>  > 藤井麻輝が語る、minus(-)の音楽性

ミニアルバム『R』インタビュー

藤井麻輝が語る、新たなスタイル確立したminus(-) の音楽性「延々変わらない部分が再確認できた」

関連タグ
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フィジカルな存在として、minus(-)っていうのはありなんだ

ーーなるほど。今回はゲストがいろいろ参加してますね。ライブではすべて藤井さんご自身が歌ってるわけですが、音源でもご自分で歌うことは考えないんですか。

藤井:いやいやいや。クオリティが段違いですから。

ーーそれぞれのミュージシャンの参加の経緯を教えてください。

藤井:今回は皆さん知り合いなんです。1曲目「Below Zero」の玲里さんはスタジオでよく会ってて。一度アレンジだかプロデュースだかをお願いしたいと言われことがあったんです。その時はスケジュールが合わなかったんですど、いい声の持ち主なんで、今回お願いしてみました。

ーーこういう高音がキレイに伸びる感じの透明感のある女性ボーカルが好きですよね。

藤井:そうですね。日本人ぽくない感じ。

ーーこの曲、Massive Attackっぽいと思いました。

藤井:ああ! そういうつもりはまったくなかったですねえ。ビート感ですかね? (そういう感想は)初耳。

ーーえっ、そうですか。

藤井:『R』について語った取材ってこれが初めてですもん。今後はどうなるとか、どうしてこうなったかとか、そういう取材は多いけど、アルバムの内容について訊かれるのは初なんで。なのでちょっと嬉しいんですよ。

ーーじゃあもっと喜んでください。

藤井:十分喜んでますよ!

ーー(笑)ははは。a flood of cicleの佐々木亮介さんは?

藤井:この方は去年スタジオで初めてお会いして。曲とか聞かせてもらったんです。僕いまR&Bとかブルースとかソウルとか、そっちの音楽に若干興味があって、そういう要素を入れられる身近な人ってことで考えたら、彼のことが浮かんできて。

ーーa flood of cicleと藤井さんって全然接点なさそうですけどね。

藤井:うん。僕にないものばかり持ってる方だなと。アメリカンな感じ? 楽曲としても、僕としてはアメリカ寄りに振ってるつもりだったんですよ。ベースの感じとか。さらにもっとコアな血を入れてほしいと思って(佐々木に)ギターをお願いしたんです。

ーーこの「Below Zero」は、これまでのminus(-)の感じと、これから藤井さんがやろうとしていることを、うまく接続してるように思います。

藤井:はい、そうですね!

ーー2曲目の「Drop」も同様にyurariという女性ボーカルをフィーチャーした曲ですが、最近のエレクトロニックなR&Bに近い印象です。

藤井:これは古いんですよ、10年ぐらい前に、睡蓮のために作った曲なんです。

ーー睡蓮ともちょっと違う感じですね。

藤井:睡蓮が次に行こうとしていたところのプロトタイプ的な。

ーー睡蓮は日本的な情緒とか美学を感じさせる音楽性でしたけど、そこからこういう音楽性に移行しようとしてたと。藤井さんご自身が意識してたかどうはわかりませんが、そういう曲から、新しいR&Bと共振するものが感じられたのは興味深いです。

藤井:なら嬉しいですね。僕ほかの音楽全然聞かないので、最近の音楽についてまったく知らないので。

ーー3曲目と5曲目は、同じ「Spell」という曲の別バージョンです。ボーカルはSCHAFTでも一緒にやったYOW-ROWさん(GARI)ですね。

藤井:彼とは2007〜8年ぐらいから、なんだかんだ一緒にやっていて、信頼してるボーカリストですね。

ーーちょっと頽廃的で重厚な感じの美しい曲ですが、YOW-ROHさんの声質に合ってる気がします。

藤井:この曲ではやりたい世界があって、割とどっぷりしたUKロックの線を狙ったんですよ。MuseとかPlaceboとか、あのへん。僕は今までほとんど提示してこなかった世界なんですけど、実は大好きで。彼の作品系譜の中でも珍しい感じの曲になってると思います。泣きのバラードという。

ーーYOW-ROWさんといい、次の「LIVE -advanced」に加わっているAnisさんといい、珍しく男性ボーカルを起用してますね。

藤井:声が良ければ使いますよ。あとは音程とか発音。YOW-ROWは(英語の)発音以外は完璧ですね。

ーー5曲目の「Spell -ver.1.0」の方にはTHE BACK HORNの菅波栄純さんが参加しています。菅波さんは睡蓮のアルバム『音ヲ孕ム』(2007年)にも参加してます。彼の良さってどういうところにあるんですか。

藤井:あの人はねえ、なんかわかってくれるんですよね、曲が呼んでることを。それをちゃんと具現化して提示してくれる、日本では稀有なギタリストだと思います。僕の知る限り、REDRUMの(武内)剛君と、菅波君ぐらい。

ーーライブでは非常に激しく情熱的なプレイをする人ですけど。

藤井:ライブ見たことないんですよ。睡蓮で弾いてもらった時は、ギタリストを探してる時にTHE BACK HORNのCDを聞いて気に入ったのがきっかけです。今回は本当に時間がなかったので、音源を送って、(ギターを)入れてもらったんですよね。

