May J.が目指す、“自分だけの”音楽表現「いろんな冒険をしながらJ-POPを崩していくことがテーマ」

May J.が目指す“自分だけの”表現

あえてJ-POPとして勝負したい気持ちもあった

ーー自作曲はトラックも歌もL.A.で録音されたそうですが、意外にも海外レコーディングは初なんですよね。

May J.:そうなんですよ。ずっとやってみたかったんですけど、なかなか機会がなくて。今回はShoくんと一緒にアレンジまできっちり固めた上でL.A.レコーディングに臨んだんですけど、現場でミュージシャンの方々がセッションを始めたりして雰囲気がどんどん変わっていくところもありましたね。それがまたすごくかっこよくて、より良いものになっていくのを実感しながらの制作になりました。

ーー日本でレコーディングされたものと比べ、音像やグルーヴは確実に違っていますよね。May J.さんのルーツである洋楽やブラックミュージックのフレイバーも随所ににじみ出ている印象もあるし。

May J.:確かにそうかもしれないですね。ゼロから自分のイメージで作った楽曲たちではあるので、自然とルーツがにじみ出たところはもちろんあったとは思います。ただ、今回に関してはヒップホップやR&B色を強く打ち出すのではなく、あえてJ-POPとして勝負したい気持ちもあったんですよ。日本語を乗せた日本の曲として、海外のミュージシャンやエンジニアさんと勝負がしたかったというか。もちろん本格的なR&Bを作ることもできたとは思うんですけど、そうしてしまうとこれまでの楽曲との雰囲気がかけ離れてしまうし、デビュー当時のMay J.に完全に戻ってしまうじゃないですか。それはちょっと違うなと思ったので。

ーーなるほど。そこが今のMay J.さんが大切にしているバランス感覚なんでしょうね。

May J.:そうそう。自分がやりたいことと、求められていることのバランス。そこを意識できるようになったところが、10年やってきて一番大きく変わったところだと思いますよ。昔だったらね、海外レコーディングってなればゴリゴリのR&Bをやってたと思う(笑)。


ーー歌は3日で6曲を録ったそうですね。

May J.:かなり詰め詰めなスケジュールでしたね(笑)。日本だと1日1曲でベストな歌声を残す感じなんですけど、今回は1曲目でちょっと声が涸れてしまっても、あえてそのまま2曲目を録ったりもして。それが逆にいい味になったりすることもあったんですよ。それは新しい発見でしたね。

ーー単純にうまくキレイに歌うだけがいいことではないと。

May J.:そうそう。私は歌の語尾をファルセットでキレイの伸ばして切る、みたいなことをする癖があったんですけど、そういう部分をあえて崩してみたりもして。そういう挑戦をいろいろできたのは楽しかったですね。

ーーフェイクやロングトーンで自由に遊んでいるところも多いですよね。

May J.:かなり遊びました(笑)。自分でメロディを作っているからこそ、思い切り遊べたんだと思います。メインの歌以外のフェイクなどに関しても日本できっちり作りこんでからL.A.に行ったんですけど、向こうでは現場で出たアイデアを生かして、さらに崩したりもしましたね。エンジニアさんは日本語のまったくわからないイタリアの方だったんですけど、ところどころで歌のディレクションもしてくださって。それがすごく的確な指摘で、試してみるとより良くなってビックリ! なんてこともありましたね。

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