拶のあとは、「めいっぱいブルージな曲を」と「映画に行こう」へ。井上陽水のギターカッティングに導かれたフォークロック「My House」では田口のギターソロと〈これがロックビジネス/これがフォークセールス/俺の唄も疑わしいわ〉というフレーズが心地よく絡み合う。音数を厳密に抑制したバンドサウンドも絶品。ミュージシャンのセンスは存分に活かされているのだが、決して余分なフレーズは入れず、歌を際立たせることに意識を傾けていることが伝わってくる。バンド全体の音の大きさも丁度良く、めちゃくちゃ聴きやすい。当たり前だが、音はデカけりゃいいってものじゃない。

 軽妙すぎるトークも井上陽水のライブの魅力。「次の曲も”ブラタモリの曲”で……」と「瞬き」(NHK『ブラタモリ』エンディングテーマ)について話し始めたと思ったら「聞き耳を立てられているようですけども……ほら、生きていくのって大変じゃないですか。今日僕がしゃべっていることを記憶に留めて、10年後くらいに“いま本当に大変な状況だけど、あのとき井上さんが言ってた言葉を思い出せば、ひょっとすると乗り越えられるかもしれない”とか、そういう話はしませんから」。当然のように笑いが起きるわけだが、穏やかで美しい「瞬き」が始まった瞬間、スッと音楽の世界に没頭させられる。ラテン、ボサノヴァ、さらに地中海あたりの香りが漂うアレンジも心地いい。

 〈利尻の島で待ってる君に/やっとの思いで会えた〉〈海では昆布も敗けないくらいによろこんでいるよ〉〈泳ぐ熊さん/東へ西へ〉と(ツアーで訪れた)“利尻島バージョン”で「東へ西へ」を挟み「帰れない二人」へ。名盤『氷の世界』(1973年)に収録されているこの曲は、言うまでもなく、忌野清志郎との共作による名曲。70年代のアメリカのフォークロック、ウエストコーストサウンドと日本のフォークソングが有機的に結びついたこの曲は、普遍的としか言いようがない深淵な魅力を放っていた。

 15分の休憩を挟んだ後半は、しなやかなロックンロールナンバー「感謝知らずの女」、フィードバック・ギターと匂い立つような色気をたたえた歌が強烈なインパクトを残した「Just Fitt」でスタート。井上陽水のパフォーマンスも、前半に比べギアが一段上がっている。

      

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