ーー何か指示は出したんですか。

藤井:ないです。「ご自由に」って。

ーーなるほど。そこで、曲の呼んでいるものちゃんと形にしてくれた。

藤井:そうそう。「ああ、これですこれです。これしかありません」って。結局口で説明して入れてもらうなら、自分でプレイするのと同じですからね。

ーー藤井さんもギターを弾くわけで、自分で弾いてもいいものをあえて菅波さんに頼んだ。それは彼にしかないものを弾いてもらいたいわけですよね。

藤井:そうそう。でも彼はそこで余計なものを一切足さず、なおかつ僕のスキルでは到達できない完成形を提示してくれました。

ーー4曲目には『O』収録曲のリメイク「LIVE -advanced」が収録されています。唯一のアップテンポのイケイケのダンスナンバーですね。

藤井:4曲目はボーナストラック的な位置づけですね。3曲目の「Spell -Sunbtraction」は5曲目の「Spell -ver.1.0」のリミックスなので、「Below Zero 」「Drop」そして「Spell -ver.1.0」と繋げて聞くと、より流れがわかりやすいいと思います。

ーーなるほど。それまでが重厚でゴシックな流れなので、「LIVE -advanced」で、今までのminus(-)のファンはほっとするかもしれません。

藤井:うん。原曲にあった森岡賢らしい特徴的なフレーズを全部取り除いてるんですよ。なので「そういうことか」と思う人もいるかも。

ーーこういう感じのアップテンポのダンスナンバーは新曲としてはもう作らない?

藤井:必要があれば作りますよ。でもここまでチャラい感じにはならない。

ーー(笑)アルバムの構成上?

藤井:いや、対ライブ的に考えたとき。あるいは……今キナ臭い状態じゃないですか、刈り上げ君が。そっちのほうに進んじゃったら『愛と平和』(SOFT BALLET1999年作。湾岸戦争の勃発に触発されたアルバム)みたいな爆発が起こって、ぼくの意識が攻撃的な方に進む可能性はありますけどね。

ーーああ、なるほど。

藤井:音楽って結局その時の精神状態がモロに出るので。テメエこの刈り上げ! ってなったら、ドッカンドッカン行くかもしれないし(笑)。

ーー森岡賢の場合は、こういうアップテンポな曲は享楽的な意味合いが強いと思うけど、藤井さんの場合は攻撃性的なニュアンスが強いわけですね。

藤井:そうですね。

ーーなるほど。これを作って、森岡賢がいなくなったminus(-)の新たなスタイルのようなものは発見できたと言えるんでしょうか。

藤井:発見できた……というよりは、これが私です、というような。延々変わらない部分ではあるから。それが再確認できましたね。

ーー10月には東京で2デイズのライブも予定されてますね。ライブでは女性ドラマー2人によるツインドラムと藤井さんという3人構成のバンドでの演奏なんですが、なぜ女性ドラマーなんです?

藤井:男は合わない。

ーーなぜ?

藤井:あのね、女性のドラムの音が好きなんですよ。ヤオヤっぽいんですよ(ローランドのリズム・マシーンTR-808。テクノやハウスなどエレクトロニック・ミュージックで多用される定番機材。PCM音源を使用しないアナログなリズム音源の最高峰とされる)。

ーー音色が?

藤井:そうです。女の人が叩くと全然違います。特にキック。重いけどまろやかというか。男性でそういう人を出せる人もいますよ。高橋幸宏さんとか。でも男性が叩くとだいたいヤオヤっぽくなくなっちゃう。PCM音源っぽくなっちゃうというか。

ーーそういうものですか。先日のライブではステージの前に出て、一度も楽器や機材を操作することなく、ボーカルに徹してましたね。今後もあのスタイルで?

藤井:ギターぐらいは持つかもしれませんけど、あれで行きます。

ーー藤井さんにとっては、ライブの形式でもひとつ新しい道が開けたという手応えがあるんじゃないですか。

藤井:うん、そうですね。ああいうやり方が今のところは正解かなと思ってます。

ーーminus(-)だからこそ、ああいう形のライブができたっていうのもあるんじゃないですか。

藤井:そうですね。完全にソロでやってたら、シンセをうにょ〜っていじって、照明も真っ暗で……みたいなことになってたと思います。

ーーminus(-)はやってよかったし、続けて良かったということですね。

藤井:うん。フィジカルな存在として、minus(-)っていうのはありなんだと思います。

(取材・文=小野島大)

※レーベルの申し入れにより、事実と異なる部分があり一部発言を修正いたしました。

『R』

■リリース情報
『R』
発売:2017年9月27日
価格:¥2,160(税込)
〈収録曲〉
01 Below Zero
02 Drop
03 Spell-Subtraction
04 LIVE-advanced
05 Spell-ver.1.0

■ライブ情報
『minus(-) LIVE R2+1』
10月5日(木)、6日(金)渋谷CHELSEA HOTEL

minus(-)オフィシャルサイト

「藤井麻輝が語る、新たなスタイル確立したminus(-) の音楽性「延々変わらない部分が再確認できた」」のページです。の最新ニュースで音楽シーンをもっと楽しく!「リアルサウンド」は、音楽とホンネで向き合う人たちのための、音楽・アーティスト情報、作品レビューの総合サイトです。

表示切替:スマートフォン版 | パソコン版