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THE PINBALLS、時代に捉われないバンドスタイル シンプルさで勝負するクリエイションに迫る

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 時代がようやくTHE PINBALLSに追いついた……4月25日発売のニューシングル『Primal Three』を聴いて、そう感じたロックファンは少なくないのではないか。2011年の1stミニアルバム『ten bear(s)』から彼らのサウンドに触れてきた身としては毎回少なからずそう感じていたが、特に今回のシングルはそう強く実感させるだけの説得力に満ち溢れている。

THE PINBALLS Major 1st single『Primal Three』trailer

 THE PINBALLSはある種、不遇のバンドだった。古川貴之(Vo)、中屋智裕(Gt)、森下拓貴(Ba)、石原天(Dr)の4人で2006年に結成、現在までメンバーチェンジなく活動を続けているという点においては好調のように見えるが、彼らが全国流通作品を初めて発表したのは先のミニアルバム『ten bear(s)』なので、結成から約5年が経過している。さらに、メジャー初音源となるミニアルバム『NUMBER SEVEN』の発売は2017年12月なので、初めて全国流通作品をリリースしてから約7年後、結成から数えると約11年という歳月を要している。

 だからといって、メジャー移籍までの7年でTHE PINBALLSのサウンドが大きく変化したのかというと、そんなことはない。60年代のブリティッシュビートやガレージロックをルーツに持つTHE PINBALLSのバンドサウンドは、決して新しいものではないし、昨今のロックフェスで数万人のオーディエンスを熱狂させるタイプのバンドとも異なる。その泥臭くて重心が低いバンドサウンドと、ポップでキャッチーさの強いメロディ、古川によるファンタジックで物語性の強い歌詞は現在まで一貫したものがある。地道な下積みを言ってしまえば簡単だが、この7年、いや、結成から現在までの約12年という期間が彼らに十分な説得力と重みを与えたのだ。

 その重みからは、多彩さと手軽さで勝負するファミレスではなく、素材の味にこだわった老舗と同じものを感じる。筆者が以前彼らにインタビューをした際、古川は現在的なバンドと自身のサウンドとの比較において「『ラーメン二郎の全部乗せ』より『1杯のかけそば』に魅力を感じる」と語ったことがあったが、無駄を削ぎ落としたシンプルさで勝負するからこその魅力が間違いなくTHE PINBALLSの楽曲には存在しているのだ。

 そして、このバンドの大きな魅力のひとつに、古川が書く歌詞が挙げられる。現実離れしたその内容は、自身の内面を吐露する独白系歌詞とも、聴き手の共感を誘うようなものとも違い、どこかおとぎ話のようで映画や小説を音楽で追体験するような感覚を受ける。そういった意味では聴き手を限定することなく、誰もが入っていきやすい世界観ではないだろうか。

 以前、歌詞について尋ねたときに古川は「歌詞が説明的な曲よりも、その言葉の美しさが際立った曲が好き。自分でもそういう歌詞を書きたいと思っているし、そういう歌詞じゃないと書いていてもつまらないと思ってしまう。だからすごくシンプルなんですけど、美しい言葉で歌いたいと常に心がけている」と語っていたが、そのルーツにあるのが浅井健一や甲本ヒロトと知ると納得できるのではないだろうか。

      

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