BLACKPINKは、ポップミュージックの救世主になるか? 彼女たちが受け継ぐK-HIPHOPの遺伝子

 そして、本国アメリカに勝るとも劣らないヒップホップ大国へと変貌している韓国において、“K-HIPHOP”の遺伝子を濃密に受け継いでいるのが、BLACKPINKである。DJ SNAKE的なEDM×ヒップホップのサウンドテクスチャーを、K-POP独自の"フックソング"において鳴らした「BOOMBAYAH」、Netflixのオリジナルドラマ『ゲットダウン』で再び脚光を浴びたオールドスクール・ヒップホップのフロウを、トラップビートとミクスチャーした「WHISTLE」、カイゴやジャスティン・ビーバーらによって市民権を得たトロピカルハウス調のラウンジトラックを軽々と乗りこなして見せる「PLAYING WITH FIRE」、彼女たちにとって初のバラードでもある「STAY」、そして本国でリリースされたばかりの新曲「AS IF IT’S YOUR LAST」は、ラテン・アーバンとユーロビートをミクスチャーした最新型のハイブリッドポップスで、韓国グループ史上最速でYouTube再生回数1000万回突破した。どの楽曲も甘さを排した硬質なアレンジが施してあり、ブラックミュージックとしてのヒップホップが色濃く感じられる。最先端のヒップホップに挑みながら、それが正しくポップミュージックとして機能する現在のK-POPシーンのあり方を、もっとも体現しているガールズグループがBLACKPINKなのだ。

 BLACKPINKというグループ名には、「全く異なる二つの要素をミクスチャーして、その先に新しいポップミュージックを生み出していこう」という意思を込めたと言われている。ブラックな「現代」とガーリーな「瞬間」を、ドープなヒップホップビートに乗せる事で新しいポップアンセムとして切り取ったBLACKPINKは、現代のポップミュージック界に現れた「ジャンヌダルク」的救世主といえるのではないだろうか。

(文=ターボ向後)

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