THE RAMPAGEは音楽シーンのど真ん中で大暴れするーーグループの革新性を考察

THE RAMPAGEの革新性

 THE RAMPAGE from EXILE TRIBEは、その名の通り音楽シーンのど真ん中で“大暴れ”するグループになるーー3月28日にNHKホールで開催された、初単独ライブツアー「GO ON THE RAMPAGE」の東京公演は、そう確信させるに十分なほどの強いインパクトがあった。ハイスキルなソロダンスから幕を開け、息つく間もなくデビュー曲「Lightning」のパフォーマンスへと繋げる完璧な流れ。16人体制による壮大なフォーメーション・ダンスを見せつつ、3人のボーカルが時にラップパートを交えながら次々とマイクリレーで歌い繋ぐスタイルは、まさに唯一無二である。本稿では、そんなTHE RAMPAGEがいかに革新的なダンスボーカルグループであるかを、音楽性、ダンス、EXILE TRIBEにおける位置づけという三つの視点から読み解いてみたい。

先鋭的かつポップな音楽性

 THE RAMPAGEの楽曲の新しさは、常に最新の洋楽のトレンドを取り入れつつも、J-POPのキャッチーなメロディセンスを落とし込んだ独自のシンギング・ラップを3人ボーカル体制で実現したことによって、ジャンルレスな音楽性を築き上げた点にある。

 たとえば、デビュー曲の「Lightning」のトラックは、メジャー/アンダーグラウンドを問わずにヒップホップシーンに確かな足跡を残してきたビート職人・SKY BEATZによるもので、エレクトロの要素をふんだんに取り入れたサウンドは、現行のUSヒップホップにも引けを取らない迫力がある。この攻撃的なトラックの上で、川村壱馬、RIKU、吉野北人といういずれも個性的なボーカリストが、ラップ混じりのリズミカルなボーカルを次々と披露するのである。ヒップホップとJ-POPが融合した楽曲は、今や珍しいものではないが、THE RAMPAGEのようなスタイルはこれまでになかったものだろう。

 続く2ndシングル曲「FRONTIERS」では、BPMを一気に120オーバーまで早めたビートに、ディストーションギターを効かせたサウンドで、前作で見せたTHE RAMPAGEならではのスタイルをさらに明確にしてみせた。3rd「Dirty Disco」では一転、ディスコミュージックを現代的に再解釈したファンキーかつ華やかな楽曲で新たな一面を見せたかと思えば、4th「100degrees」では原点回帰するかのようなヒップホップのビートの上で、R&Bシンガー・JAY’EDによるリリックを勇壮に歌い上げ、そのスタイルを完全に確立した。

 4月25日にリリースされたばかりの新曲「Fandango」もまた、洋楽のトレンドを押さえた楽曲で、今回はラテン・ミュージックのテイストが注入されている。〈歌い狂う〉〈踊り狂う〉との意味が込められた同曲は、エキゾチックなサウンドもさることながら、粘りつくようなフロウも特徴的で、アダルトな色気さえ漂う仕上がりだ。

THE RAMPAGE from EXILE TRIBE / 「Fandango」 (Music Video)

16人体制による圧巻ダンスパフォーマンス

 THE RAMPAGEはEXILE TRIBEのグループらしく、ハイスキルなダンスパフォーマンスを得意としているのだが、特筆すべきはその人数である。16人のメンバーが次々とフォーメーションを変えながら、コンビネーションも交えつつ繰り広げる複雑な群舞は圧巻で、ストリートダンスの新たな可能性さえ感じさせる。また、真剣に踊っていたと思ったら、突然おふざけ的なコミカルな動きを披露することもあり、そのギャップに笑わせられる。シンプルで大きな振りを、ユニゾンで見せられた時には、その大迫力に気圧されそうにさえなる。

 LDHが運営する総合エンタテインメントスクール「EXPG STUDIO」の出身者が多いTHE RAMPAGEのメンバーには、若くしてベテランダンサー並みのスキルを持つものも多い。また、メンバーそれぞれに得意なダンスのジャンルが異なっているのも特徴で、たとえば陣はポッピング、LIKIYAはR&B、武知海青はクランプ、といった具合だ。ライブでは、この得意ジャンルの違いを活かし、各メンバーが様々なスタイルで競い合うダンスバトルも披露されている。人数の多さ、その多様性によって表現の幅を広げられるのも、THE RAMPAGEの強みである。もちろん、一人ひとりのメンバーがどんなパフォーマンスを得意としているのかを掘る楽しみもあり、知れば知るほど楽しくなっていくも、このグループの大きな魅力である。

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