SUPER BEAVER、“一対一の対峙”続けて辿り着いた日本武道館 過去と現在をつなぐ名演を見て

SUPER BEAVER武道館での“名演”を見て

(撮影=青木カズロー)

 会場のそこかしこからすすり泣く声が聞こえるなか、始まったのは「ありがとう」。柳沢がイントロのギターを少し弾くとその音が止み、静寂に包まれる武道館に「少しも当たり前だと思ってませんので!!! これからも宜しくお願いします!!!」と渋谷の肉声が響き、拍手に包まれる中メンバーは深々と頭を下げた。私はこの日の「ありがとう」を一生忘れないと思う。それくらい心を揺さぶられる演奏だった。続く本編ラストに演奏された「愛する」を含めて、SUPER BEAVERから“あなた”と“あなた”の大切な人たちに向けた最大級の愛の歌。自分の周りにいる大切な人たちひとりひとりに会いに行って抱き締めたくなるような、そんな多幸感に溢れた本編の締めくくりだった。

 アンコールでは6月にリリースされる約2年ぶりのフルアルバム『歓声前夜』と、それを掲げたバンド史上初の全国ワンマンツアーについて告知された。ツアーファイナルのShibuya eggman公演について、渋谷は「俺たちは腐ってもライブハウスのバンドなのでライブハウスに帰ります」と話すと同時に「もっとでかいところも考えてるんで安心しといてください」と、ファンを期待させた。また、『歓声前夜』から新曲「ラヴソング」もいち早く披露。<あなたが幸せでありますように>という歌詞が印象的な朗らかな楽曲だった。

(撮影=鈴木公平)

 「これからもあなたたちでなくてあなたに歌うバンドでいたいと思います」と改めて挨拶し、続けて喋ろうとするも感極まり言葉を詰まらせる渋谷。「今日をゴールにしないために絶対に泣かないって決めてんだ」と涙をこらえながら残り2曲。「それでも世界が目を覚ますのなら」では<ユメカラサメタクナイ>と終わりを惜しむように歌う。そして、この夢のような時間の最後に見せてくれたのは金色の紙吹雪が舞う「素晴らしい世界」だった。<素晴らしい人生と 素晴らしい世界だと笑うにはさ 独りでは意味がない わかってるかい あなたがいなきゃ意味ない>という最後のサビでは、渋谷の歌と柳沢のコーラスがひと際力強くなった。

 誰しもの一秒先の未来に歓びがある保障はない。それでも、彼らは前に進み続ける。真っ暗な一秒先の未来を素晴らしい世界にするために、これからもSUPER BEAVERは“あなた”と向き合い、手を取り、当たり前で特別な日々を生きていく。

(撮影=鈴木公平)
(撮影=青木カズロー)
(撮影=日吉"JP"純平)
(撮影=日吉"JP"純平)
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(撮影=鈴木公平)
(撮影=青木カズロー)
(撮影=日吉"JP"純平)
(撮影=日吉"JP"純平)
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■オザキケイト
平成元年生まれの音楽ライター。ヴィジュアル系を中心にライブレポートやコラムを執筆している。「Real Sound」や「ウレぴあ総研」、その他バンドのプレスリリースにも寄稿。
ツイッターアカウント:@lellarap__

■セットリスト
SUPER BEAVER『都会のラクダSP at 日本武道館』
2018年4月30日(月・祝)日本武道館

1.美しい日
2.証明
3.うるさい
4.正攻法
5.ファンファーレ
6.らしさ
7.赤を塗って
8.→
9.361°
10.歓びの明日に
11.27
12.人として
13.シアワセ
14.青い春
15.東京流星群
16.秘密
17.ありがとう
18.愛する
<ENCORE>
19.ラヴソング(新曲)
20.それでも世界が目を覚ますなら
21.素晴らしい世界

SUPER BEAVERオフィシャルサイト

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