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アーティストが語る“ミュージックヒストリー” 第二十二回:PORIN(Awesome City Club)

ネーネーズ、チャットモンチー、Grimes……Awesome City ClubのPORINが影響を受けた音楽

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 隔週木曜日の20時~21時にInterFM897でオンエアされているラジオ番組『KKBOX presents 897 Selectors』(以下、『897 Selectors』)。一夜限りのゲストが登場し、その人の音楽のバックボーンや、100年後にも受け継いでいきたい音楽を紹介する同番組では、ゲストがセレクションし、放送した楽曲をプレイリスト化。定額制音楽サービスKKBOXでも試聴できるという、ラジオと音楽ストリーミングサービスの新たな関係を提示していく。3月15日の放送には、14日に最新EP『TORSO』をリリースしたばかりのAwesome City ClubからPORINが登場。“自身が影響を受けた音楽”と“100年後に残したい音楽”を紹介する。今回はそのプレイリストから彼女の音楽性を掘り下げるべく、同回の収録現場に立ち会った模様の一部をレポートしたい。

ネーネーズ「平和の琉歌」

 PORINがまず自身のルーツとして挙げたのは、ネーネーズ「平和の琉歌」(アルバム『明けもどろ~うない〜』収録)。1996年にサザンオールスターズの桑田佳祐が書き下ろした楽曲をカバーしたもので、沖縄の基地問題を歌った一曲だ。PORINは幼少期の頃、毎年沖縄に行っており、毎回ネーネーズのライブを石垣島で見ていたという。その時に初めて音楽で感動したのがこの曲であり、大きな原体験だったそうだ。彼女は両親が音楽好きということもあり、民謡やフォークなど、ポップスからは少し離れた音楽を聴いて育ったと語っていた。

チャットモンチー「さらば青春」

 続いて、「10代20代の節目となった曲」として挙げたのが、チャットモンチー「さらば青春」(アルバム『chatmonchy has come』収録)。中学時代に陸上部で活動しながら3ピースバンドを組んでいたPORINは、先輩の送別会を機に、人前で初めてギターボーカルとして披露したのがこの曲。Awesome City Clubを結成してから、同曲の歌詞を書いたチャットモンチーの元メンバー・高橋久美子と共作で作詞をしたりと、今に至るまでの深い縁を感じる楽曲だ。

THE BLUE HEARTS「青空」

 もう1曲、同じテーマで選んだのはTHE BLUE HEARTS「青空」(アルバム『TRAIN-TRAIN』収録)。19歳の時に1年間毎日路上ライブをしていたPORINは、毎回この曲のカバーを歌っていたという。彼女がシンガーとしてキャリアを積み上げた時期に寄り添った、タイムレスな青春を彩る一曲だ。

Grimes「Flesh without Blood」

  PORINが「音楽を始めてから影響を受けた曲」として挙げたのが、Grimes「Flesh without Blood」(アルバム『Art Angels』収録)。彼女はかねてからGrimesのファンだったが、2015年にリリースされた『Art Angels』を聴いて、「当時“宅録女子”と言われていた人たちのなかでも、頭ひとつ抜けた作品だった」と強い衝撃を受けたことを明かした。さらに、その後来日公演も見に行ったというPORINは、パフォーマンスにも圧倒されてしまったという。その理由について、PORINは「この人はなんでもできるけど、歌のパフォーマンスがすごくて。ちゃんと歌が届くんですよね」と、特にシンガーとしてのポテンシャルに強く影響されたと語った。Grimesは、デビュー当時からこれまで、トラックメイカー・シンガー・プロデューサーとしてマルチに活躍する才女として、シーンのなかでも注目を浴び続けている。筆者も来日公演を見に行ったが、確かにその不穏なダンスミュージックに合わせてキッチュな声とパフォーマンスで観客を魅了する様は、どこかPORINのステージングにも似ているように思う。先日発売が秋頃になるとアナウンスされた『Art Angels』以来となる新作も、楽しみに待ちたいところだ。

Arcade fire「Reflektor」

  同じテーマでもう一曲ピックアップしたのは、Arcade fire「Reflektor」(アルバム『Reflektor』収録)。PORINは「Awesome City Clubはみんながなんでもできるバンド」と前置きし、編成も目まぐるしく変わり、バンドという形態の不自由さに縛られないArcade fireとの類似性を指摘した。Arcade fireは同作のリリース後、『Fuji Rock Festival’14』で来日。その際のパフォーマンスをPORINはメンバーのモリシーと見に行っており、モリシーは演奏に感動して楽曲を書き上げたことを明かした。ちなみにその楽曲というのは『Awesome City Tracks 2』に収録された「GOLD」(参考:http://realsound.jp/2015/09/post-4560.html)だ。初期のAwesome City Clubは、デビュー作のインタビューで、リーダーのマツザカタクミが影響を受けた作品にFoster The People『Torches』を挙げていたり、GrimesやArcade fireといったカナダのアーティストにシンパシーを感じたりと、良い意味で日本人離れした、USインディーらしい音色やビートを多用していた。

 なお、番組ではほかにも、PORINの“100年後に残したい音楽”として、1998年にJ-POPシーンを一変させた女性シンガーの1曲や、昨年末に解散したあるバンドの名曲についてのトークや、新アルバム『TORSO』の紹介も行われた。  ベストアルバムのリリースを経て、新章に突入したAwesome City Club。この機会に、彼女のルーツやバンド初期の音源と今回紹介した楽曲を聴き比べてみると、その変遷が楽しめるはずだ。

(文=中村拓海)

■番組情報
KKBOX presents『897 Selectors』
DJ:野村雅夫 
放送日:毎月第一・第三週木曜20:00からInterFM897でオンエア
番組ホームページ

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