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アーティストが語る“ミュージックヒストリー” 第九回:never young beach

ハイロウズ、ブランキー、アラバマ・シェイクス…never young beach 安部&鈴木を形作る音楽

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 隔週木曜日の20時~21時にInterFM897でオンエアされているラジオ番組『KKBOX presents 897 Selectors』(以下、『897 Selectors』)。一夜限りのゲストが登場し、その人の音楽のバックボーンや、100年後にも受け継いでいきたい音楽を紹介する同番組では、ゲストがセレクションし、放送した楽曲をプレイリスト化。定額制音楽サービスKKBOXでも試聴できるという、ラジオと音楽ストリーミングサービスの新たな関係を提示していく。8月3日の放送には、never young beachから安部勇磨(Vo/Gt)と鈴木健人(Dr)が登場。“自身が影響を受けた音楽”と“100年後に残したい音楽”を紹介する。今回はそのプレイリストから彼女の音楽性を掘り下げるべく、同回の収録現場に立ち会った模様の一部をレポートしたい。

  安倍がまず、自身のルーツとして挙げたのは、ザ・ハイロウズ「即死」(シングル『罪と罰』収録)。同曲は1999年のアルバム『バームクーヘン』の時にレコーディングされ、先行シングル「罪と罰」のカップリングで発表された曲だ。安倍はこの曲の歌詞に強い影響を受けたようで、<何が正しいか知らない 何が楽しいか知ってる そうして僕らは立ってる 生乾きのパンツをはき 居心地悪そうにしている>というフレーズを「真理」だと興奮気味に語った。彼いわく、「即死」は「聴くたびに初心に帰るような気持ちになるし、あのコード進行と(甲本ヒロトの)声もあって心に響く」のだという。安倍の操る日本語詞は、具体的なアイテムを挙げながら抽象的なフレーズで構成されており、曲のもたらす快楽的な雰囲気のなかに、突然グサッと刺さるような言葉が潜んでいるのも特徴だ。最新作『A GOOD TIME』では「なんかさ」や「CITY LIGHTS」などに顕著だといえる。

 一方、鈴木はBLANKEY JET CITYの「赤いタンバリン」をセレクト。高校生のときに初めて聴いたロックバンドがBLANKEY JET CITYだという鈴木。初めて聴いたこの曲で中村達也のドラムを聴いたことで、ドラマーを志すようになったそうだ。never young beachが持つ独特のユルさは宅録時代から続くものだが、バンド形式になってからは巽啓伍(Ba)と鈴木によってしっかりとしたグルーヴが形成され、それは日を追う毎に強固なものとなった。なかでも鈴木のドラムは、ともすればポップス的な響きの強いnever young beachの音楽をロックたらしめる重要な音だ。そんな彼らの表現のルーツがザ・ハイロウズや中村達也にあったというのは、意外でもあり納得できるポイントでもある。

Alabama Shakes「Hold On」Little Joy「Keep me in mind」

 そして、“音楽を始めてから影響を受けた曲”として鈴木がピックアップしたのは、Alabama Shakesの「Hold On」(アルバム『Boys & Girls』収録)。彼はAlabama Shakesについて、「ブリタニー(・ハワード。Vo/Gt)の声もすごいけど、70年代のハードロック臭のするギターサウンドだったり、規模感の大きい音なのに、圧がありながらすべての音が痛くなく耳に届く、丸いけど迫力のある音が好き。昔の音の焼き増しのようでぜんぜん違う」とバンド全体のサウンドについて言及する。確かにブリタニーの声や歌詞に注目が集まりがちなバンドだが、あらためて紐解くと絶妙なバランスの取れたサウンドがアルバムを鮮やかに彩っており、さすがグラミーで最優秀録音作品賞にノミネートされただけの立体感がある。

ジェームズ・ブラウン「Ain’t it funky now」

 ほかにも鈴木はバンド全員が好きであり、never young beachを形作った重要なバンド・Little Joyの「Keep me in mind」や、「ドラマーとして単純な8ビートをここまで跳ねさせるのはすごい」と衝撃を受けたジェームズ・ブラウン「Ain’t it funky now」などをオススメしてくれた。

キセル「ベガ」

  また、安倍が同じ“音楽を始めてから影響を受けた曲”として紹介したのは、キセルの「ベガ」(アルバム『近未来』収録)。安倍にとってキセルは「海外の音を日本語にはめて音楽的にやっているのも尊敬しているし、メロディも良い」と尊敬しているバンドのひとつであるという。先ほど安倍の歌詞を「具体的なアイテムを挙げながら抽象的なフレーズで構成されている」と記したが、キセルの歌詞はまさにこのお手本のようなワードセンスと文学性で組み上げられている。

細野晴臣 & イエロー・マジック・バンド「東京ラッシュ」デヴェンドラ・バンハート「baby」

 ほかにピックアップしてくれた細野晴臣 & イエロー・マジック・バンド「東京ラッシュ」は安倍というミュージシャンを語る上で欠かせないアーティストだし、デヴェンドラ・バンハートの「baby」も、never young beachの名曲「夏がそうさせた」のインスピレーション源だと安倍が先日取材で話してくれた(参考:デヴェンドラ・バンハート×never young beachが語り合う、自分だけの音の作り方)。

 なお、番組ではほかにも、彼らの“100年後に残したい音楽”や、新作『A GOOD TIME』についてのトークも行われた。安倍が熱弁する“細野晴臣のスゴさ”や、『A GOOD TIME』制作秘話などは、ぜひ本放送で楽しんでほしい。

(文=中村拓海)

■番組情報
KKBOX presents『897 Selectors』
DJ:野村雅夫 
放送日:毎月第一・第三週木曜20:00からInterFM897でオンエア
次回ゲスト:never young beach 安部勇磨(Vo/Gt)&鈴木健人(Dr)(8月3日放送)
番組ホームページ

■連載「アーティストが語る“ミュージックヒストリー”」バックナンバー
第一回:イトヲカシの「ルーツ」となっている楽曲は? 伊東歌詞太郎&宮田“レフティ”リョウが大いに語る
第二回:大塚 愛が明かす、デビュー以降の“声の変化”と転機になった洋楽ソング
第三回:藤原さくらが“アレンジの重要性”に気付いた作品とは? 「クレジットをかじりつくように見た」
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