A$AP Mob、BROCKHAMPTON……渡辺志保が注目するヒップホップ・クルー4組

 そして次に紹介するのは、ヴァージニア州リッチモンドを拠点とするラップ・グループ、ディヴァイン・カウンシルです。ロード・リンコ、シルクマネー、サイラックスの3人のラッパー、そしてシカゴを拠点とするプロデューサー兼ラッパーのアイシー・トゥワットの4名からなるクルーで、メンバーの平均年齢は約20歳。すでにアウトキャストのアンドレ3000やエリカ・バドゥも彼らのファンであると言われており、アンドレはわざわざディヴァイン・カウンシルがニューヨークでライブをする際に会いに行ったとか。

Divine Council - Decemba (Remix) ft. $ilk Money, André 3000


 メンバーはエリカ・バドゥのSXSWでのライブステージにも居合わせたそうで、ステージ脇に立ち至近距離でエリカのパフォーマンスを見た彼らは思わず涙してしまった、ともインタビューで語っています。余談ですが、アンドレとエリカの間にはセブンくんという息子がおり、そもそもセブンくんがディヴァイン・カウンシルを二人にレコメンドしたとも言われています。彼らの最新ミックステープ『DB$B』は、リッチモンドのストリート・ヴァイブスと彼らのリリシズム、そしてメロディアスなフロウが三位一体となった佳作。「Council Shit」はスリリングなヘッド・バンガーで彼らのポテンシャルを証明するには充分の出来。トリッキーなベースのうねりはアイシー・トゥワットのセンスを感じます。また、一部ではダークでスモーキーな彼らのラップを「ダートバッグ・ラップ」と呼ぶ風潮も。ブラック・ミュージック界の大御所プロデューサーのLA・リードが彼らを発掘し、すでに大手メジャーの<エピック・レコーズ>とも契約したディヴァイン・カウンシルですが、この後、猛スピードでさらなる人気を博すのではと楽しみにしています。

 最後はボルティモアの4人組ラップ・クルー、クリーク・ボーイズ。シングル「With My Team」がじわじわとヒットを記録中。仲間たちへの純粋な愛を歌うこの曲、厚みのあるコーラスを用いたフックが特徴的で私もかなりヘビロテ中です。曲だけを聴くと牧歌的なイメージすら抱きそうな雰囲気ですが、リリックで語られているのは 「ボルティモアでは命を落とす仲間が多すぎるんだ」という、ストリートのハードな状況。曲内で繰り返される「grind」というフレーズは、「一生懸命動く、必死に働く」という意味のスラングです。MVの中には仲間を追悼するような場面もあり、歌詞の内容が決して誇張だけではないことが分かります。まだまだ謎に包まれているクリーク・ボーイズも、これからの動きが楽しみな若者クルーの一つです。

Creek Boyz - With My Team (Prod By.A2rBeatz) | Shot by @akeefstudios

■渡辺 志保
1984年広島市生まれ。おもにヒップホップやR&Bなどにまつわる文筆のほか、歌詞対訳、ラジオMCや司会業も行う。
ブログ「HIPHOPうんちくん」
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blockFM「INSIDE OUT」※毎月第1、3月曜日出演

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