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MUSE、新曲「Thought Contagion」で示した王道 前作「Dig Down」からの動向を読む

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 2015年のアルバム『Drones』発表以降は休暇もそこそこに、実に130本以上、1年半にも及ぶ長期のワールドツアーに精力を注ぎ込んでいたMUSE。ベースのクリス・ウォルステンホルムは「しばらくはシングルを中心にリリースするような活動形態になると思う」と話していたが、その言葉通り、昨年の「Dig Down」に続くニューシングル「Thought Contagion」が発表された。

 現代社会への警鐘や、人間はどうあるべきかという哲学を常に作品の中に盛り込んできたMUSEだが、「Thought Contagion=思考の伝染」をテーマにした今作も、マシュー・ベラミーが「時に間違った信念やイデオロギーを持った人間が、世の中に影響力を持って、その誤りを広めてしまうことがある」と語るように、現状(おそらくトランプ以降の世界の潮流)へのフラストレーションが基になっている。

 昨年発表の「Dig Down」は、無機質にうごめく電子音とマシューのエモーショナルなボーカルとのコントラストが魅惑的なエレクトロニックブルースだったが、「Thought Contagion」は、不穏な気持ちを掻き立てるような電子音のリフ、インパクトのある厚いコーラス、マシューの情感豊かなボーカルがゴシック風の世界観を紡ぎ出しており、MUSEがこれまで培って来た要素が高い次元で合体を遂げた、真にMUSE的なナンバーという印象を受ける。いわば、MUSEの王道だ。

 昨年11月に行なった4年ぶりの単独来日公演では、マシュー自ら観客に「Plug In Baby」でコーラスを促したり、「Starlight」「Mercy」で手拍子をするよう煽ったりと、広い会場を一体化させるために心を砕いている様子が見られたものだが、アンセム風の趣もある「Thought Contagion」のコーラス部は、まさにスタジアムライブにはもってこいだろう。大勢の観客がこのフレーズを口ずさむ様子が今から目に浮かぶようだ。

 プロデュースを手掛けたのは『Absolution』(2003年)、『Black Holes and Revelations』(2006年)でも組んだリッチー・コスティ。彼は90年代のオルタナティブロックを牽引したリック・ルービンの弟子筋にあたり、エッジの効いた、アグレッシブな音作りが持ち味だ。そのため、「Thought Contagion」のようなミッドテンポのナンバーでも、出音にテンションを持たせることで、スリリングな期待感を保ったまま聴く者をMUSEの世界に惹き込むことに成功している。来たるニューアルバムで再びコスティと組むのか、現時点ではまだわからないが、このシングルの音を聴く限り、そういう展開に期待したくなる。

 デビュー以来、MUSEは3年に1度のペースで新作をリリースしてきたため、2018年は周期的にはアルバムイヤーとなるはず。また、彼は最近出演したラジオ番組で「大規模なツアーを行なうつもりだよ」とも話しており、それも「最新テクノロジーを駆使した、誰も見たことがないようなものを考えている」そう。昨年のライブ以上のものとなると、どれだけド派手な趣向が繰り広げられるのか楽しみだ。

 年頭には、マシューとドミニク・ハワードによるThe Beatlesのカバーバンド「Dr. Pepper’s Jaded Hearts Club Band」のライブにポール・マッカートニーが突如飛び入りし、一緒に「Helter Skelter」を演奏したり、2月中旬にはイギリスの新聞社系ウェブサイト『The Gardian』で読者からの質問企画に応じ、最近の様子や趣味嗜好についてフランクに答えたりと、何かと話題を提供し続けてくれているMUSE。今年もその動向に注目すべき存在であることは間違いなさそうだ。

(文=美馬亜貴子)

■リリース情報
「Thought Contagion / ソート・コンテイジョン 」
2018年2月15日 配信

ワーナーミュージック・ジャパン MUSEオフィシャルサイト

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