THE BEAT GARDENは”横ノリ”のグルーヴをどう獲得した? 1stアルバム『I’m』楽曲分析

THE BEAT GARDEN『I’m』楽曲分析

 エレクトロニックな音楽性を表現した「BEAT」と、クラブやフェスでのオーディエンスの盛り上がりを例えた「花(が咲き誇る庭)」を組み合わせたグループ名を持つ4人組、THE BEAT GARDEN。2016年のメジャー初シングル『Never End』以降様々な経験を重ねてきた彼らが、現在のグループの魅力を詰め込んだメジャー1stアルバム『I’m(アイム)』を完成させた。

THE BEAT GARDEN - 『Never End』MUSIC VIDEO
THE BEAT GARDEN - 『Promise you』MUSIC VIDEO

 THE BEAT GARDENは大阪の音楽専門学校で知り合ったU、REI、MASATOが2012年に結成した前身グループを母体にして、2015年にDJのSATORUが加わる形で現体制での活動をスタート。翌年シングル『Never End』でメジャーデビューを果たすと、SUMMER SONICやRISING SUN ROCK FESTIVAL、a-nationといった国内の主要フェスに出演。2ndシングル曲「Promise you」は発売週に56のラジオ局でパワープレイ/テーマソングとしてオンエアされるなど話題になった。また、2017年に3rdシングル『Don’t think, feel.』をリリースすると、7月にはアルバム直前のシングル『FLOWER』を発表。ここにカップリングとして収録された「Walk This Way」はCygamesによる大ヒット・ソーシャルゲームを原作にしたTVアニメ『神撃のバハムート VIRGIN SOUL』の14話以降のOP曲にも抜擢され、より幅広いリスナーへと彼らの存在を知らせることとなった。 

THE BEAT GARDEN - 『Don't think, feel.』 MUSIC VIDEO

 この4人の音楽の特徴は、メンバー自身が楽曲に深く関わって生まれるEDMやベース・ミュージックを取り込んだエッジの効いたサウンドと、トリプル・ボーカルならではのコンビネーションが生む唯一無二のボーカル・ワーク。以前も書いたことだが、THE BEAT GARDENの楽曲は「ドロップ」に山場を持ってくるEDMの構成とは一線を画しており、むしろフロントの3人の声がサウンドと絡み合って生むJ-POP的な構成の「歌」にこそ最大のピークがある。そのため、ライブでの魅力と、リスニング作品としての魅力がどちらも楽曲に宿っていることが、最大の特徴と言えるはずだ。その雰囲気はシングル群にも顕著で、「Promise you」では感情豊かな歌でしっとりと楽曲をはじめると、ウォブルベースを加えながらも歌の高揚感で切ない恋心の高まりを表現。「Don’t think, feel.」では序盤のリズミカルなカッティング・ギターを経て、Bメロ→サビではそこに歌がシンクロして一体感を増していく。そして最新シングル「FLOWER」ではヘヴィなギター・ロックを彷彿させる冒頭を経てスケール感の大きなサビと「オーオーオー」というコーラスが登場し、ライブでの盛り上がりをより連想させるような効果を生み出していた。それらをメジャー初シングル「Never End」でのEDM直系のシンプルな音と比べると、彼らがロック/EDM的な「縦ノリ」をメインに据えつつも、そのビートに様々な変化を加えてきたことが伝わるはずだ。

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