SCANDALがライブで体現する、“ガールズバンド”という価値観

SCANDALが体現するバンドの価値観

「思いが溢れすぎて、足りひんけど……つづきはツアーやね!」(RINA)

 あっという間のアンコール含めた全10曲だったが、SCANDALの現在を見せつけ、3月からはじまるホールツアー『SCANDAL TOUR 2018 “HONEY”』への期待を煽るには十二分だった。『HONEY』には、クールな無機質感を情熱で一気に焦がしていくような「エレクトリックガール」や、ムーディなサウンドと甘いポップセンスが見事に飽和する「窓を開けたら」など、まだ披露されていていない珠玉の楽曲たちが多くある。

 「47都道府県ツアーと対バンツアーで得たもの」「自分たちらしさ」「ガールズバンドだからできること」を、アルバム『HONEY』に落とし込んで形にすることができた、と語るステージの4人は、誇らしげで、頼もしかった。今、百花繚乱のガールズバンドシーンを牽引する、いや、そもそも“ガールズバンド”という言葉自体が、SCANDALの活躍なくしてここまで広まることはなかったかもしれない。女性に対し「カワイイ」とか、「キレイ」とか、逆にいえば「男勝り」だとか、はたまた「ヘタウマくらいがちょうどいい」だなんて言われがちなロックの世界で、“ガールズバンド”という新たな価値観を生み出したのは、紛れもなく彼女たちだ。女性メンバーだけのバンドだからガールズバンド、というわけでもなければ、いち音楽ジャンルのようなカテゴリに当て嵌めるのも少し違う。「じゃあ、“ガールズバンド”って、一体なんなの?」と思う人は、ぜひ『HONEY』に耳を傾け、現在のSCANDALを見てほしい。

 2年前の『YELLOW』リリース時のインタビューで、「私たちはガールズバンドと括られることに誇りを持っている」と口にしていた彼女たちの毅然とした表情は忘れられない。「“Rock”のとなりに“Girls Rock”が並ぶような時代を作りたい」とーー(参考:SCANDALが掲げるバンドの使命)。「時間はかかるかもしれない」と言っていたが、そんな時代が来るのは、そう遠くない気がするのだ。

(撮影=ハタサトシ)

■冬将軍
音楽専門学校での新人開発、音楽事務所で制作ディレクター、A&R、マネジメント、レーベル運営などを経る。ブログtwitter

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