JUNNAが見せた“表現の幅広さ”と“伸びしろ” 2度目のワンマンツアーを振り返る

JUNNAが見せた表現の幅広さと伸びしろ

 ライブ本編はタオル曲「Catch Me」で一体感を生み出して終わったが、当然アンコールの声が巻き起こり、再びステージに舞い戻ったJUNNAは、ここで意外にしてスペシャルな楽曲、ワルキューレの「涙目爆発音」を投入する。ワルキューレではカナメ・バッカニアのメインボーカル曲として知られるこの楽曲、通常はカナメΔ安野希世乃、レイナΔ東山奈央、マキナΔ西田望見の3人編成で歌われるので、JUNNAがステージで披露するのはこれが初。振り付けやラストの<泣け!>のフレーズも含め完コピでバッチリ決めてみせ、MCでも「本当にずっとずっと歌いたかった曲」と喜びを爆発させていた。

 ここでアコギが運び込まれ、なんとJUNNAが弾き語りに挑戦。ツアータイトルの「〜I'm Here〜」にふれて、自分がどのようにしてこのステージに立っているのかをファンのみんなに直接伝えたかったという彼女は、ワルキューレのオーディション時に自由曲として歌ったRCサクセション「スローバラード」を、このライブで歌いたかったのだという。ピンスポットに照らされて、やや拙いながらも気持ちのこもったギターストロークと共に歌う彼女は、まるで60〜70年代のフォークシンガーのような風情。自身の憧れの存在であるSuperflyのカバーをきっかけに知ったという選曲も込みで、彼女の音楽的なルーツとこの先の可能性を同時に垣間見られるようなパフォーマンスだったように思う。

 そして最後に披露されたのは、Superflyでもお馴染みの多保孝一が提供したソロ曲「Shooting Star」。エレピの軽やかな音色とバンドの柔らかなグルーヴが形成するサウンドは開放感に溢れており、フォーキーかつソウルフルな風合いと歌詞の前半が英語ということも相まって、70年代のキャロル・キングにも通じる魅力がある。お客さんも自然と手拍子を合わせながら楽曲に身を委ね、会場中がピースフルな空気に満たされたままライブは終了した。

 JUNNAはアンコール中のMCで「本当に粗削りだし、何も完成していない私を、みんなが求めて遊びにきてくれることは自信になります」と語っていたが、逆に言うと、まだ十代にしてここまで表現の幅が広く、熱狂を生み出せるパフォーマンスをしながらも、そこに伸びしろを感じさせるのだから驚異的だ。7月には2018年夏スタートのTVアニメ『ロード オブ ヴァーミリオン 紅蓮の王』の ED主題歌となる2ndシングル『紅く、絶望の花。』のリリースも控えており、彼女が“Here”からどんな地平まで到達してくれるのか楽しみでならない。

■北野 創
音楽ライター。『bounce』編集部を経て、現在はフリーで活動しています。『bounce』『リスアニ!』『音楽ナタリー』などに寄稿。

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