yonigeがデビュー前のライブで鳴らした“始まり” アジカン「ソラニン」も歌ったツアー東京公演

yonigeが鳴らした”始まり”

ごっきん(Ba・Cho)

 「センチメンタルシスター」や「サイケデリックイエスタデイ」など、その独特の言葉遣いによってキャッチーな感触を与える楽曲も交えながら、yonigeのソングライティング力、アレンジ力が発揮されていたのは「しがないふたり」だろう。メロウなミディアムナンバー調から一転、ラストではノイジーなギターがかき鳴らされる。歌詞からイメージされる心象とサウンドの聞き心地が一体となり、楽曲の世界に深く引き込まれた。

 MCを挟んで披露したのはASIAN KUNG-FU GENERATIONの「ソラニン」のカバーだ。今年3月に発売された『AKG TRIBUTE』にも収録されたyonigeによる「ソラニン」は、原曲よりもさらにエッジが効いており、彼女たちが持っている思春期性が、より生々しく楽曲に投影されているように思えた。また、「最愛の恋人たち」は、硬質なドラミングと、ごっきん(Ba・Cho)のベースラインを中心とした、ミドルテンポのスケール感のある楽曲だ。さまざまな感情が綯い交ぜになったような、どこか泣いているようにも聞こえるアウトロのギターが深い余韻を残す。そして最後に抜けのいいサウンドが印象的な「さよならプリズナー」で、ライブ本編を締めくくった。

 アンコールでは、バンド初期の楽曲である「女の子の日」と「恋と退屈」を披露。荒削りながらも骨太な演奏で最後まで駆け抜けステージをあとにした。

 後日、大阪でのツアーファイナルでyonigeはワーナーミュージック・ジャパン内のレーベル<unBORDE>よりメジャーデビューすることを発表。9月20日に初のフルアルバムをリリースする。メジャーシーンでさらなる成長を経た彼女たちのこの先をもっと見ていたいと思わせる、充実のライブであった。

(取材・文=若田悠希/撮影=Viola Kam [V’z Twinkle Photography])

yonigeオフィシャルサイト

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる