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KREVAがライブで見せた、ソロアーティストとしての過去・現在・未来

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KICK THE CAN CREW
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 約4年ぶりとなるオリジナルアルバム『嘘と煩悩』を引っ提げた全国ツアー『KREVA CONCERT TOUR 2017「TOTAL 908」』のファイナル、TOKYO DOME CITY HALL(6月18日)。ライブ終了後にLITTLE、MCUが登場し、KICK THE CAN CREWの完全復活がアナウンスされたことも大きな話題を集めているが、この日、もっともすごかったのはもちろんKREVAのライブそのもの。「TOTAL908」というタイトル通り、アルバム『嘘と煩悩』を軸にしながら、過去・現在・未来のKREVAの姿を、日本最高峰のラップスキル、凄腕のミュージシャンたちによる演奏、豊かな音楽性と誰もが楽しめるエンターテインメント性を駆使しながら、総合的に体現してみせたのだ。

 この日のステージでKREVAが見せたことを挙げると、1「アルバム『嘘と煩悩』の魅力を改めて伝える」、2「2004年からスタートしたソロアーティストとしての活動をまとめて紹介する」、3「常に進化を続けていることを示したうえで、現在のスタンスを提示する」、4「代表曲のリリックに焦点を当てたパフォーマンスを見せる」、5「既存の曲の組み合わせ方を工夫し、新しいストーリーを描く」、6「“素の表情”が感じられる企画を用意して、オーディエンスとコミュニケーションを深める」、7「それぞれの演出の意図を明確にし、あくまでも音楽を通して表現する」。これだけの要素を盛り込んでいるのだから、もちろん情報量はめちゃくちゃ多いのだが、ライブを観てるときはひたすら「おお!」とか「すげえ!」とか「うーん」とか「ヤバイ」と思ってるだけ。つまり音と言葉とビートに身を委ねて、ただひたすら楽しめるライブだったのだ。こんなことが出来るのはもちろんKREVAだけだろう。

 スタートはアルバム『嘘と煩悩』の収録曲「ってかもう」「神の領域」。現在のKREVAの音楽的なモチベーションを示す2曲を、卓越したミュージシャンたち(柿崎洋一郎/Key、近田潔人/Gt、白根佳尚/Dr、岡雄三/Ba、熊井吾郎/MPC, DJ)とともに放ち、ライブ全体の軸をしっかりと打ち立てる。ネオ・ソウル、ファンク回帰の流れを汲んだサウンドメイク、強いメッセージ性と快楽的なフロウを絶妙なバランスで融合させたラップがとにかく素晴らしい。US現行のヒップホップとリンクし、J-POP的な大衆性も忘れず、なおかつ強烈なオリジナリティも示す。すべてを諦めない姿勢が込められたステージングにいきなり圧倒される。

 「何が『TOTAL908』かわからない人も安心して楽しめるように」と、「嘘800」+「煩悩108」=「908(KREVA)」という説明した後は、ソロアーティストとしてのキャリアを一気に追体験できるメドレーへ。これまで発表してきたアルバムの(歌が入った)1曲目を続けて披露したのだ(1stアルバム『新人クレバ』の「Dr.K」、2ndアルバム『愛・自分博』の「H.A.P.P.Y」、3rdアルバム『よろしくお願いします』の「ストロングスタイル」、4thアルバム『心臓』の「K.I.S.S」、5thアルバム『GO』の「基準」、6thアルバム『SPACE』の「SPACE」)。楽曲はすべてリアレンジされ、ロック、ジャズ、レゲエ、ラテンといった幅広いジャンルを網羅した音楽万華鏡状態。さらにKREVAの驚異的なラップスキルがこれでもかと駆使され、ソロアーティストとしての深化と変化がリアルに伝わってくる。長年応援しているファンにとっても新鮮、そして、KREVAのことをあまり知らない人にとっても大きな意味があるーーつまり、すべての人に向けて「KREVAというアーティスト」を改めてプレゼンするようなーー素晴らしい演出だった。

