『LUNATIC FEST.』は今年も予測不可能なフェスだったーー“飛び入り参加”多発の2日目をレポート

『LUNATIC FEST. 2018』2日目レポ

BRAHMAN

TOSHI-LOW
KOHKI
RONZI
TOSHI-LOW
MAKOTO
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TOSHI-LOW
KOHKI
RONZI
TOSHI-LOW
MAKOTO
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 民族的なSEをバックにMOTHER STAGEに登場したのはBRAHMANとSUGIZO。いきなりの飛び入りに歓声があがるなか5人での「初期衝動」でライブは幕を切って落とす。「一瞬にして、ジャンルの壁なんてぶち壊せんだ。20年前、10年前、知ったこっちゃねぇよ。大事なのは今ここ。LUNATIC FEST.、BRAHMAN始めます」というTOSHI-LOW(Vo)の挨拶を合図に「賽の河原」「SEE OFF」とハードコアナンバーを立て続けにお見舞いし、「ANSWER FOR…」で客席に立ったTOSHI-LOWはオーディエンスの上に立ったまま「鼎の問い」を歌い上げた。

 そして、東日本大震災の追悼の場で出会って、仲を深め、約束を果たしたSUGIZO。そこで生まれた絆は続き、「満月の夕」(ソウル・フラワー・ユニオン)のコラボレーションで結実する。TOSHI-LOWの歌とSUGIZOのバイオリン、10年前では考えられなかった音楽とは関係ないところで繋がった縁は“鎮魂歌”となってオーディエンスの心を揺さぶった。そして今回の『LUNATIC FEST.』において異端の存在であったBRAHMANは最後までBRAHMANらしく、「真善美」で〈さあ幕が開くとは終わりが来ることだ/一度きりの意味をお前が問う番だ〉とオーディエンスに叩きつけ、TOSHI-LOWが手放したマイクがステージに落ちる音とともに幕を閉じた。

LOUDNESS

二井原実
山下昌良
高崎晃
LOUDNESS
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二井原実
山下昌良
高崎晃
LOUDNESS
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 狂おしき奇跡のフェスも終盤戦を迎え、MOON STAGEに登場したのはジャパンヘヴィメタルの雄・LOUDNESS。今年約4年ぶりにオリジナルアルバムを全世界同時にリリースし、再び世界制覇に乗り出したLOUDNESSは、まさしく世界基準の音と音圧でライブを展開、新作『RISE TO GLORY -8118-』から「Soul on Fire」「I’m Still Alive」を披露した。続く「CRAZY NIGHT」では二井原実(Vo)の自慢のハイトーンボイスを響かせ、短い期間ではあったがLOUDNESSに在籍していた元Xの沢田泰司がいた頃の楽曲でもある「BLACK WIDOW」では高崎晃(Gt)と山下昌良(Ba)のユニゾンに酔いしれた。残り2曲、「CRAZY DOCTOR」でのクラシカルなギターソロ、ラストを飾った「S.D.I」ではボスハンドでのタッピングと、高崎のギターにただただ圧倒されるしかなかった。圧倒的な存在感と、耳鳴りがするほどの音圧と余韻を残して彼らは『LUNATIC FEST.』を後にした。

YOSHIKI

YOSHIKI
YOSHIKI
YOSHIKI
YOSHIKI
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YOSHIKI
YOSHIKI
YOSHIKI
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 残り二組となりMOTHER STAGEに現れたのはYOSHIKI。本来であればX JAPANとして出演する予定だったと本人は話したが、今回はストリングス隊を携え、クラシカルスタイルでの出演となった。ゆっくりと「MOONLIGHT SONATA」を奏でると、スクリーンにHIDEの映像が流れ、ピアノの伴奏が始まると、そこに乗ったのはHIDEの声だった。没後20年となる2018年にHIDEがYOSHIKIの伴奏で「HURRY GO ROUND」を歌ったのだ。ただ、これはまだ奇跡の序の口で、続く「Say Anything」ではSUGIZOがバイオリンを、TERU(GLAY)が歌を担当し、「HIDEさんに届けましょう」というTERUの声にオーディエンスも一緒に歌を届けた。さらには「KURENAI」をRYUICHIが歌い上げ、30年一緒にいてYOSHIKIのピアノで歌うのは初めてだと語った。

