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荻原梓のチャート一刀両断!

Sexy Zone「ぎゅっと」が伝えるメッセージとは バンドシーンの才能も起用した“応援歌”を分析

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参考:2017年10月2日~2017年10月8日の週間CDシングルランキング(2017年10月16日付)

 今週のオリコン週間ランキングはSexy Zoneの14枚目のシングル『ぎゅっと』が1位を獲得した。初日のデイリー売上枚数ではモーニング娘。’17『邪魔しないで Here We Go!/弩級のゴーサイン/若いんだし!』が2万枚近い差をつけて上回っていたが、翌日からは『ぎゅっと』が急落することなく好調な売り上げを見せデイリー1位を連続でマークし、両者が接戦を展開。最終的には『ぎゅっと』が累計売上で逆転する結果となった。

メンバーが作詞に参加、振り付けも

 表題曲の「ぎゅっと」は、メンバーの菊池風磨が主演するテレビドラマ『吾輩の部屋である』(日本テレビ系)の主題歌。頑張る人を勇気づける、いわゆる応援ソング的な歌詞がポップなサウンドとキャッチーなメロディに乗ったストレートなナンバーだ。菊池が作詞に参加したり、振り付けもメンバー5人で共作したりするなどメンバー自身が制作に加わることで、パフォーマンスそのものに自分たちの思いや気持ちが、より深く注入されたシングルと言えるだろう。

特徴的な歌い方とそれを可能にする歌詞

 四拍子の軽く跳ねるリズムに、Aメロの<もうちょっと>や<頑張って><まぁいっか>など、促音(=“っ”)を要所要所に挟み込んだ歌詞がうまく作用することで、明るく楽しげな雰囲気を強調している。<生まれてから死ぬまでの一生の中に どんなしあわせが待ってるんだろう>という未来への漠然とした不安を表す歌詞が冒頭にあるため、その後に登場するこの跳ねる“っ”の歌い方が絶妙な加減の希望表現として機能するのだ。

 対してBメロの“っ”は、微量の促音を含んでいるがメインは長母音(=母音を伸ばす)。つまり、<ツラくたって>は“つらくたあて”と歌い、<待ってる>は“まあてる”と歌う。Aメロの軽やかに飛び跳ねるニュアンスに対して、Bメロの方には聴き手を優しく包み込むようなムードがある。この歌い分けだけ見てもAメロとBメロの持つテーマが異なるのがわかるだろう。

 そして、サビではその両者のミックスのような形をとる。<ぎゅっと抱いて>ではそのまま“ぎゅっと”、<絶対離さない>は“ぜえたい”、<ずっと泣いて>では“ずっと”、<やって来た>では“やあて”。ここまで歌ってきたAメロとBメロの情感をここで総ざらいするような形だ。さらに言えば、1番のサビではこれらの“っ”の直後に必ず“ai”で韻を踏んでいる。<…抱いて><…泣いて><…離さない><…大丈夫>と見事な徹底ぶりである。この“ai”は、どことなく聴き手の不安を振り払うような効果を感じ取れる。つまり、漠然とした不安の中でも明るく歌うAメロ→聴き手を優しく包み込むBメロ→不安を一掃するサビ、というように、三段階の中でしっかりとストーリーが練られているのだ。

 このように、「ぎゅっと」は一見平易でシンプルな応援歌のようだが、こうした歌い分けを可能にしている歌詞に注目すれば、単なるポップスではなく緻密に練られた詞と、その歌詞によって実現する曲の展開に忠実なボーカル・ディレクションによる、巧みに作り込まれた応援歌であることがわかる。

      

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