Cornelius、世界水準の演奏力と映像美で描き出した“メロウ”な夜 新旧作つなげたツアーをレポ

Corneliusが描き出した“メロウ”な夜

 コンサートの前半7曲とラスト6曲の流れは、リリースパーティと1曲を除いて同じで、鉄壁のセットリストだったのだろう。今回はリリースパーティで披露した曲をすべて演奏しながら、さらに曲を増やした見事な構成で、MCは一切入れずにミックステープのような心地良い流れで観客を引き込んでいく。あれだけ難しい曲を一糸乱れず、それでいて(見た目は)軽やかに演奏するCorneliusの凄まじさ。トリッキーなアレンジは入れずにストイックともいえる演奏だったが、それだけにライブバンドとしての逞しさがダイレクトに伝わってきた。アンコールに応えて出てきた小山田は初めて口を開いて観客に語りかけたが、コンサート中にMCを入れていたら、あの心地良い緊張感は途切れてしまっただろう。それだけに、アンコールはアフターパーティのような開放感があって、なかでも観客との掛け合いを楽しむ「E」の雑然とした盛り上がりが微笑ましい。2008年に行われた前回のツアー『SENSUOUS SYNCHRONIZED SHOW』のスタイルを受け継ぎながら、より演出も演奏もソリッドに研ぎ澄ませた今回のコンサート。アルバムを聴く以上に世界水準のクオリティを肌で感じることができて、最高にポップでメロウな夜だった。


■村尾泰郎
ロック/映画ライター。『ミュージック・マガジン』『CDジャーナル』『CULÉL』『OCEANS』などで音楽や映画について執筆中。『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』『はじまりのうた』『アメリカン・ハッスル』など映画パンフレットにも寄稿。監修を手掛けた書籍に『USオルタナティヴ・ロック 1978-1999』(シンコーミュージック)などがある。

Corneliusオフィシャルサイト

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