高見沢俊彦が振り返る音楽人生、そしてTakamiyの25年「感じたものをどうTHE ALFEEに活かすか」

高見沢俊彦が語る、Takamiyの25年

青春小説『音叉』は来年には1冊にまとめたい

ーー最後に、先日小説誌『オール讀物』9月号(文藝春秋)で発表された、髙見澤俊彦名義の青春小説『音叉(おんさ)』についてもおうかがいさせてください。この作品は70年代のことをテーマにしているんですよね。

Takamiy:そうです。でも、まだ今は書き途中なので今後どのようになっていくかはまだ自分でも分かってないんです。ただ、これは自伝でも実話でもない。時代背景のディティールは起きたこととして通り過ぎてきたことを表現してますけど、あくまでフィクションとして読んでいただけると嬉しいです。

ーー音楽の話も出てくる小説ですね。

Takamiy:そうですね。小説を書くことは自分の夢でもありましたが、まさか実現するとは思いませんでした。編集の方と会って背中を押された感じです。長年音楽畑でやって来た自分ならではの表現があるのではないかと思い書き始めたのですが、今は執筆作業が楽しいというか、かなり夢中になっていますね。

ーーご自身の中で当時を振り返って、それが今後楽曲になっていくこともあるんでしょうか。

Takamiy:THE ALFEEの「ROCKDOM -風に吹かれて-」とか、僕らよりちょっと上の世代のことを歌った歌もありますが、この物語はあくまでもフィクション。この小説の内容を、歌にしようとは今は思っていません。

ーー1970年代初頭といえば、まだ政治や文学の季節の名残があったと思うのですが、高見沢さんはどのような学生でしたか。

Takamiy:兄貴の影響で中学校くらいからロックを聴いていましたが、生のステージを目の当たりにしたのが高校生だったのでその時の印象は強いな。ライブステージのマジックというか、Led Zeppelinを観る前と観た後で灰色の高校生活の中で過ごしていた自分の人生が変わった気がして。僕らの世代って“三無主義”っていうのがあって、「無気力・無関心・無責任」。それに「無感動」で“四無主義”とも言われていたんですけど、それの走りの世代なんですよね。いわゆる70年安保が終わった後、学生運動が尻すぼみになっていく頃。そういう意味ではしらけ世代の走りでもあったんで、ああいった、熱いハードロックのコンサートが自分にとっては良かったんですよね。

ーー客観的に物事を見ながら、ロックにのめり込んでいた。

Takamiy:バスケットもやってたけど、本が大好きで暗い少年でした(笑)。図書館が好きでしたね。でも、コンサートに友達と行くようになってから、そういったアクティブな音楽が自分を鼓舞してたっていうのはあるかもしれない。無理やりでも。観るとすごく元気になって帰ってくるから。それが全部外タレでしたからね。それから日本のコンサートも日比谷野音とか、いろんな人が出るコンサートをみんなで観に行ったりしてましたけどね。週末なんかは。『99円コンサート』っていうのが毎週やってて。100円だと税金がかかるから、寄付みたいなもんですけどね。

ーーどんな方が出てたんですか?

Takamiy:エムとか、ブルース・クリエイション、GAROとかが出ていましたね。特にGAROは印象深かった。その後、縁があって、THE ALFEEでGAROと同じ事務所になったんですが、特にGAROの大野真澄さんには、公私共にお世話になりましたね。

ーー熱さと、ある種のクールな文学少年の部分と両方あったんですね。

Takamiy:クールというより暗い子ですよ(笑)。

ーー小説で当時いちばん感銘、影響を受けたのは?

Takamiy:親父が学校の先生で、兄貴も好きだったみたいで子供の時から家に本がたくさんあったので、いろんな本読んできましたけど、個人的にすごく好きだったのは『されどわれらが日々』(柴田翔:著)ですね。一時、実存主義にハマっちゃって。ニーチェとかカミュとかにも手をだして、背伸びしては分かったふりしてましたけどね。ほんとはサガンも好きで読んでましたが、時代的に軟弱と言われそうで、読んでるとは言えなかった(笑)。とにかく色々読みあさってた高校時代でしたよ。

ーー(笑)。ニーチェを読んだのはどんなことがきっかけだったのでしょう。

Takamiy:キリスト教の学校だったので、聖書も勉強しなきゃいけないんですよ。聖書も初めて知るわけだし、神を否定しているニーチェはその対極にあったんで興味を持ちました。で、ニーチェとかを読むと逆に日本の文学なんかも興味が湧いてきて、三島由紀夫も好きでしたね。日本語を美しい文体で書くことに長けていた方でしたから。彼が最初に書いた最初の小説『花ざかりの森』は15歳ですから凄い才能ですよね。

ーー本がお好きだというパーソナリティが、今後小説という表現を通して世の中に出ていく可能性はありますね。

Takamiy:そうですね。『音叉』は来年には1冊にまとめたいなと。今はそれに向かってますね。2018年、ちょうどALFEEも結成45周年の年ですね。

ーーTHE ALFEEとしても、45年に向かっていく。

Takamiy:そうですね。来年結成45周年。翌年がデビュー45周年。2年間お祭り騒ぎで。

ーーソロワークの25年もありますしね。

Takamiy:いろいろ頑張っていきます。

(取材=神谷弘一/構成=久蔵千恵)

■リリース情報
ベストアルバム『美旋律~Best Tune Takamiy~』
8月30日(水)発売

<収録曲>※CD収録13曲は3形態共通
1.Fantasia 〜蒼穹の彼方
2.騒音おばさんVS 高音おじさん
3.エデンの君
4.Thanks for Your Love 〜PartⅡ
5.月姫
6.へびめたバケーション! 〜筋トレ編
7.青空を信じているか?
8.VAMPIRE ~誘惑のBlood~
9.雷神の如く
10.禁断の果て
11.ULTRA STEEL
12.Super Star
13.誘惑の太陽

<初回限定盤A>
TYCT-69117/8   ¥3,800+税 / 2CD(CD+ボーナスCD)

<Special CD[未発表曲集&真夏の夜の夢Billboard Live TOKYO 2016 ベストセレクション]収録曲>
[未発表曲集]
1. Night of Rouge
2. 東京ロンリー・ナイト
3. ULTRA BURN

[LIVE TAKE]
4. 2時間だけのHoneymoon
5. 赤い糸
6. Tokyo Lonely Night
7. ヤマトより愛をこめて
8. 千年ロマンス
9. 17のときに逢いたかった
10.ゴジラのテーマ(作曲:伊福部昭)
11. Fiance

<初回限定盤B>
TYCT-69119   ¥3,800+税 / CD+DVD
≪Special DVD [MV Collection]収録曲≫
1. Night of Rouge
2. 誘惑の太陽
3. 雷神の如く
4. ULTRA STEEL
<通常盤>
TYCT-60106   ¥3,000+税 / CD

商品詳細情報

■コンサート情報
高見沢俊彦ソロプロジェクトTakamiyソロライブ
『Takamiy 真夏の夜の夢2017 -Night of Pacifico-』
9月2日(土)OPEN17:00/START18:00
9月3日(日)OPEN17:00/START18:00
会場:パシフィコ横浜 国立大ホール

THE ALFEEオフィシャルHP
ユニバーサル ミュージック 高見沢俊彦オフィシャルHP
ユニバーサル ミュージック THE ALFEE オフィシャルHP

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