DJ KAORIが語る“現在の洋楽シーン” そしてミックスCDをリリースし続ける理由

DJ KAORIが語る“現在の洋楽シーン”

ヒット曲を知るには「とにかく現場に行く」

――ミックスCDを作るときはどういう作業からとりかかっているんでしょうか。

DJ KAORI:やっぱり曲ですね。自分がいいなって思う曲をどれだけ集められるか。

――ご自身はどんな方法で音楽をインプットしています?

DJ KAORI:ネットとかストリーミングとかで音楽を聴く機会も増えてますけど、私はけっこうアナログで、ラジオもチェックしてますし、イベント現場で得ることもやっぱり多いです。

――今は、インプットの多様化により何が“ヒット”なのかはかりづらい時代ですよね。

DJ KAORI:そうですね。昔だったらビルボードチャートが絶対でしたけど、そういう基準がなくなって、クラブでのヒット曲、アンダーグラウンドでのヒット曲、ビルボードで売れてる曲、いろんな場所にヒット曲がある。邦楽でも洋楽でもそうだと思います。

――そうした中で、どのように人気を嗅ぎ取るか。10年以上ミックスCDを作っている上でご自分なりの方法論があったら教えていただけますか。

DJ KAORI:とにかく現場に行くっていうことですかね。イベントもそうですけど、アメリカならアメリカ、ヨーロッパならヨーロッパ。そこで何が聞こえてくるかとか、お客さんの反応、空気感。やっぱり体で感じるっていうのが一番なので、そこは意識しています。

いい音楽を人とシェアしてさらに楽しく

――『DJ KAORI’S INMIX』の1作目がリリースされてからもう12年になるんですね。

DJ KAORI:そうですね。最初のミックスCD(『HARLEM PRESENTS 〜DJ Kaori "Def Soul" Mix』)を出したのは17年前なので、オリンピックイヤーにデビュー20周年になるんです。

――「INMIX」シリーズってご自分の活動の中ではどういう位置付けですか?

DJ KAORI:前作の『DJ KAORI’S INMIX VI』から数えると……7年ぶりになるんですね! 洋楽の「INMIX」シリーズは自分を知ってもらうきっかけになった作品でもありますし、自分を代表するシリーズだと思ってます。2005年に始まったけど、当時はヒップホップ / R&B路線で、その後は時代的にパーティが盛り上がってきたので『DJ KAORI’S PARTY MIX』というシリーズもやらせてもらうようになって。どのシリーズでも、なるべくいい曲を入れてみんなに楽しんでもらえるようにと思ってて。ハズしてる曲は入ってないと思うので、ぜひ皆さんに届いたらいいなと思います。

――素朴な疑問ですが、選曲基準が”みんなが楽しめる曲”だとしたら、KAORIさん自身の趣味とは切り離してるんでしょうか?

DJ KAORI:そんなこともないですよ。私の好みもかなり反映されてます。今回のCDに入ってる曲も全部好きだし、普段聴いてる曲です。わりと自分が好きなものとマスが同じタイプなので。ミーハーなものにも敏感に反応するし、ノリのいいもの好きだし、キャッチーなもの好きだし。好きな曲の幅は広いほうだと思います。

――今はストリーミングやWEBなどで人気の洋楽ナンバーを集めたプレイリストも数多く存在しますが、なぜ洋楽ミックスCDをリリースし続けているのですか?

DJ KAORI:最初に出した理由に通じますけど、ニューヨークに住んでてDJをしてて、日本に帰ってきたら洋楽を聴くオポチュニティが少ないなと思って、曲をかけても知らない子も多かったんですね。今ならインターネットで情報がたくさん入ってくるけど、それでもやっぱり海外とカルチャーも違うから、洋楽に親しむのはなかなか難しいと思うんです。そういう中で、私は曲をもっとみんなに聴いてほしいし、洋楽のノリを伝えたくて。聴いてもらったら曲ももっとヒットするし、好きになってもらえるんじゃないかって思いがあったんですね。

今でも現場で思うけど、1曲が、誰もが知ってるレベルのビッグチューンになるには何年もかかるんですよ。SPANKERS「Sex On The Beach」にしてもLMFAO「Party Rock Anthem」にしても。みんなで一緒に盛り上がるために、やっぱり曲を何度も聴いてもらう作業っていうのはまだまだやらなければいけないと思うから。最終的には同じ曲でみんなで盛り上がりたい。音楽の楽しさを人とシェアしてさらに楽しくなりたい。それが作り続けてる理由ですかね。

――何度も繰り返し聴いて刷り込むために、1枚のCDにしていると。

DJ KAORI:はい。収録した曲は実際に次の現場で流して反応よかったりするし、カスカスだったり劣化したデータの音じゃなくて、CDのいい音で聴いてもらいたいですからね。みんなで楽しむ=パーティをするっていう文化も広まってると思います。私は最近だと大きい企業の年会、街の商工会的なイベントに呼ばれたりするんですけど、そういうのをパーティスタイルで楽しむ時代になってきてるし、USJみたいなテーマパークでもDJスタイルでパーティしてますよね。昔は日本人はシャイで踊れないっていう見方もあったけど、日本のお祭りスタイルも変わってきて、歌って踊って楽しむ、いわゆるパリピが当たり前にいる感じにもなってきてるし、ダンスミュージックの裾野は確実に広がってると思いますね。

――必然的にDJの活躍の仕方も多種多様になってきている?

DJ KAORI:だと思います。現場のDJのやり方もいろいろですからね。ぜひ皆さんも怖がらずにパーティやクラブに足を運んでもらいたいですね。ハロウィンもそうだけど、参加したほうが楽しいですよ!

(取材・文=鳴田麻未)

DJ KAORI『DJ KAORI’S INMIX 7』

■リリース情報
『DJ KAORI’S INMIX 7』
発売日:10月4日(水)
価格:¥2,482(税込)
全 28 曲収録
〈収録曲・英語表記〉
01. Calvin Harris / Slide feat. Frank Ocean & Migos
02. Zedd & Alessia Cara / Stay *
03. The Chainsmokers / Closer feat. Halsey
04. DJ Snake & AlunaGeorge / You Know You Like It
05. French Montana / Unforgettable feat. Swae Lee
06. DJ Snake / Let Me Love You feat. Justin Bieber
07. Cheat Codes & Dante Klein / Let Me Hold You (Turn Me On)
08. Charly Black / Gyal You A Party Animal
09. Jonas Blue / Mama feat. William Singe *
10. Liam Payne / Strip That Down feat. Quavo *
11. Justin Bieber + BloodPopR / Friends *
12. Zedd / Get Low feat. Liam Payne *
13. Nevada / The Mack feat. Mark Morrison & Fetty Wap
14. Tory Lanez / Come Back To Me *
15. Maroon 5 / Don't Wanna Know
16. The Weeknd / I Feel It Coming feat. Daft Punk
17. Demi Lovato / Sorry Not Sorry *
18. Rae Sremmurd / Black Beatles feat. Gucci Mane *
19. Zara Larsson / I Would Like
20. Jonas Blue / By Your Side feat. RAYE
21. Martin Solveig / Places feat. Ina Wroldsen *
22. Axwell Λ Ingrosso / More Than You Know
23. Kungs vs Cookin' On 3 Burners / This Girl *
24. Alesso / Take My Breath Away *
25. Jax Jones / You Don't Know Me feat. RAYE *
26. Jonas Blue / Perfect Strangers feat. JP Cooper
27. Alesso / Falling *
28. Justin Timberlake / Can't Stop The Feeling! (Original Song from DreamWorks Animation "TROLLS")

*国内初CD化

■関連リンク
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