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リアム・ギャラガーは転んでもただでは起きない Zepp Tokyo単独公演で見せた新境地

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 リアム・ギャラガーの来日が約3年ぶりに実現。10月6日に初のソロアルバム『As You Were』の発表を控えるなか、去る8月17日にZepp Tokyoでの単独公演、18日にソニックマニア、19日にサマソニの大阪会場と回り、各地のオーディエンスを大いに沸かせた。

 前回の記事では、リアムがソロ転身に至る背景を整理しつつ、1stシングルの「Wall of Glass」が2017年らしいポップソングとなった要因に迫った。続く本稿では、余裕のソールドアウトとなったZepp Tokyo公演や、ニューアルバムから新たに公開された楽曲を検証しながら、リアムがソロ活動を行う意義をさらに掘り下げてみたい。

 Zepp Tokyoでのリアムは、PAへの不満を漏らし、ステージ袖に何度も消えたり、事前のセットリストでは用意されていた「Live Forever」をスキップするなど、環境面では万全ではなかったが、ライブ自体はエンターテインメントとして完成された内容だった。最近のインタビューでは、足を骨折してもツアーを完走したデイヴ・グロール(Foo Fighters)を賞賛していたものだが、そのエピソードに刺激されたのか、ここ数年でベストと言えるコンディションに仕上げてきたようだ。しかも、プロ意識が垣間見られたのはそこだけではない。観客を沸かせるためには何が大事なのか。現在進行形のパフォーマーとして、自分にはいったい何ができるのか。Oasis時代の楽曲で盛り上げながら、それと矛盾しない形で新曲の魅力をプレゼンするためにはーーといったふうに、さまざまなアングルに対する合理的な判断が、充実したステージを支えているようにも映った。

 “合理的な判断”というのは、メインストリームの方法論を取り入れた「Wall of Glass」が成功を収めたポイントとも重なってくるが、そういった大人の計算はセットリストの構成からも窺えた。当日の流れをおさらいしておくと、米印をつけた7つはOasisの曲で、残りはすべて『As You Were』からの新曲(「Eh La」のみアルバム未収録)。日によって曲の増減などはあるが、現在のセットリストはこの並びでほぼ固定されているようだ。

1. Fuckin’ In The Bushes (SE) ※
2. Rock ‘n’ Roll Star ※
3. Morning Glory ※
4. Wall Of Glass
5. Greedy Soul
6. Bold
7. For What It’s Worth
8. D’You Know What I Mean? ※
9. Slide Away ※
10. Eh La
11. Chinatown
12. I Get By
13. You Better Run
14. Universal Gleam
15. Be Here Now ※
〈アンコール〉
16. Wonderwall ※

 まず強烈だったのは、SEに続いて「Rock ‘n’ Roll Star」が鳴り響き、そこから間髪置かずに「Morning Glory」がお見舞いされるという、贅沢でスリリングな連続パンチ。リアムの魅力がストレートに反映される2曲が一気に繰り出され、出だしから客席のボルテージも最高潮となった。

 Beady Eyeによる2014年3月の東京公演とセットリストを比較してみると、このとき披露されたオアシス・ナンバーは「Live Forever」と「Champagne Supernova」の2曲のみで、先に演奏された「Live Forever」は8曲目だった。こういった変化の要因は、フェスでのアピールなども考えられそうだが、昔と今でリアムが明らかに違うのは、“求められるものに応える”というスタンスを徹底している点だ。このあとZepp Tokyoでは、4曲目に披露された「Wall of Glass」も上述の2曲に匹敵する盛り上がりを見せたが、「Wall of Glass」という曲そのものや、サビの力強いシャウトがリアムらしさに満ちていることが、ファンに歓迎された理由なのだと思う。


 今回のライブでは、一連の新曲はもちろん、合間に織り込まれたオアシス・ナンバーが、 リアムありきで再構成されていたのも新鮮だった。なかでも、『Be Here Now』からプレイされた「D’You Know What I Mean?」とタイトル曲では、同作の欠点である冗長なエフェクトやギターを取り除くことによって、リアム独自の粘っこい歌い回しが際立つこととなり、その鮮やかな蘇生法は目からうろこだった。こういったリアレンジやセットリストの制作、プロデューサーの人選などに、リアム自身がどこまでコントロールしているのか定かではないが、かなり優秀で理解のあるスタッフに囲まれていることは想像に難くない。

 このように現在のリアムは、客観的な意見を取り入れ、モダンなアプローチにも取り組みながら“求められるものに応える”ことで、新たな魅力を獲得しつつある。とはいえ、スーツをオーダーメイドしても、着る人がいなくなれば服の存在価値がなくなるのと一緒で、リアムのソロワークに多くの他者が介入して、理想的なビルドアップが施されていたとしても、その中心にリアムがしっかり根を張らなければ、彼の表現は完成に至らないようだ。みずから作曲はせず、外注した曲を歌うソロシンガーも山ほどいるが、昔ならともかく、今のリアムはそういうタイプのアーティストではない。

      

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