三代目JSB、ソロ作が示す“未来” CRAZYBOY、RYUJI IMAICHI、HIROOMI TOSAKA、それぞれの音楽性

三代目JSBソロ作を分析

HIROOMI TOSAKA

 R&Bならではの繊細な歌唱表現を得意とするRYUJI IMAICHIに対し、HIROOMI TOSAKAは最先端のダンスミュージックと日本語詞の融合にチャレンジしている。ある意味、三人の中ではもっとも三代目JSBに近いアプローチといえそうだが、HIROOMI TOSAKAの場合はさらに先鋭的なリズム表現を追求しているところがポイントだ。

 特筆すべきは、全曲がオランダの世界的DJ/プロデューサーのAfrojackと共作を行なっているところだろう。Afrojackは、2010年代のEDMムーブメントを牽引した人物で、キャッチーな歌モノと狂騒的なシンセサウンドを組み合わせる独自のセンスと、フロアを確実に熱狂へと誘う展開力が高く評価されている。近年では、その音楽性を活かしながらトラップミュージックを手がけることも多く、ポストEDMともいえるサウンドを構築している。

 HIROOMI TOSAKAの楽曲群は、アムステルダムにて共同制作。第一弾シングル『WASTED LOVE』では、緊張感のある展開と、サビをインストゥルメンタルにする“音サビ”で、リスナーたちを驚かせた。続く『DIAMOND SUNSET』は、流行のトロピカルテイストを取り入れたチルアウトにぴったりな楽曲で、ミドルテンポのグルーヴとそれに合わせた譜割りが心地いい仕上がり。第三弾となる『LUXE』では、盟友CRAZYBOYとフィーチャリング。ダークで退廃的なサウンドを響かせたスリリングな一曲で、おそらくHIROOMI TOSAKAがもっとも挑戦したかった表現になっているのではないだろうか。

 本作を制作するにあたり、HIROOMI TOSAKAとAfrojackは歌詞をどうするべきか、議論を重ねたという。その結果が、無理のない日本語の発声でありながら、ダンスミュージックならではのグルーヴを感じさせる歌唱に繋がっているのだろう。Afrojackにとっても、日本語の響きをいかにダンスミュージックに落とし込んでいくのかは、大きな課題だったに違いない。

 日本のダンスミュージックの進化を占ううえでも、HIROOMI TOSAKAとAfrojackの実験的な取り組みは、興味深いものといえるだろう。

振り切った表現が三代目JSBをネクストレベルへ

 こうして分析すると、CRAZYBOY、RYUJI IMAICHI、HIROOMI TOSAKAの三人は、それぞれの方法論でそのジャンルの最も尖った部分に挑み、J-POPの新たな可能性を切り拓いていこうとしているように見える。三代目JSBは、すでに国内の音楽シーンでトップを獲った存在であり、だからこそ自己更新するためには、世界基準を視野に入れた活動を展開していく必要があるのだろう。『FUTURE』と題された本作には、文字通り日本の音楽シーンの未来が描かれているのかもしれない。

(文=松田広宣)

三代目J Soul Brothers『FUTURE』

■配信情報
三代目J Soul Brothers「恋と愛」
配信開始:5月9日(水)
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