ハナエが目指す、新しい表現スタイル「みんなを巻き込んで、楽しい悪だくみがしたい」

ハナエが目指す、新しい表現スタイル

「エレクトロスウィングをJ-POPとしてやっている」

――今回、クラウドファンディングを使って制作されるCDの楽曲群は、今のところ一般流通の予定はないと聞いています。となると、それを聴けるのはパトロンのみで、それ以上の人に広がらないということでもありますよね。

ハナエ:確かに今回のプロジェクトのリターンはファンの方に向けたものが主だとは思います。ファンの方との距離感を縮めたいという思いがまず一番にあったから、他では聴けないレア盤としてお届けできればいいかなっていう。でも、蓋を開けてみれば私のことを知らない人が支援してくれているような現実もあったので、そこは単純に嬉しいことだなとは思ってますけどね。そこに期待していたところももちろんありましたから。

――楽曲自体を違った方向からさらに広めていくことも考えています?

ハナエ:せっかく作った楽曲たちですからね。それは後々、何かしらで広めていきたいとは考えていますよ。PVなのかストリーミング配信なのか、まだ具体的にはわからないですけど、早々に目標金額を上回る支援をしていただけたことで「もっと何かできそうだぞ」っていう気持ちになっているところはあるので。パトロンの方々に納得していただける形で何かしようとは思っています。

――CDはどんな内容になりそうですか?

ハナエ:最初は4曲入りにしようと思ってたんですけど、クラウドファンディングを始めるタイミングのギリギリでもう1曲増やして。5曲入りのミニアルバムにすることにしました。制作はAlaska Jamの(石井)浩平さんと一緒にやっていて、ヨーロッパにシーンのあるエレクトロスウィングをJ-POPとしてやっている感じ。詞は一曲は浩平さんと共作という形ですが、すべて私が書いてます。

――今回のプロジェクトではCDとともに詩集も作られます。今のハナエさんは言葉へのこだわりも強まっている状態なのでしょうか?

ハナエ:そうですね。これまでの活動の中では詞を提供していただくことも多くて、それはそれでシンガーとして楽しいことだったし、いい経験になったなと思うんです。でも、最近は写真と詩のZINE(「#HANAE ZINE」)を出したりしたこともあって、自分の文章で表現をしたいという欲求がどんどん強くなってきてもいて。だから今出すCDならば歌詞は自分で書くべきだなと思ったし、詩集も作ってみたいなと思ったんですよね。

――ブログでも詩的な文章をアップされていますもんね。

ハナエ:ブログはほんとにコアファンしか見ないので、あんまり何も考えずに脳内のことを垂れ流している感じなんですけどね(笑)。でも、歌詞に関しても自分が気持ちいいように脳内のイメージを文字に落とし込んで書いているので、根本的な書き方は全部変わらないかもしれないです。

――現在、ティザーとして「Femme Fatale」という曲の一部が映像とともに公開されています。エレクトロスウィングのサウンドとちょっと毒のある歌詞が見事にマッチした、すごくオシャレな仕上がりですね。

ハナエ:ありがとうございます。今回の制作の中で最初に上がったのがこの曲でした。「Femme Fatale」というタイトルは“運命の女”という意味なんですけど、私の中では“運命を狂わせる女”というイメージが強いですね。デビューから6年経って23歳になった今の私が、変化していく女の子の儚さや強さを表現してみました。映像に関しては、公開しているだけの尺しか撮影していないので、あらためてちゃんとしたPVにすることも視野に入れたいなとは思っていますね。

――ライブではすでに新曲を披露しているそうですが、それが「Femme Fatale」ですか?

ハナエ:いや、ライブでやっているのは「アフター5は誰のため?」という曲で。仕事が終わった後にまったりお酒を飲みながら聴けるような、ちょっとゆったりめのエレクトロスウィングになっています。この曲はお客さんの反応がすごくいいんですよ。わかりやすく跳ねるリズムなので、みんな気持ちよさそうに揺れてくれていて。ライブ向けの曲だなと手ごたえを感じてますね。この曲ももちろんCDに入ります。

――アルバムの完成がより楽しみになってきますね。

ハナエ:今回の楽曲たちは王道のJ-POPと比べるとすごく攻めたサウンドにはなっていますけど、そこで描かれていることは私の今のリアルな思いだったりするんですよ。すべての女の子がもっと自由に自分らしく生きられるエネルギーや希望を与えられる存在になりたいと思って私は今までもずっと活動してきたんですけど、その思いが今回はより強く出ているような気がします。

――ハナエさんのファンは女性が多いんですか?

ハナエ:そうなんですよ。ライブには私と同年代か少し下の世代の女の子が断然多いんです。CAMPFIREではパトロンになってくれている人の男女比も見れるんですけど、それも6、7割が女子ですから。その一方で、一貫して女の子に寄り添った表現や発信をしている私のことを支持してくれる男性が3割もいてくれることもすごく嬉しいです。ありがたいなって思いますね。

――では最後に、この記事をきっかけにハナエさんのプロジェクトを知った方たちにメッセージをいただければと思います。

ハナエ:私はCDリリースやライブだけにとどまらず、いろんな表現やアプローチでハナエというアーティストを楽しんでもらいたいと思っているんです。そういった意味では今回のプロジェクトによって、またひとつの大きなステップを踏み出せた実感があるんですよね。ここで出会えたのも何かの縁だと思いますので、興味を持っていただけたならばとりあえずCDと詩集がセットになったスタンダードプランを予約して、ぜひ私の共犯者になって欲しいなって思います(笑)。

――共犯者という表現がいいですね(笑)。その数が増えればできることもどんどん広がっていくでしょうし。

ハナエ:みんなを巻き込んで、より大きな悪さがしたいです。私はもう、楽しい悪だくみしかしたくないので(笑)。

(取材・文=もり ひでゆき/撮影=稲垣謙一)

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