Fear,and Loathing in Las Vegasは独立独歩で突き進む 前例なしの音楽性&活動スタンスを考察

FALiLV“前例なし”活動スタンス紐解く

 ラスベガスがシャウトやブレイクダウンを積極的に盛り込んでいるのはスクリーモの影響が大きいと思われるが、そこにエレクトロ/ダンスミュージックの享楽性やパーティー感を飾りではなく、己の肉体の中に取り込んで手足をごとく操るアウトプットの仕方が他とは一線を画している要因だろう。生演奏と電子音を差別化せず、ライブハウスで暴れて騒げる最大級のサウンドとして表現することに全身全霊を注いでいる。そこに尽きるのではないか。

 そして、アーティスト写真やMVなどのクリエイティブ面にも触れておきたい。一度目にすれば、「あ~、ラスベガスだ!」とわかる鮮烈なイメージがある。ライブでも使用しているレーザー光線のごとく、蛍光色のギラギラしたエネルギーに満ちたMVが多いのが特徴だ。青空の下で撮影された一風変わったMVもあるものの、基本はメンバー6人の演奏シーンと極彩色のスペーシーな映像が多い。そのイメージ戦略もラスベガスの音楽性と見事にマッチしている。多くのMVは、YouTubeでの再生回数が1000万回を超えており、この数字は日本のバンドシーンの中でも特筆すべき点だろう。さらに今作もそうだが、音源にまつわる本人による取材稼働もこの10年間に渡ってほぼ行われていない。にもかかわらず、ラスベガスの名は、とどまることなく広がり続けている。

Fear, and Loathing in Las Vegas - Keep the Heat and Fire Yourself Up

 音楽性、イメージ戦略、インタビューの本人稼働がない状態で、幕張メッセ公演まで辿り着いたアーティストがほかにいるだろうか。それを考えても、ラスベガスがいかに独自な活動スタンスを掲げながら、多くのファンを獲得し続けていることに驚かざるを得ない。ライブでタガが外れたように観客が大熱狂するのは、こういう様々な要因が折り重なっていることと無関係ではないだろう。

■荒金良介
99年からフリーの音楽ライターとして執筆開始。メタル/ラウド/パンク/ミクスチャーなど激しめの音楽を中心に、雑誌/WEBを軸に書いてます。今年、自分が音楽を聴くきっかけになった漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の作者・荒木飛呂彦先生に六本木で偶然すれ違い、心臓が飛び出るほどビックリしました。その昔、荒木先生が少年『ジャンプ』の作者一言コメント欄で、レッド・ツェッペリンをお薦めしてて、それをきっかけに今では音楽ライターをやっています。人生はわからないものです。

■リリース情報
『Greedy』
2018年5月2日(水)
初回生産限定盤A(CDシングル+DVD)¥1,800(税込)
初回生産限定盤B(CDシングルのみ)¥1,200(税込)

<CD収録内容> 
・Greedy
・Keep the Heat and Fire Yourself Up
・Treasure in Your Hands
全3曲収録

<DVD収録内容>
ツアーオフショット映像収録

■ツアー情報
10月5日(金)金沢EIGHT HALL
10月7日(日)仙台GIGS
10月12日(金)静岡UMBER
10月13日(土)Zepp Nagoya
10月18日(木)福岡BEAT STATION
10月20日(土)大分T.O.P.S Bitts HALL
10月27日(土)周南RISING HALL
10月31日(水)札幌PENNYLANE24
11月9日(金)盛岡CLUB CHANGE WAVE
11月10日(土)石巻 BLUE RESISTANCE
11月15日(木)京都MUSE
11月16日(金)高松MONSTER
11月22日(木)新潟LOTS
11月23日(金)富山MAIRO
11月28日(水)広島CLUB QUATTRO
11月30日(金)岡山CRAZYMAMA KINGDOM
12月5日(水)新木場STUDIO COAST
12月6日(木)Zepp Osaka Bayside

Fear, and Loathing in Las Vegasオフィシャルサイト

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