ビョークが伝統×テクノロジーを独自解釈したMVも エキシビジョン『KIMONO ROBOTO』開催

ビョークが伝統×テクノロジーを新解釈

 本日12月1日から10日まで期間限定で表参道ヒルズ本館B3F スペースオーにて開催されるエキシビジョン『KIMONO ROBOTO』。2014年から統合型リゾート企業・メルコリゾート&エンターテインメントが日本で取り組む同プロジェクトでは、日本各地の産地に依頼してこれまでに23点の着物を制作しており、今回のエキシビジョンでは「束熨斗文様振袖」や、皇室献上作家・藤井寛による「慶長桃山小袖松皮文様」など13点が展示される。またエキシビジョンでは一部着物を最新型のロボットが着用。最新テクノロジーと伝統の融合が見られる貴重なイベントとなっている。

 さらに今回、11月24日に最新作『utopia』を発表したビョーク(Björk)が表題曲MVで今回のメイン展示でもある束熨斗文様振袖を着用。会場では一足先に同MVが公開され、11月30日に開催された事前イベントではビョーク本人がスカイプインタビューに答えた。過去にもVRイベントを開催したり、仮想通貨でのアルバム購入を可能にするなど、テクノロジーとコラボした様々な取り組みを行ってきたビョーク。一方で親日家としても知られ、これまでも度々日本に足を運んできた彼女が今回のプロジェクトに参加したのは当然の流れのように感じる。そんなビョークの言葉や今回の作品から、伝統とテクノロジー、そして音楽の融合という新たな可能性が見えた。

 ビョーク曰く、実はギリシャ語では“テクノロジー”はクラフト、つまり職人技という意味もあるそうだ。これを受けて彼女は「私の中では伝統的なものとモダンなものを一つのクラフトとして解釈している」と語っていた。一見相反するように見える伝統と最新鋭のテクノロジーだが、どちらにも“職人”と呼べるようなプロフェッショナルが関わっていることもあり、ビョークは2つを同じ“クラフト”と捉えているのだ。今回のMVは彼女のそうした解釈があってこその映像に仕上がっている。

björk: utopia (trailer)

 “ユートピア”をテーマにしたMVは、日本古来の着物の美しさを伝えながらも、彼女の細やかな心遣いによって和と洋のミックスといった印象に留まらない。ビョークは今回のMVへのこだわりを以下のように語った。

「ロボットを使ったり、自分の中の“ユートピア”を具現化し、ある島に人間と鳥と植物を全て融合したハイブリッド型のニュータントのような美しいものが存在する、というイメージで制作しました。そこにさらに着物という要素を足して、古代からの伝統的な技術と新しい革新的な技術を融合したものを作ろうと思いました」

 伝統的な美しい着物、最新鋭のテクノロジーを使った映像、そしてビョークが持つアートセンス。これらが絶妙なバランスで組み合わさったMVだった。今回のビョークの取り組みにより、伝統とテクノロジーに意外な親和性を感じ、音楽やエンタメとの新たなコラボが生まれることを予感した。ぜひその驚きを会場の大画面で体感してみてほしい。

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(取材・文=村上夏菜)

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