Sonar Pocketが語る、新サウンドへの挑戦とこれから 「J-POPは最高のミクスチャー」

Sonar Pocketの挑戦とこれから

「ファンの気持ちを刺激したい、毎回驚かせたい」(eyeron)

――曲の中では、「同じ出会いなんて2度とは無い」をテーマに、男女がだんだん惹かれ合っていく様がつづられています。

ko-dai:サーフィンをモチーフに、根底には一期一会っていうテーマを立てて書きました。夏はいろんな出会いも恋物語もありますよね。僕自身もサーフィンもやるんですけど、周りのサーファーと「波との出会いって一期一会だよね」という話になったんです。<The same wave never comes twice(同じ波は二度と来ない)>というフレーズの通り、人と人も、サーファーと波も、同じ出会いなんて二度はないから一つひとつを大切しなくちゃっという思いを込めた曲です。

――歌詞の構造もこれまでの曲とはかなり違いますよね。

ko-dai:今までのSonar Pocketの歌詞は、すごく直接的に気持ちを歌ってるものが多かったんですね。今回はBGMとしていろんなシーンで聴いてほしかったので、そこより耳障りや聴感を重要視しました。1回聴いただけで言いたいことがわかる曲というより、ちゃんと歌詞を読んでもらえたら思いが伝わるっていうものにしたかった。意味がなさそうに聞こえるけど、実は意味があってっていう。サーフ用語でそういうことを比喩してライトに聞こえるようにしました。

eyeron:このエッジィなトラックに、今までのような書き方や言い回しは合わないと思うんですよね。なので必然的に新鮮な詞の作りになりました。

――「段々男女物語」というタイトルはko-daiさんの案ですか?

ko-dai:はい。サビを作ったときに自然と「♪段々男女の物語」って歌ってて、正式にタイトルを決めるまでも「段々男女物語」って呼んでたので。これに勝る強いワードはないだろうってことで

――第2章は本当にチャレンジングなことをしていくんですね。今回の曲を聴いて、遅ればせながらやっと実体を伴って感じたというか。

ko-dai:今までは、グループとしての軌跡を考えて過去の作品と連動してたりするんですけど、今は1曲1曲に向き合って作ってるので、前作までの流れが……とかいうことはあまり考えていません。だから今までと違うものができやすいってことですね。

eyeron:ただ、これをラブソングにしてる時点でSonar Pocketらしいなとは思ってて。結局核となる部分は同じで、言い回しが変わってるだけだと思います。

――今の作り方になる流れは大体いつ頃から?

ko-dai:第2章に入るとき、昨年の夏ですかね。僕が入院するちょっと前くらい。デビュー8年を迎えて10周年が見えてきて、東京ドームでワンマンライブをするっていう目標にたどり着くためには、あとひと回りふた回り大きくならないといけないなっていう時期でした。なので新しいことを吸収してスキルアップするために、いろんな作り方をしたほうが幅が広がるんじゃないかと思って。

eyeron

matty:第1章のときはずっと同じ作家さんにシングル曲を作っていただいてて。今思い返すとデビューしたての頃にそういう経験をしたのはありがたかったなと思うし、そこで得るものもたくさんあった。で、第2章に入ったとき、じゃあ逆もやってみようと考えて。同じ方と曲を作り続ける方法と、いろんな人と組んで書く方法、どっちもやってみてわかったのは、人によってイエス・ノーのジャッジは違うけど、どれが正解でどれが間違いかなんてないんですよね。なんでもオッケーだから「段々男女物語」みたいにノリを重視してみたり、今までだったらなかなかできなかったことも、いろんな人とコライトする形ならできる。僕たち自身も勉強になるし、楽しみながらやれるんです。

――サウンドアプローチを大きく変えることによって、今までのスタイルについてきたファンを不安にさせてしまうかもという心配はなかったですか?

ko-dai:確かに、以前リスナーの耳を気にして作ってた部分もあって。だけどデビューしてもうすぐ9年になり、自分たちから新しい音楽を提案できる歳にもなってきました。結局どんなサウンドにしろ、僕らの声が乗ったらSonar Pocketじゃないかなと今は思っているから、そこまで不安はなかったですね。

eyeron:むしろライブで「段々男女物語」みたいな曲を披露すると、対比して過去の曲の良さも映えるだろうなと思います。ファンの人も第2章に入ってからは「次はどんな曲出してくれるんだろう」ってワクワク感があると思うんですよ。ファンの気持ちを刺激したい、毎回驚かせたいですね。

matty:似たような作風を続けていくのは、自分たちでもあまり風通しがよくないと思うんですよ。確かに、昔から僕たちについてきてくださったお客さんはどう思うんだろうって一瞬感じるときはありますけど、勝負し続けないとその人たちだって逃げていっちゃうし、今の時代、現状維持を求めてたらダメだろうなって。ko-daiとeyeronの声があればSonar Pocketだってことは第1章で作り上げてきた確固たるものなので、そこは自信持ってます。

eyeron:例えばサザンオールスターズが「いとしのエリー」から「マンピーのG★SPOT」まで歌うみたいなことです。そこにアーティストの底の深さがあるっていうか。何かヒットが出せたら、それと違う路線のものでも勝負したいなって気持ちがキャリアの中で絶対生まれると思うんです。今作を発表したことで、今後より良いラブソングが書けるんじゃないかなとも、これを武器にしていろんな新しいところで戦えるんじゃないかなとも思います。

ko-dai:Sonar Pocketの“ポケット”にはいろんな音楽があるっていう。

matty:もともとの最初のコンセプトだね。

ko-dai:事務所の先輩を見ても、ケツメイシは「バラード」って名曲もあれば「闘えサラリーマン」っていう遊び心ある曲も歌う。湘南乃風はしっとりバラードの「純恋歌」のあとにブチアゲソング「睡蓮花」を出してる。Sonar Pocketはそういう陰と陽の対比を、アルバムではやっていてもシングルで見せたことがなかったので。「Sonar Pocketってなんかいろんなことするね」って思ってもらえたらうれしいですね。

eyeron:僕らはDJスタイルだけど、ライブで僕がギター持ってロックチューンやるとか、元々いろんなジャンルはミックスされてるんだよね。第1章の曲はジャンルに固執せず何かと何かを足したものが多くて、第2章は逆に1曲1ジャンルに絞って実験がやれてるのも新鮮な点ですね。例えば「段々男女物語」だったらトロピカルハウス、カップリングの「イニシアチブ」だったらファンクを現代風のサウンドにリメイクして2人が声を乗せてSonar Pocketのものにするっていう。

ko-dai:今作に収録される2曲は、インディーズ時代、クラブでライブしてた頃の曲のグルーヴ感に近いんですよ。各々のルーツが、eyeronはヒップホップで、mattyはロックで、僕はレゲエなんですね。今はJ-POPのフィールドで活動してるけど、どのジャンルのサウンドをやってもJ-POPなら許されるみたいな面がありますよね。そういう意味でJ-POPは最高のミクスチャーだと思います。

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