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石井恵梨子のチャート一刀両断!

日本人が海外アーティストに求めるものは? アリアナ・グランデ&BTSが並ぶチャートから考える

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参考:2017年9月25日~2017年10月1日週間CDアルバムランキング(2017年10月9日付・ORICON NEWS)

アリアナ・グランデ『THE BEST』(デラックス・エディション)(DVD付)

 珍しいことに、上位4位が外国人アーティスト。1位から順にBTS(防弾少年団)、アリアナ・グランデ、VIXX、Wanna Oneと続きます。全米トップクラスの歌姫が韓国のイケイケな男性グループに囲まれている状態。ちなみにアリアナのベスト盤は日本限定での発売なので、セクシーなバニーマスクが全国に流通することをまずは喜びたいところ。

 このバニーマスク、今年5月に出た彼女の最新作『Dangerous Woman』国外盤のジャケットとして、すでに多くの人の目に触れていることでしょう。当初もっと柔らかな言葉が用意されていたアルバムタイトルも、直前になって「もっと強さを感じるように」と変更されました。強く、セクシーで、よりワイルドに攻めていくアリアナ像を見せていきたい。そんな思惑を込めてのアートワークだったと思います。

 ただ、セクシーすぎると日本人は気後れするという判断なのか、『Dangerous Woman』日本仕様盤は別のジャケット写真に差し替えられます。楽屋で鏡の前に座ったアリアナが、さぁこれからステージに向かうのって感じで微笑んでいる、いかにも日本人好みのキュート&カワイイ路線。むろん、そんなレコード会社の努力とイメージ戦略があってこそ彼女は日本でもスターとなれたわけですが、今回のベスト盤でようやくバニーマスク解禁! 歌が上手くてカワイイだけじゃない、クールな曲も多数あることを思い知らされます。

 そして1位のヒップホップ・グループ、BTS。ランクインした新作『LOVE YOURSELF 承 ‘Her’』はまだ日本盤が出ていないため、現段階では輸入盤だけでオリコン1位を取っているのです。前週は初登場2位(約1.7万枚)、今週に入って一気にセールスが伸びた(約5.2万枚)のは謎ですが、輸入盤ゆえの入荷事情と無関係ではないのでしょう。先月の当コラムで書いたBLACKPINKも然りですが、今の韓国のR&B/ヒップホップ、本場のアメリカ人が熱狂するようなクオリティでかなり痺れます。

 こうなってくると微妙なのが、「待望の日本仕様アルバム登場!」という宣伝文句と共に作られる国内盤。オリジナル盤の収録曲の歌詞を日本語にして発売する作品の存在です。もともとは、馴染みの薄いKポップをJポップ市場に売り込むための戦略として生まれたもので、東方神起などは懸命に日本語を覚え、原曲を日本語に変えた歌で日本デビューを果たしました。ONE OK ROCKが海外展開するときにオリジナル版とは別の全部英語詞バージョンを用意したのも同じことですね。

 ただし、英語と母国語を駆使しながらワールドワイドに活躍していくグループが増え、そのクオリティが最新型の米国R&Bとシンクロしていけばいくほど、日本語バージョンを聴いた時に「えぇ?」という違和感が増していくのも事実(ラップの場合は特に、押韻や語感やテンポが大事になるので訳せばいいというものではありません)。BTSも、今年5月に発売したシングル曲「血、汗、涙」の日本語バージョンに対して、さまざまな意見が飛び交っていたものです。

 BTSのニューアルバムに日本盤は必要か。もともとハイクオリティな原曲がある。その歌詞が変わると音楽の何が変わってしまうのか。いや、それでも意味が理解できることのほうに価値があるのか……。ファンの数だけ意見は異なるのでしょうが、まだ出てもいない日本盤に対して考えることは多いです。

 日本人が海外アーティストに求めるものは何なのか。(世界を席巻するKポップ勢を含む)洋楽と、言葉を重視する邦楽の壁とは。そして日本盤と海外仕様盤の違いとは。久々にそういうことに思いを巡らせた今週のチャートでした。

■石井恵梨子
1977年石川県生まれ。投稿をきっかけに、97年より音楽雑誌に執筆活動を開始。パンク/ラウドロックを好む傍ら、ヒットチャート観察も趣味。現在「音楽と人」「SPA!」などに寄稿。

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