Vulfpeck、OverDoz.、Stars……高橋芳朗が選ぶ“ラジオ連動”の新作5選

Stars『There Is No Love in Fluorescent Light』

 以降はガラリと変わって、おすすめのインディーポップを2曲。まずはトーキル・キャンベルとエイミー・ミランの男女ツイン・ボーカルをフィーチャーしたカナダのべテラン、Starsの通算8枚目のアルバム『There Is No Love in Fluorescent Light』から「Real Thing」。前々作『The North』(2012年)~前作『No One Is Lost』(2014年)で打ち出したダンサブルなエレポップサウンドと、出世作『Set Yourself On Fire』(2004年)のころの甘酸っぱいギターポップ路線との間を取ったような作風で、キラキラ度では「Elevator Love Letter」(2003年作『Heart』収録)と双璧、エイミー・ミランのコケティッシュな魅力が炸裂しているという点でも「My Favourite Book」(2007年作『In Our Bedroom After The War』収録)と互角の名曲だと思います。プロデュースを務めるのは、The National『Boxer』(2007年)やInterpol『Turn On The Bright Lights』(2002年)などの仕事で知られるピーター・カティス。

Gingerlys『Gingerlys』

 最後はこちらも紅一点のボーカリスト、ジャッキー・メンドーサを軸にしたブルックリン出身の5人組、Gingerlysのデビューアルバム『Gingerlys』から「Turtledoves」を。その筋のファンのあいだでは2014年のデビューEP『Jumprope』の時点ですでに高い評価を獲得していたようですが、なるほどこれは超強力。オープニングを飾る「Turtledoves」から「Playgrounds」~「See You Cry」を経て4曲目の「Elsewhere」に至るまで、アルバム冒頭から一気に駆け抜けていくナイーブな疾走感はギターポップ・ファン悶絶必至。今後、同郷のThe DrumsやThe Pains of Being Pure at Heartのライバルとして手強い存在になっていくのではないでしょうか。とりわけ、実質キップ・バーマンのソロプロジェクトとなった現在のThe Pains of Being Pure at Heartに不満を抱いているファンは必聴かと。プロデュースは、その両バンドともゆかりの深いコナー・ハンウィック(元The Drums)が担当しています。ネオアコ~シューゲイズ好きも一聴の価値あり。

 以上、ここ1カ月の『興味R』オンエア曲から5曲。本放送もぜひチェックしてみてください!

都市型生活情報ラジオ 興味R

■高橋芳朗
1969年生まれ。東京都港区出身。ヒップホップ誌『blast』の編集を経て、2002年からフリーの音楽ジャーナリストに。Eminem、JAY-Z、カニエ・ウェスト、Beastie Boysらのオフィシャル取材の傍ら、マイケル・ジャクソンや星野源などライナーノーツも多数執筆。共著に『ブラスト公論 誰もが豪邸に住みたがってるわけじゃない』や 『R&B馬鹿リリック大行進~本当はウットリできない海外R&B歌詞の世界~』など。2011年からは活動の場をラジオに広げ、『高橋芳朗 HAPPY SAD』『高橋芳朗 星影JUKEBOX』『ザ・トップ5』(すべてTBSラジオ)などでパーソナリティーを担当。現在はTBSラジオの昼ワイド『ジェーン・スー 生活は踊る』の選曲も手掛けている。

 

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