新妻聖子×さかいゆうが語る、“ポップス”への挑戦とキャリアの重ね方「メラメラ闘志を燃やしてる」

新妻聖子×さかいゆうのポップスへの挑戦

「技を磨いて得た場所であれば、自信を持ってやればいい」(新妻聖子)

ーーふだんは違うフィールドで活動している新妻さん、さかいさんが深いところでつながり合って、「アライブ」が生まれて。本当に意義深いコラボレーションだと思います。

新妻:私は高まる一方ですね。もともと子供の頃からミュージカルに特別憧れていたわけではなくて、ポップスが好きで「歌手になりたい」と思っていたんですよ。それがいつの間にかミュージカルの世界にいて、そこでがむしゃらにがんばってきて、ここでようやくこっち(ポップス)にもチャレンジできるようになって。

さかい:トントン拍子だ。

新妻:全然ですよ(笑)。ウサギとカメだったら絶対カメ。しかも遅いカメなので。ひとつ誇れるとしたら、しぶとさでしょうね。オーディションに落ち続けて、周りの人たちに「もう辞めたら?」って言われていたときも「いやだ! 歌手になるんだ!」ってダダをこねてましたから(笑)。

さかい:“辞めない”っていう才能もあるからね。俺も下北沢のライブハウスのオーディションに2回落ちてるんだけど、「いつか見返してやる」って思ってたから。(笑)

新妻:そうなんですね(笑)。

さかい:大好きなライブハウスだし、その後、よくライブをやらせてもらうようになったんだけど、スタッフに「昔、俺を落としたよな」ってチクチク言ったりして(笑)。オーディションを落ちたときに「自分には才能がないんだ」と思っていたら、(音楽を)辞めていたと思うんですよ。俺がそのとき思ったのは「あいつらに見る目がないんだ」ですから。そういうヤツじゃないと残れないんですよ。

新妻:私も「まだ時代が新妻聖子に追いついてない」と思ってました(笑)。

さかい:トントン拍子に18才くらいでデビューできる人はそのままでいいけどまあ、そういう人にはまた違う挫折があると思うけどね。そうじゃない場合は、「俺には才能がある」って自分だけは信用してあげないと。周りの人に「あいつ、何やってんだ」って言われるのはまた別の話だし、(音楽活動が思うように進まないことを)ちょっと人のせいにするくらいじゃないと、孤独に耐えられないから。

新妻:そうそう。繊細さゆえ、なんですよね。

さかい:傷ついてはいるからね。その傷を気にし続けるのではなくて、「それはそれとして、乾杯しますか!」ってなれるかどうかだから。

ーー新妻さんも、自分を信じる力は強いと思いますか?

新妻:そうかもしれないですね。私の場合は、育った環境が関係していると思うんですよ。英語も喋れないのに小さい頃にインターナショナルスクールに入れられたんですけど、インド、アメリカ、イギリス、オーストラリア……本当にいろんな国の子がいて、みんな違うんです。日本人の新妻聖子は私ひとりで、そのジャンルでは常にNO.1。そこで「自分は自分である」ということを知ったし、揺るぎないものになったんですよね。

さかい:クイーン発言が出ましたね(笑)。

新妻:(笑)。みんなクイーンで、みんなキングなんですよ。自分である以上、誰も自分を越せないと思ってやってるので。ミュージカルって、同じ役を何人かで分けることが多いんですけど、他の女優さんの舞台は見ないですから。自分にフォーカスして、技を磨いて得た場所であれば、自信を持ってやればいいだけなので。

ーーさかいさんと新妻さん、考え方が似てるのでは?

さかい:30過ぎて音楽をやったりするのって、自分のなかでモチベーションが必要ですからね。あとね、正直なだけですよ。根がマジメですから、思ったことは全部言っちゃうんですよね。

ーー「アライブ」をきっかけにして、ポップシンガーとしての新妻さんの活動も増えそうですね。

新妻 そうですね。自分が歩んできた道と自分のスタイルが180度転覆してしまうのは違うと思うんですけど、ミュージカルというフィルターゆえに新妻聖子を敬遠していたリスナーの方が、「アライブ」をきっかけに「これ、いい曲だな。新妻聖子が歌ってるのか。ちょっとライブ行ってみようかな」と思ってくれたらなと。私のザックリとした目標は、いい歌を歌い続けて、より多くの方に長く楽しんでもらうことなんです。今回の曲で新しいリスナーの方々と出会えるのであれば、すごく嬉しいですね。音楽の方向性に関しては、ひとつに決めてもしょうがないと思うんですよ。出会いを大事にしながら、ひとつひとつの歌を歌わせていただける場所で、丁寧にやっていくなかで、広がっていけばいいなと。

さかい:いまのコメントを4文字に集約すると“売れたい”ですね(笑)。

新妻:そうですね(笑)。まだ“売れた”という認識がないので、1日も早く売れたいです(笑)。

さかい:新妻さんはそれを笑顔で言えるんだから、大丈夫ですよ(笑)。自分で言うのもアレなんですけど、「アライブ」はいい曲になったし、嫌いな人はいないと思うんです。この曲をポップスの入り口にしてもらって、幅を広げてほしいなって。一方で、もっとミュージカルに寄った曲があってもいいだろうし。

新妻:今回のシングルに収録している「天地(あめつち)の声」がまさに“ザ・ミュージカル”な曲なんですよ。だからちょうどいいバランスなんですよね。

さかい:そうだね。でも「アライブ」をライブで歌うときは、ミュージカル調になるんじゃない?

新妻:いえ、そこは“さかいメソッド”で歌います。設定を決められたら、しっかり守るほうなので(笑)。

(取材・文=森朋之/撮影=竹内洋平)

新妻聖子『アライブ/天地(あめつち)の声』

■リリース情報
『アライブ/天地(あめつち)の声』
2017年7月12日(水)発売
初回限定盤(CD+DVD)¥1,800+税
通常盤(CD)¥1,200+税

<CD収録内容>
1.アライブ
(さかいゆうプロデュース楽曲)
2.天地(あめつち)の声
(NHK「みんなのうた」2017年6月~7月放送)
3.アライブ<オリジナル・カラオケ>
4.天地(あめつち)の声 <オリジナル・カラオケ>

<DVD収録内容>
「この祈り~The Prayer」MV

■ツアー情報
『新妻聖子コンサートツアー2017』
9月8日(金)【広島】広島JMSアステールプラザ中ホール
9月16日(土)【新潟】りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場 
9月18日(月・祝)【宮城】日立システムズホール仙台・シアターホール 
9月21日(木)【愛知】名古屋市青少年文化センターアートピアホール 
9月23日(土)【兵庫】たつの市総合文化会館(赤とんぼ文化ホール)
9月29日(金)【北海道】道新ホール 
10月7日(土)【石川】北國新聞赤羽ホール 
10月8日(日)【石川】北國新聞赤羽ホール 
10月14日(土)【大分】 別府ビーコンプラザフィルハーモニアホール
10月19日(木)【大阪】NHK大阪ホール 
10月21日(土)【香川】サンポートホール高松 
10月29日(日)【富山】 黒部市国際文化センターコラーレ カーターホール
11月4日(土)【福岡】福岡国際会議場メインホール 
11月14日(火)【東京】Bunkamuraオーチャードホール 
11月15日(水)【東京】Bunkamuraオーチャードホール

新妻聖子オフィシャルサイト
さかいゆうオフィシャルサイト

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