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平井堅「ノンフィクション」は生死をどう表現したか “鎮魂の舞”見せたパフォーマーとのコラボ

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 平井堅が『第68回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)で歌唱した「ノンフィクション」。2017年6月にシングルとしてリリースされたこの曲は、もともとTBS系日曜劇場『小さな巨人』の主題歌として好評を博し、Billboard Japan Hot 100では計17回チャートイン(1月4日時点)、2018年1月1日付のチャートでも前週の48位から42位にランクアップと、発売から半年以上経った現在もロングヒットを記録している。YouTubeの公式ミュージックビデオ動画も再生回数1000万回越え。夜の遊園地で花束を持ち、力強く歌い上げる平井と、歌詞の世界観を体現するかのように舞う舞踏家・工藤丈輝の姿が強烈な印象を残す作品に仕上がっている。

平井 堅 『ノンフィクション』MUSIC VIDEO (Short Ver.)

 ロングヒットの一助となったのが音楽番組でのパフォーマンス。昨年末の音楽特番で平井は、MVの演出に倣って、パフォーマーを交えて「ノンフィクション」を披露した。12月6日放送の『2017 FNS歌謡祭』(フジテレビ系)では欅坂46の平手友梨奈、12月22日放送の『ミュージックステーションスーパーライブ』(テレビ朝日系)ではMVと同じく舞踏家の工藤丈輝、12月31日放送の『第68回NHK紅白歌合戦』ではリオパラリンピック閉会式に出演した義足のダンサー・大前光市と共演。これらパフォーマーとのコラボに焦点を当て、「ノンフィクション」がこの踊りとどうシンクロしているのか、曲の世界観と照らし合わせながら考えてみよう。

 「ノンフィクション」という楽曲は、今年初頭に親しい人が突然命を絶ち、大きなショックを受けた平井が、その人に伝えたいことや人生の苦渋、苦難を歌ったミディアムバラード。今を必死に生きている者から死者へ〈何のため生きてますか? 誰のため生きれますか? 僕はあなたに あなたに ただ 会いたいだけ〉と訴えかける、挽歌にもレクイエムにもなっている曲だ。となると、同曲の世界観を表現しているダンスは言わば“鎮魂の舞”。平手も工藤も大前も、曲の冒頭は生きることに絶望や悲観した様子を見せながら、平井の歌声の情感が増幅するにつれて、より大胆に動き、大切なものを抱きしめるように切ない表情を覗かせる。クライマックスにあたる〈叫べ 叫べ 叫べ 会いたいだけ〉の部分では、それぞれの形で感情を爆発させ、まさに叫ぶように踊っているのだ。

 中でも、『FNS歌謡祭』での欅坂46の平手友梨奈のソロダンスは、制服や机と椅子、学生鞄などの小道具とともに披露され、その緊迫感あるパフォーマンスは、放送後大きな話題を呼んだ。その振付を担当したのはCHEMISTRY、安室奈美恵、東方神起、山下智久などのバックダンサーも務めてきたCRE8BOYのメンバーであるRui。彼は同曲からどんなイメージを受け、振付を考案したのかというアンケートに「まずは、曲中に何度も出てくる<会いたい>という歌詞がひとつのキーワードだと感じ、その強い想いを表現できるものにしたいと思いました。あえて等身大の日常感を演出したく、平手さんには制服を着てもらいました。振付としては、大切だったものの何かを紙に見立てていて、最初にそれを破いて捨てていきます。でもやっぱりそれが本当は大切で、最後に紙屑を集めて上に投げ、<会いたい>と鞄の中に叫ぶシーンが生まれました。歌に込められた想いとシンクロするように、<会いたい>という気持ちの高ぶりがご覧になった方にも伝わっていたら嬉しいです」と回答している。

 また、前述の通り、楽曲がリリースされたのは半年以上前。もとはドラマ『小さな巨人』の主題歌として話題になったが、各音楽番組への出演によって、今やタイアップもとのイメージを越えて、いち名曲として認知されつつある。思い返せば「瞳をとじて」も「僕は君に恋をする」も「僕の心をつくってよ」も、タイアップソングとして広まったのち歌い続けていくうちに楽曲固有の人気が育っていったという同例だ。

 生死という人間の永遠のテーマを、避けては通れない暗部から見つめ、老若男女問わず今を生きる者の心に刺さるストレートな言葉で紡いだ。それが平井の鬼気迫る歌声と相まって、「ノンフィクション」はエバーグリーンな名曲となっている。本人は「僕の楽曲のなかでも今までと違うものにしたいと思いまして、個人的にはハードボイルドな楽曲になったかなと思っています」と語っているが、“歌バカ”平井堅の歌表現を更新する大きな意義を持つ楽曲となったに違いない。

■鳴田麻未
1990年東京都生まれ。ライター、編集者。2009年に都立工芸高校グラフィックアーツ科を卒業。同年夏から2016年まで7年半にわたって音楽ニュースサイト「音楽ナタリー」編集記者として、ニュース記事執筆、特集制作、企画、営業を行う。2017年1月より独立。Twitter:@m_ami_

■配信情報
『ノンフィクション』
『Ken Hirai Singles Best Collection 歌バカ2』

■リリース情報
『Ken Hirai Singles Best Collection 歌バカ2』
発売中

・初回生産限定盤A(4CD):¥4,990円(税込) 
撮り下ろし写真・全シングルの歌詞/ジャケット写真・ スペシャルインタビューを掲載した豪華ブックレット付き。

・初回生産限定盤B(3CD+Blu-ray Disc):¥4,620円(税抜)
撮り下ろし写真・収録シングルのセルフライナーノーツ/歌詞/ ジャケット写真・ スペシャルインタビューを掲載した豪華ブックレット付き。

・通常盤(3CD)「¥3,694円(税抜)
撮り下ろし写真・収録シングルのセルフライナーノーツ/歌詞/ ジャケット写真・ スペシャルインタビューを掲載した豪華ブックレット付き。

平井堅オフィシャルサイト

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