BRADIO、藤井丈司と組んで再確認した“バンドの強み” 「武器はファルセットとグルーヴ」

BRADIO×藤井丈司対談

「目標としていたことは、一通り決まった」(真行寺)

――貴秋さん。今回のアルバムの、個人的な達成感についてはどうですか?

真行寺:今回目標としていたことは、一通り決まったなという感じはあります。スキャット、ドゥーワップ、ラップとか、やりたいなと思っていたことが形にできたなと。

――声のバリエーションはすごいです。コーラスの厚みもとんでもない。

藤井:あの作業、飽きるんだよね。

大山:藤井さん、途中でいなくなっちゃうんだもん(笑)。

藤井:だって、同じ声をずーっと重ねるんですよ。誰かほかの人に歌ってもらう? っていう案もあって、デモでやってもらったんだけど、やっぱり全然違う。はっきり言って良くないんですよ。BRADIOじゃなくなっちゃう。やっぱり貴秋が全部重ねたほうがいいんだと思いましたね。

真行寺:でも意外と、俺が全部歌ってるって気づかれてないんですよ。

――1曲目「Funky Kitchen」のイントロから、多重コーラスが炸裂してますからね。聴きどころです。

藤井:「Funky Kitchen」は本当に成功しましたね。大成功。貴秋は細かい歌い回しがうまいんですよ。それができるかどうかがすごい大事だって、僕は大瀧詠一さんに教わったんです。「声じゃないんだ、歌い方なんだ」って。歌い方がその人らしく細かいところまで決められているか。それが一番大事なところで、人に受け入れられるかどうかもそこで決まるんだって。大瀧さんが「ミスター・ムーンライト」と、エルヴィス・プレスリーの曲を目の前で歌ってくれたことがあって、本当にうまかった。それと同じように、細かいところまで貴秋はできてるなと思う。……こいつらの前でほめるの、恥ずかしいですね。

真行寺:うははははは。

藤井:まあ、けなすよりいいけどね。でも僕は本当にそう思ってます。

――今、大瀧詠一と真行寺貴秋が並びましたよ。

真行寺:並んでないですよ! すごすぎる方ですよ。

藤井:レコーディングする時に、細かい歌い方がちゃんとできてるから、何も言うことがない。

――亮輔さんは今作を作った手応えは?

酒井:シングルカットした曲以外は、全体的にニューヨーク・サウンドというか、都会的なイメージをすごく持ってたんですね。田舎者なんで、都会へのあこがれがあるのと、ドラムのヤスがニューヨークにいたことで、最先端のサウンドに影響を受けたこともあって。シングルになった「LA PA PARADISE」と「きらめきDancin’」は古い感じの音を持ってくるコンセプトがあって、それもすごく良かったんですけど、自分が一番やりたいことはアルバムの曲でうまく出せたと思います。結果、いなたすぎずにキラキラした方向に持って行けたので、ちょっと自信がつきました。

――ベース聴いてるだけで、ご飯おかわりできます。

酒井:今まではきれいに弾こうとしてたんですけど、今回は生のグルーヴを大事にしていて、合ってないところは合ってないし、そんなに丁寧ではないんですけど、雑さの中に良さがあるというところもパッケージできたかなと思います。

藤井:そういう意味ではメジャーデビューアルバムのタイミングで、偶然ではあるけど、ここで初めてBRADIOというバンドが出来上がったのかもね。レコーディングしててもすごく楽しそうだったし。

――肯定の要素しかないですね。まさに『YES』。

大山:アルバムタイトルはみんなで話し合って決めました。レコーディングの雰囲気もすごく良かったし、よっしゃ! という瞬間もいっぱいあったし、そのパワーをそのままパッケージしたタイトルにしたかったので。

藤井:「起きたことをすべて肯定したい」と言ってたよね。いいなあと思った。

――藤井さん、BRADIOはこれから、どんなバンドになっていくとうれしいですか。

藤井:これだけ黒人音楽にこだわるバンドって、なかなかいないと思うんですよ。今の世界のポップスって、黒人、白人、ヒスパニックとかの垣根がなくなってきて、どこの国も同じ音楽になってきてる。それはYouTubeやSpotifyの影響なんだろうけど、聴く人の国のエリアがなくなってきてると思っていて。僕はいつも世界のポップスを見ながら、日本のポップスをどうやって作ろうか? と思っていて、なるべくそれが重なることを考えて作ってるんですね。そういう意味で、BRADIOの音楽は80年代、90年代の黒人音楽がベースになっていて、それが明確に表現されている。だからこそそこに日本語の歌が重なって、みんなに届けられるポップスになってくれたらなと思ってます。それは絶対できると思ってます。激励の言葉でした。

大山:ありがとうございます。今はバンドとしてすごくいい感じで、意欲的なので、やれることをどんどんやっていきたいですね。いいアルバムができたし、ツアーもありますし、その先の新作の話も当然出てくると思いますし。12曲に収まりきらないアイデアもいっぱいあるので、いろいろ試したいなと思ってます。

(取材・文=宮本英夫/撮影=山田将史)

■ リリース情報
『YES』
7月4日(水)
初回限定盤(CD+DVD)¥4,104(税込)
通常盤(CDのみ)¥3,240(税込)

<収録曲>
M1. Funky Kitchen
M2. スキャット・ビート
M3. Sexy Lover
M4. Boom! Boom! ヘブン
M5. きっと遠く キミともっと遠く
M6. Sparkling Night
M7. Shout To The Top
M8. きらめきDancin’
M9. INAZUMAジャケット
M10. Feel All Right
M11. 人生はSHOWTIME
M12. LA PA PARADISE

<DVD収録内容>※初回限定盤のみ
シングル「きらめきDancin'」購入者限定イベント『きらダン・ナイト@東京』のライブ映像を収録

■ツアー情報
『YES Release tour 2018~ORE to OMAE de BOOM BOOM BOOM~』

ツーマン公演
9月8日(土)熊本県 B.9 V1
w/UNCHAIN
9月9日(日)鹿児島県 CAPARVO HALL
w/UNCHAIN
9月15日(土)京都府 KYOTO MUSE
w/OKAMOTO’S
9月16日(日)鳥取県 米子 AZTiC laughs
w/OKAMOTO’S
9月22日(土)高知県 X-pt.
w/Creepy Nuts
9月23日(日・祝)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
w/夜の本気ダンス
9月29日(土)岩手県 Club Change WAVE
w/感覚ピエロ
9月30日(日)福島県 郡山 CLUB #9
w/感覚ピエロ
10月6日(土)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
w/UNISON SQUARE GARDEN
10月8日(月・祝)石川県 金沢EIGHT HALL
w/グッドモーニングアメリカ
10月13日(土)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
w/BLUE ENCOUNT
10月14日(日)群馬県 高崎club FLEEZ
w/BLUE ENCOUNT

ワンマン公演
10月20日(土)広島県 広島CLUB QUATTRO
10月21日(日)香川県 高松MONSTER
10月27日(土)福岡県 DRUM LOGOS
11月3日(土・祝)新潟県 NIIGATA LOTS
11月4日(日)宮城県 darwin
11月10日(土)北海道 札幌PENNY LANE24
11月16日(金)愛知県 DIAMOND HALL
11月18日(日)大阪府 なんばHatch
11月22日(木)東京都 NHKホール

『エイリアンサーカス 2018』
6月15日(金)北海道 PENNY LANE24
w/SCOOBIE DO
6月22日(金)福岡BEAT STATION
w/鶴
7月17日(火)東京 LIQUIDROOM
w/ORIGINAL LOVE

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