LDHはなぜ飲食業に進出? LDH kitchen代表 鈴木裕之氏が語る、食とエンタテインメントの融合

LDH kitchen代表・鈴木裕之氏インタビュー

鈴木裕之氏のキャリア


ーー鈴木さん自身のキャリアも教えてください。LDH  kitchenに入社して、まだ1年半ほどだそうですが、それ以前はどんなことをしていたのですか?

鈴木:29歳から18年余り、ウエディングの仕事を続けてきました。2012年頃に、たまたまLDHで働いている知り合いの幹部の方から、お声がけいただき、大変興味もあったのですが、その時の会社で責任あるポジションを頂いていたのもあり、なかなか決心が付きませんでした。それから4年経ち当時46〜47歳で、これからの残りの仕事人生を考えたときに、もっと挑戦をしてみたいという気持ちがより強くなり、失敗も覚悟で入社を決心しました。お声がけしていただいた方は、前任のLDH  kitchenの社長でもあったので、そのまま引き継ぐ形で代表に就任させていただきました。

 実際に転職してみて、その決断は間違いなかったと感じています。「社員がみんなで夢を叶えていく」社風は、LDHという企業全体に浸透していて、努力の結果がわかりやすいんです。私自身、部下たちの夢を尊重して、よりやりがいのある職場にしていきたいと考えています。

 一方、急成長してきた会社なので、組織としての制度が追いついていないところもあり、そのあたりは現在の課題だと感じています。また、LDH  kitchenのほかにも幅広い事業を行っているので、いっそう全体としての情報共有を密にしていく必要はあるのかなと。LDHは、幹部とスタッフの距離や、所属とスタッフの距離が近いのが特徴で、コミュニケーションや仕事上のアイデア交換などが活発に行われるので、各部署がさらに連携をとれるようになると、より発展できるのではないかと思います。

ーー年初に発表された「LDH wedding」も、鈴木さんの管轄ですか?

鈴木:そうですね。担当させて頂いております。LDH weddingは、LDH JAPANとブライダルプロデュースという会社の合弁会社になります。結婚式は、新郎新婦にとって人生における一番の大イベントで、ある意味では究極のエンタテインメントなんですね。そう考えると、LDHとして取り組む価値はあるのかなと。LDHが持つエンタテインメントのノウハウと、ブライダルプロデュースが持つウエディング事業への専門性を組み合わせることで、日頃支えてくださっているファンの方々に特別な1日を提供できればと考えています。

“名店”とのコラボレーション

ーー近年は、デフレ経済の影響下で低価格帯の飲食店も目立っていました。LDH  kitchenの方向性は、そのような事業形態とは真逆に感じますが、こうしたやり方は飲食業界にどんなインパクトを与える可能性がありますか?

鈴木:最近は、出来合いの食事を供する低価格帯のお店が増えたことも影響して、飲食業界全体で職人が不足するという問題が発生しています。職人が不足すれば、当然ながら日本の食文化も衰退していきます。だからこそ、LDH  kitchenでは新たに職人を育てていくことを重視していて、それが昨今の飲食業界における一つの価値になると信じています。いわゆる“名店”とのコラボレーションも、そうした理念のもとに行っていて、春と夏には新たな店舗を出す予定です。

 一つは、六本木の「鮨さいとう」とコラボレーションをして、中目黒に新たに寿司屋を出店します。もう一つは、京都の「ます多」とのコラボレーションで、こちらは割烹料理屋になります。どちらの店舗も日本を代表する名店です。「鮨さいとう」さんからお話を伺った際に、職人も頑張ればこんな将来像がある、そういったゴールや出口を作ってあげれば職人の世界はもっと夢が広がり、必然的にそれを志す若者が増えてくるはずと仰っていました。

 LDHでは以前から、総合エンタテインメントスクールの「EXPG STUDIO」などで、新しい世代の人材を育てて輩出していくことに力を注いできました。もちろん、スクールに通うすべての人がプロになれるわけではないですが、その中から次の人材が生まれてきていて、それが後進にとってのモチベーションになっています。同じように、飲食の世界でも夢を持った職人たちを集めて、頑張れば将来はこういうお店を持つことができるんだという成功例を示すことができれば、職人の世界の活性化にもつながるのではないかと。

 「鮨さいとう」も「ます多」も、日本の食文化を守るために、自分たちの技術を次の世代に継承していくのが大きな課題だと仰っていて、LDH  kitchenとしては働く人々が夢を持って頑張れる環境や仕組みを提供することで、微力ではありますがその一助を担いたいと考えています。

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