ガガガSPコザック前田×LD&K大谷秀政対談「支えてもらうなかで続けようという執念が出てくる」

コザック前田×LD&K大谷秀政対談

 神戸はカッコよさと危うさを持ったバンドが多い(コザック前田)

ーーただ、ガガガSPのキャリアは決して順風満帆ではなくて。2003年の末から2005年にかけて2度の活動休止もありました。

大谷:病気系だよね。桑原(康伸/Ba)くんもそうだけど(2012年に桑原の急性膵炎のためにバンドは一時活動休止した)。

前田:病気かケガですね。

大谷:2003年あたりは前田くんがパニック障害だったから。それはしょうがないところもあるんだよね。特に「ワーッ!」とライブをやらなくちゃいけないバンドは。

前田:自律神経をやられたり、パニック障害になったことがあるボーカリストって多いですからね。僕はそれを公表したから、よく相談されてたんですよ。「どうやって治したのか」って。

大谷:どんなに体調が悪くても、お客さんは暴れられると思ってワーッと押し寄せてくるわけでしょ。それを押し返して盛り上げなくちゃいけないのは大変なことだし、そのなかで精神状態を保つのは難しいよね。楽屋で「やりたくない」って言ってたボーカル、何人も知ってるよ。

前田:オフのテンションでステージに上がるわけにもいかないので。楽屋では普通の状態なのに、ステージに出た瞬間に憑依されたようにワーッとなるって、やっぱりヘンな感じですよ。

大谷:無理なときは休むしかないよね。

前田:そうですね。僕の場合は休んだことで状態が改善したし、「またやれるな」と思えたので良かったですけど。いま考えてみると、どんどん変わっていく状況についていけなかった部分があったんでしょうね。どこかで「こんなことがずっと続くわけない」という気持ちもあったし、一方では「どうにかしてバンドを維持したい」という思いもあって……。

大谷:まあ、ウチにいる以上は大丈夫だよ。

ーー以前から「契約しているアーティストの面倒は一生見る」って言ってますからね。

大谷:うん。仕方ないからね(笑)。

前田:(笑)。こっちが迷ってると、大谷さんはいつも「そのままやればいいよ」「元気にやるのが一番いいよ」って言ってくれるんですよ。その言葉で吹っ切れたことは何度もありましたね。そのうちに「ずっとやれたらいいな」と思うようになって。

大谷:バンドってすぐ解散するでしょ? あれがよくわからないんだよね、俺は。疲れたら休めばいいし、またやりたくなったらやればいいじゃん。

前田:年に1回か2回ライブをやるだけでもいいから、続けてたほうがいいですよね。

大谷:そうそう。いちばんイヤなのは、女の子のメンバーがいるバンドの恋愛沙汰ね。メンバー同士で付き合って「別れたからバンドは続けられない」とかホントにやめてほしいよ(笑)。こっちは仕事として必死でやってるんだから。ガガガSPは男ばっかりだから、そんな心配はないけど。

前田:そうですね(笑)。メンバーの関係がコジれたこともないし。

大谷:メンバーに恵まれてると思うよ、前田くんは。山本くんなんてすごいよ。前田くんがパニック障害だったときも「しゃあないですわ、あのオッサンは」って言ってたから(笑)。あの状況を「しゃあない」で済ませられるのはすごいと思う。

前田:いま37才なんですけど、35才を超えたあたりからメンバーのありがたみを実感するようになりましたね。なかなか曲が書けない時期もあったんですけど、他のメンバーがちゃんと力を付けていて、俺が無理してがんばらないでいい状況を作ってくれて。実際、いまは3人(前田、山本、桑田)が同じくらい曲を書いてますから。

大谷:みんないい曲書くし、楽曲提供なんかもやってるからね。いまはいい状況だと思うし、フェス(9月30日、10月1日に神戸で開催されるガガガSP主催の『長田大行進曲』)もすごく楽しみ。

前田:6年ぶりですからね、フェスをやらせてもらうのは。

大谷:いいと思うよ。神戸といえばやっぱりガガガSPだから。

前田:「神戸のイメージを汚した」とも言われてますけど(笑)。KNOCK OUT MONKEYとかキュウソネコカミとか、神戸出身のバンドも増えてますからね。カッコよさと危うさを持ったバンドが多いんですよ、神戸は。キュウソのメンバーもちゃんと性格が悪いというか(笑)、話してみると「自分たちだけが残るためにはどうしたらいいか考えてる」とか言うんですよね。「自分らもそういう時期があったな」と思うし、一緒にやれるのは嬉しいですね。

ーー一貫して神戸に拠点を置いてますからね、ガガガSPは。

大谷:神戸にいないと出来ないことも多いからね。

前田:そうなんですよね。この前もNAMBA69と太陽と虎で対バンさせてもらったんですけど、それも神戸だから実現できたと思うんです。東京にいたら、たぶんやれないじゃないですか。

大谷:そうだね。

前田:僕らがバンドを始めた頃は「上京しないとモノにならない」と言われてたんですけど、「ホンマかな?」って思ってたんです。上京した後、神戸に戻ってきても居場所がないだろうなって。

大谷:かりゆし58(沖縄出身)、つじあやの(京都出身)もそうだけど、基本的には「東京に来るな」って言ってたんだよね。遊んじゃって曲が作れなくなるヤツもいるし。

前田:それはあるかも(笑)。

大谷:それにしても今回のフェスはすごいね。出演バンドも多いし、楽屋も楽しんじゃない?

前田:そうですね。出演してくれるバンドは僕だけのつながりではなくて、他のメンバーだったり、周りのスタッフのつながりもあって。ありがたいですね、ホンマに。

大谷:20周年の節目だしね。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる