中村雅俊が1500回のコンサートを続けられる理由とは? The Beatlesからの影響も語る

中村雅俊が1500回の公演を続ける理由

「『俺は本当に曲に恵まれているな』と思う」

ーー長年に渡って歌い続けることで、楽曲の捉え方が変わることもありますか?

中村:うん、それはすごくあります。デビュー曲の「ふれあい」(1974年)を出したのは23才のときなんですけど、いま66才ですからね。年代によって解釈も変わるし、表現も変わってくるんですよ。6年半前の東日本大震災のときもそうでした。自分の地元でもあるし、被災者の方の前で<ひとはみな 一人では/生きてゆけない ものだから>と歌ったときに、また意識が変わって。伝わり方も違ったと思うし、俺自身もそれまでとは違う気持ちになりましたね。今年、歌詞を書いてくれた山川啓介さんが亡くなったことも影響するかもしれないですね。「ふれあい」以外にも、「この歌詞って、こういう意味だったんだ?」と突然わかることもあるんですよ。

ーー毎年ツアーを続けてきたからこそ気づけることですよね。

中村:そうですね。あとね、「俺は本当に曲に恵まれているな」と思うんです。ヒット曲はそんなに多いわけではないし、結果が伴わなかった曲もあるんだけど、歌っていて「いい曲だな」と感じることがすごく多くて。それは幸せだなって思いますね。素晴らしいアーティストの方々(吉田拓郎、小田和正、桑田佳祐など)に曲を書いてもらってますから。

ーーコンサートのなかではギター、ピアノ、ハーモニカ、サックスなどを披露されていて。ミュージシャンとしてもすごく多彩ですよね。

中村:いえいえ、そんな。ギターやピアノは若いときからやってましたけど、サックスはわりと後半になってから始めたので。本来は歌だけで勝負したほうがいいんだけど、ほら、ずっと一人でライブをやってるじゃないですか。俺は踊れないので(笑)、楽器を持つことでビジュアル的にも変化が出せるかなと。演奏することは好きなんですけどね、もともと。ピアノで間奏を弾いてるときなんて、コンサートのなかでいちばんリラックスしているので。「自分もミュージシャンだ」っていう意識も持てるしね(笑)。以前、松任谷正隆さんとふたりでコンサートをやったことがあって、そのときは緊張しましたけどね。彼がキーボードで俺がサックスと歌っていう。

ーーそもそも、中村さんが音楽に興味を持ったきっかけは何だったんですか?

中村:やっぱりThe Beatlesですね。小学校6年のときにThe Beatlesが登場したんですけど、存在があまりにも大きかったし、当時の人たちはすごく影響を受けていると思います。アルバムも全部聴いていたし、カタカナ英語でメロディを口ずさんだりして、ほとんど歌えるようになって。イントロや間奏も覚えてますから。同じくらいの世代の人はみんなそうだと思いますけど、ティーンのときに聴いていた音楽はずっと残ってますね。

ーー当時から歌うことにも興味があったんですか?

中村:歌は好きでした。小学校5年のときにクラスメイトの前で平尾昌晃さんの「星はなんでも知っている」を歌ったことがあるんですけど、快感がありましたから(笑)。高校の頃はフォークブームで、The Brothers FourとかPeter, Paul and Mary、Bob Dylanとかを聴いていて。バスケ部だったんですけど、ギターとハーモニカを演奏して、文化祭で歌ったりもしてましたね。「雨を汚したのは誰?」とか「500マイル」とか。

ーー11月から始まる全国ツアーについても聞かせてください。12月2日の中野サンプラザホール公演は“1500ステージ突破記念公演”。1500回という数字については、どう感じていますか?

中村:純粋に「すごいな」って思いますね。デビューから43年で1500回ということは、1年に35本くらいライブをやっているということなので。「中村、えらい!」と言いたいです(笑)。

ーー40年以上、年間30本以上のツアーを続けるのは本当にすごいことだと思います。ここまで継続できた理由は何だと思いますか?

中村:いちばんはお客さんが来てくれることですよね。ツアーの本数は結果的には自分がこれくらいやりたいからっていうことで決まるわけではないです。例えば、イベンターさんがツアーを組んでくれるということは、それだけお客さんが来てくれるだろうと見込みがあるということ。とにかくお客さんに支えられているなという感じですね。ファン歴が長い方も多いんですけど、ライブは年に1回じゃないですか。楽しみにしてくれている人も多いので、本当は毎年、全部の都道府県を回りたいくらいなんですけどね。俳優をやりながらも、43年間コンサートを続けられてきたこと、それは自分自身の誇りにもなってますね。だって、歌がめちゃくちゃ上手くても、続けられなくなることもあるじゃないですか。そう考えると、神様が「歌い続けろ」と言ってくれたのかなって。信仰はないですけど、神様を信じたくなりますね(笑)。

ーー1500回の記念公演は、特別な演出もありそうですか?

中村:何かするとは思いますけど、いまのところは無策ですね(笑)。王道でドン! とやればいいかなと思っているので。

ーー1500回という数字も、いい意味で通過点なのかもしれないですね。

中村:うん、そうですね。そうなってほしいという気持ちもあるし。いまのテーマは“続ける”ということなんです。ツアーを続けること、CDを出し続けること。それがいちばん大事なのかな、と。

(取材・文=森朋之/撮影=竹内洋平)

■リリース情報
東建コーポレーション イメージソング
『どこへ時が流れても / まだ僕にできることがあるだろう』
発売:2017年9月13日(水)
価格:CD+DVD ¥2,700(税込)
CDのみ ¥1,080(税込)

<収録内容>
・CD
1.どこへ時が流れても
東建コーポレーション イメージソング
作詞:松井五郎 作曲・編曲:都志見隆 
2.まだ僕にできることがあるだろう
東建コーポレーション イメージソング
作詞:福原充則、松井五郎 作曲・編曲:都志見隆
3.どこへ時が流れても カラオケ
4.まだ僕にできることがあるだろう カラオケ

・DVD
『中村雅俊コンサート「L-O-V-E」2016年12月3日 中野サンプラザホール』
1.時代遅れの恋人たち
2.さらば涙…風の彼方に
3.花になろう
4.俺たちの旅
5.ふれあい
6.心の色
7.恋人も濡れる街角
8.想い出のクリフサイド・ホテル
9.70年代
10.滑走
11.いつか街で会ったなら
12.はじめての空
13.ならば風と行け
全13曲、収録時間:59分20秒"

■コンサート情報
『中村雅俊コンサートツアー2017〜2018「ON and ON」』
※他実施各公演は随時発表
11月9日(木)かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール(東京) 開演18:30
11月11日(土)パストラルかぞ 大ホール(埼玉)開演16:00
11月12日(日)前橋市民文化会館 大ホール(群馬)開演16:00
11月25日(土)須賀川市文化センター(福島)開演17:30

『東建コーポレーション Presents 中村雅俊コンサートツアー2017~18「ON and ON」』
2017年12月2日(土)開場16:30/開演17:00
中野サンプラザホール 〒164-8512 東京都中野区中野4-1-1
チケット(税込) 全席指定¥7,000 ※未就学児童入場不可。
発売日:2017年9月2日(土)

■舞台出演情報
舞台「ミッドナイト・イン・バリ ~史上最悪の結婚前夜~」
作:岡田惠和(NHK朝の連続テレビ小説『ひよっこ』)
演出:深川栄洋(映画『神様のカルテ』シリーズ)
音楽:荻野清子(映画『ステキな金縛り』)
出演:中村雅俊・栗山千明・溝端淳平・浅田美代子(敬称略)
日程:9月15日(金)~9月29日(金)
会場:日比谷 シアタークリエ

■全国ツアースケジュール
10月3日(火)富士市文化会館 ロゼシアター(静岡)19:00
10月5日(木)愛知県芸術劇 大ホール(愛知)18:30
10月7日(土)・10月8日(日)サンケイホールブリーゼ(大阪)13:00
10月10日(火)久留米シティプラザ(福岡)
10月12日(木)鹿児島市民文化ホール第2(鹿児島)18:30
10月14日(土)ルネッサながと(山口)15:00
10月17日(火)岡山市民会館(岡山)18:30
10月19日(木)豊川市文化会館(愛知)18:30
10月22日(日)りゅーとぴあ(新潟)14:00
10月24日(火)岩手県民会館(岩手)18:30
10月29日(日)印西市文化ホール(千葉)
10月31日(火)赤羽ホール(金沢)19:00
11月1日(水)赤羽ホール(金沢)13:30
※記載情報は予告なく変更する可能性あり。

■関連リンク
中村雅俊オフィシャルHP
中村雅俊 日本コロムビアページ

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