FEMMの刺激的な表現がJ-POPをアップデートする 海外でも認められたMVとサウンドを分析

FEMMのMVとサウンドを分析

 これまで世界の最旬カルチャーと同期していたFEMM。そして今回、彼女たちが2017年秋冬シーズンのコレクションテーマとして選んだのが、80~90年代のジャパニーズカルチャーだ。エッジーなダンスミュージック文化をオリジナルなセンスで取り入れてきたFEMMが、日本人なら誰もがどこかで耳にしたことのあるジャパニーズ80s/90sのポップセンスをインストールした異色カバー作品『80s/90s J-POP REVIVAL』を、10月25日にリリースする。オリジナルでも「リバイバル」を活動テーマに掲げてきたFEMMにとって、必然といえるプロジェクトなのだろう。

FEMM『80s/90s J-POP REVIVAL』スポット映像

 本作は、小沢健二 featuring スチャダラパーによる「今夜はブギー・バック」、米米CLUBの「浪漫飛行」、渡辺美里の「My Revolution」など、語り継がれる人気曲をFEMMらしく電子音を多用したキャッチーなアレンジで料理している。また、アレンジャーとして、若手実力派クリエイター MYLKをフックアップしているところも、最新鋭のサウンドを持ち味にしてきた彼女たちらしい。しかしながら、先行配信において最もバズったのは、Winkをエレクトロ・ポップ風味でカバーした「淋しい熱帯魚」だった。MVでは、あえて映像の画質を落とし、80’sファッションをまとったFEMMが本家のダンスを完コピ。アイドルでありながら笑顔を浮かべることなく、マネキン的と称されたWinkと、FEMMの相性は抜群といえるだろう。

FEMM『淋しい熱帯魚』MV

 さらにFEMMは、小室哲哉プロデュースによるhitomiの人気曲「CANDY GIRL」や、宮沢りえ主演による映画が大ヒットした『ぼくらの七日間戦争』におけるTM NETWORK「SEVEN DAYS WAR」など、時代を彩るアンセム12曲を、蛍光塗料の匂いを感じるプラスティックなテクスチャーでカバーしている。

 90年代カルチャーが再評価されている昨今のファッションや音楽シーンに向けて、刺激的でありながらもピコピコと耳馴染みのいい、テン年代ならではのアップデートされた近未来的ポップソングを繰り広げているのだ。

■ふくりゅう
音楽コンシェルジュ。Yahoo!ニュース、J-WAVE、ミュージックマガジン、Spotify、KKBOX、音楽主義などで書いたり喋ったり選曲したり考えたり。会員制サイト『BOØWY HUNT』で、関係者によるBOØWY伝説を裏付けるドキュメンタリー「BOØWY STORY ARCHIVE」を連載中。Spotifyで公式プレイリスト『キラキラポップ:ジャパン』を毎週火曜日更新で選曲中。Twitter

■リリース情報
『80s/90s J-POP REVIVAL』
発売中

<収録曲>
01 My Revolution feat. Akina, Anna & Mikako from FAKY
02 Candy Girl
03 淋しい熱帯魚
04 どんなときも。
05 すみれ September Love
06 There will be love there -愛のある場所-
07 Dear Friends
08 浪漫飛行
09 卒業
10 BELIEVE IN LOVE
11 SEVEN DAYS WAR
12 今夜はブギー・バック (nice vocal) feat. Lil' Fang from FAKY & Yup'in

■関連リンク
FEMM OFFICIAL WEB
FEMM OFFICIAL Instagram
FEMM OFFICIAL You Tube

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