 そして極め付けは先程のメンバー、そしてMUCCの逹瑯とミヤを呼び込み、即興で「X」をプレイ。この奇跡のセッションに逹瑯は「中学生の頃の自分に会えるならば、あえて呼び捨てで、お前この先頑張るとYOSHIKIとTERUとRYUICHIとSUGIZOと、お前がこれから組むバンドのギターと一緒にステージ立てるぞ」と言ってあげたいと興奮気味に話した。「仲間っていいね」と噛み締めたYOSHIKIは「親愛なるHIDEとTAIJIに捧げます」と「Without you」を演奏し、最後は「ENDLESS RAIN」の大合唱を以ってステージを去った。

LUNA SEA

SUGIZO
RYUICHI
J
INORAN
真矢
LUNA SEA
LUNA SEA
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SUGIZO
RYUICHI
J
INORAN
真矢
LUNA SEA
LUNA SEA
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 残るはこのフェスの“首謀者”であるLUNA SEAのみとなった。待ちきれないオーディエンスが手拍子を始めるとSEの「月光」が流れ、「LOVELESS」でライブは幕を開けた。「お前ら盛り上がっていこうぜ!」というRYUICHIの声と共に始まった「ROSIER」ではJが間奏でマイクスタンドにブレーンバスターをお見舞いし、盛り上がりは早くも最高潮に達する。この二日間をみんなが馴れ合いではなく本気でやっているのが伝わってきたとRYUICHIが振り返り、本気のお返しとばかりに「Dejavu」、真矢のドラムに合わせてハンドクラップが巻き起こった「誓い文」を披露。そして、YOSHIKIのピアノを伴奏に「I for You」をセッションしたのはこの日一番のハイライトでもあった。

 また、SUGIZOのカッティングが心地いいLUNA SEA流ファンクの「BLACK AND BLUE」では、結成29周年を迎えたレジェンドが今持つエネルギーの強さ、さらにその先にある未来を感じることができた。彼らはここからラストスパートと言わんばかりに「PRECIOUS…」、「TONIGHT」を投下。INORANは感情を爆発させ、いよいよ二日間にわたった狂おしき奇跡のフェスも最後の瞬間を迎える。最後はやはり「WISH」で無数の銀テープが舞い、大歓声のなか幕を閉じた。

 アンコールでは初日同様に出演者に加え、会場に来ていたDIR EN GREYの薫(Gt)とShinya(Dr)、急遽3日前にオファーを受け駆けつけた元SIAM SHADEの栄喜を交えて「STORM」の大セッションとなった。憧れの先輩とのセッションに目を輝かせる者や、これまで共演することがなかった者同士が肩を並べる姿は彼らに用意されたご褒美のように思えたと同時に、観る者にとっても贅沢なひとときであった。

 こうして二回目となる『LUNATIC FEST.』は幕を閉じた。前回に比べて、横の繋がりを感じるラインナップであったが、私が見た二日目に焦点を当てれば、どのアーティストにも様々なバックグラウンドや過去がありながら、今をどう生きて、その先の未来を望むものへ変えていくのか、を胸に抱きながらしっかりと前を向いて今を生きていることを感じられる面々であったと思う。それはホストであるLUNA SEAの今を表す最新アルバム『LUV』の持つポジティブな雰囲気にジャンルや世代を飛び越えて引き寄せられたといっても過言ではなく、そんな彼らの未来がより良いものになることを願うとともに、彼らを待つ未来には光が溢れていると確信できる一日であった。

■オザキケイト
平成元年生まれの音楽ライター。ヴィジュアル系を中心にライブレポートやコラムを執筆している。「Real Sound」や「ウレぴあ総研」、その他バンドのプレスリリースにも寄稿。
ツイッターアカウント:@lellarap__

■放送情報
『LUNATIC FEST. 2018 ~SPECIAL EDITION~』
8月19日(日)午前11:00[WOWOWライブ]

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