RADWIMPS、テナー、パスピエ……変化していくバンドの“現状”が伝わる新作

THE BACK HORN『BEST THE BACK HORN II』(TYPE-A)

 THE BACK HORNによる、2018年の結成20周年を記念したベストアルバム『BEST THE BACK HORN II』。DISC1には、宇多田ヒカルとのコラボレーションによる「あなたが待ってる」、最新シングル「孤独を繋いで」など2008年以降に発表された楽曲を収録。DISC2は2008年以前の楽曲を対象にしたファン投票の上位に入った曲で構成されている。東日本大震災後に配信された「世界中に花束を」、<この世に生まれてきたのなら 打ち鳴らせ その鼓動>というフレーズに胸を打たれる新曲「グローリア」、郷愁感をたたえた旋律と鋭いバンドサウンド、魂の叫びとしか言いようがない歌がぶつかり合う初期の名曲「ひょうひょうと」。常に現状と向き合い、まるでドキュメンタリーのように楽曲を生み出してきたTHE BACK HORNの軌跡がここにある。

THE BACK HORN - エモーションピクチャー Vol.3 【BEST THE BACK HORN Ⅱ】
アカシック『エロティシズム』

 アカシックによる、1stシングル「愛×Happy×クレイジー」(ドラマ『ラブホの上野さん』(フジテレビ系)主題歌)、2ndシングル「オレンジに塩コショウ」を含む2ndフルアルバム『エロティシズム』。1stアルバム『凛々フルーツ』(2016年3月)リリース後にキーボーディストのHachiが脱退するなど決して順風満帆ではなかったが、本作によってアカシックは、自らの音楽の本質をしっかりと掴み取った。基軸になっているのは歌謡曲的なメロディとキャッチーに振り切ったバンドサウンド、そして、官能と知性を混ぜ合わせた理姫(Vo)のキャラクターを活かした歌詞。特にタイトル曲「エロティシズム」における<こんな素晴らしい世界で こんなんだから/天国じゃ死ねそうにない>というフレーズは本作の白眉だと思う。

アカシック『マイラグジュアリーナイト』

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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