スカパラ、[Alexandros]、POLYSICS……バンドシーンの充実示す新作

POLYSICS『That's Fantastic!』

 結成20年目を迎えた今年、新メンバーのナカムラリョウ(Gt / Vo / Syn)が加入。4人体制となったPOLYSICSのニューアルバム『That's Fantastic!』。“ニューウェイブ×テクノ×パンク”の黄金比をさらに磨き上げたアッパーチューンを中心に、ブラックミュージックのテイストを取り入れ、“はっちゃけたTalking Heads”状態になっている表題曲「That’s Fantasitic!」、ファンから集めた“トイス!”(リーダー・ハヤシヒロユキ(Gt / Vo / Syn / Pro)のキメゼリフ的挨拶)の声で作った「Toisu Non Stop」などビビッドな楽曲が揃っている。ビジュアル/音楽性の両面においてしっかりとスタイルを貫き、常に新しい表現へと突き進むPOLYSICSはバンドの理想形であると断言したい。

POLYSICS 『That's Fantastic!』
THURSDAY’S YOUTH『東京、這う廊』

 Suck a Stew DryからTHURSDAY’S YOUTHに改名後、初のフルアルバムはまず、『東京、這う廊』というタイトルが秀逸。もちろんNirvanaの名曲「Smells Like Teen Spirit」の歌詞<Hello,how low?>からの引用だと思うが、いまの東京の雰囲気と“どれくらい落ち込んでる?”という挨拶と“這う廊”という言葉があまりにも上手く符合していて感動すら覚えてしまう。夢はない、未来もない、誰にもなれないという現実を正面から見つめ、<生きていてください 死ぬまででいいから>(「さよなら」)と歌う篠山浩生(Vo /Gt)のソングライティングも2017年の東京を鋭く捉えていて、これまで以上に冴えまくり。アルバム全体の印象は軽やかでポップというアンビバレンツ具合も素晴らしい。

THURSDAY’S YOUTH / Drowsy

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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