集団行動、予想のつかない成長過程へ 自主企画『集団行動の会談公演』を観て

集団行動は予想のつかない成長過程に入った

まだどこに転がるかわからない

 この日のライブでは、当日にリリースされた新作『充分未来』の収録曲もすべて披露された。今作は、「ギターロック」の中心地に意図的に入っていこうとした前作『集団行動』をベースにしつつもその音楽性をさらに広げた作品になっている。いわゆる「シティポップ風のバンド」のお株を奪うような軽やかな演奏が印象的な「フロンティア」、NHKみんなのうたで流れていてもおかしくないような素朴さのある「春」、ラフなバンドアレンジに鍵盤が流麗に絡む「鳴り止まない」など、真部らしい中毒性のあるメロディを基調にしつつ、様々なタイプのアレンジが施された楽曲が楽しめる。

 真部の引き出しと齋藤のポテンシャルを考えると、このバンドはまだまだどこに転がっていくのかわからない。その予想のつかない感じこそが、集団行動ならではの面白さだろう。この日齋藤がボーカリストとして立派なパフォーマンスを見せた一方で、バンドはさらに新たな女性ボーカルを公募している。ここでさらにボーカルが増えたとして、そのときバンドに何が起こるのだろうか? 現時点では全く想像がつかない。

 「自分一人ではできない音楽というのをやってみようと思った」とは、集団行動結成にあたっての真部の弁である。この先も様々なインスピレーションを受けながら、バンドの形はどんどん変わっていくことになりそうだし、また真部自身もそれを求めているのかもしれない。「今年はライブを沢山やる年にしたい」とこの日のMCで語られていたが、より活動が活性化していく中がこのバンドの枠組みがどのように変わっていくのか、引き続き注視していきたい。

(写真=umihayato)

■レジー
1981年生まれ。一般企業に勤める傍ら、2012年7月に音楽ブログ「レジーのブログ」を開設。アーティスト/作品単体の批評にとどまらない「日本におけるポップミュージックの受容構造」を俯瞰した考察が音楽ファンのみならず音楽ライター・ミュージシャンの間で話題に。2013年春にQUICK JAPANへパスピエ『フィーバー』のディスクレビューを寄稿、以降は外部媒体での発信も行っている。

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