KREVA、AKLO

 過去の自分を再構築した上でニューアルバムのタイトル曲「嘘と煩悩」を放った後は、AKLOを招いて「想い出の向こう側 feat.AKLO」。あくまでも個人的な解釈だが、この楽曲が示していたのはこういうことだと思う。オーディエンスは往々にして、“そのアーティストを知ったとき”でイメージを固定する傾向がある。それは「音色」(2004年)かもしれないし、「アグレッシ部」(2007年)かもしれないが、KREVAというアーティストは、その表現を更新し続けている。だからこそ、常に“現在”にフォーカスしてほしい、と。「想い出の向こう側 feat.AKLO」のパフォーマンスは“固定されたパブリックイメージをどう打破するか?”というすべてのアーティストが直面しているテーマに対する理想的な回答だったと思う。

 ライブ中盤では「アグレッシ部」「KILA KILA」「成功」をあえてバラード調にアレンジ。一つひとつのフレーズを観客に手渡すように歌い上げる。それはKREVAの歌の上手さと「この曲、こんないい曲だったんだ」という再認識を促すシーンだった。

 ここからライブは後半へ。まず「ここに来るまでのみんなの人生の旅を引き受けるためのグルーヴを」という声を合図して、熊井が流すトラックにバンドメンバーがそれぞれの音を加えていく。アンサンブルが完成すると「ここにいちばん重なってきてほしい音、それはみんなの声です。それと、思いの詰まった動き。最終的には『人生最高』って言えるような最終公演にしたいと思います」と話し、「イッサイガッサイ」「Have a nice day!」へとつなげる。さらにアルバム『嘘と煩悩』について「みんなもすごくリアクションしてくれて、やっぱりオリジナルアルバムはいいなと思いました」と語った後、「次は“あいつ、ちょっと焦ったんじゃね?”ってくらい早めに出したいと思います。でも、心配なく。俺カッコ悪いものを作るのが苦手なんで」と宣言し、「居場所」「スタート」という“音楽をやる意味”そのものを示すようなナンバーを重ねる。そしてラストはメジャー1stシングルの「音色」。原点とも言える楽曲を最新のスタイルで描き出し、ライブ本編は終了した。

 この日はKREVAの41回目の誕生日。観客の「ハッピーバースデートゥーユー」の合唱が巻き起こるなか、アンコールへ。まずはトロピカルハウス的なフレイバーを加えた「Na Na Na」でブチ上がり、さらに増田有華をフィーチャーしたポップチューン「Sanzan feat.増田有華」を披露した後、リクエストコーナーへ。観客のリクエストに応えて「ACE」「So Sexy」「BESHI」という超レアな楽曲を次々と披露。iPadで歌詞を見ながらカラオケみたいに歌い、観客と軽妙なトークを繰り広げるKREVAもめちゃくちゃ楽しそうだ。最後にシングル曲「トランキライザー」をバンド・バージョンで披露すると、フロアにはこの日最大の高揚感が生まれた。さらに三浦大知が花束を持って登場し、『908フェス』の話をした後、ラストの「もう逢いたくて」へ。オーディエンスに対する感謝が生々しく伝わるこの曲によって、ツアーファイナルはエンディングを迎えた。

 過去のキャリアを引き受けながら、あくまでも“現在”の自分を示し続けることで、ライブという表現をアップデートさせているKREVA。三浦大知も「ずっとライブを観させてもらってますけど、今回は過去最高ですね!」と話していたが、まったく同感である。ソロアーティスト・KREVAの次のフェーズを早く見たい。「クレさん、ホントに慌てたんじゃね?」と言いたくなるくらいのスパンで、新作を待っています。

(文=森朋之/写真=半田安政)

■ライブ情報
『5th Anniversary 908 FESTIVAL in OSAKA 2017』
8月19日(土) 大阪城ホール
出演アーティスト:KREVA / 三浦大知
葉加瀬太郎 / MIYAVI / AKLO and more
開場/開演:17:30 / 18:30
チケット代:7,908円(in tax)
※ U19キャッシュバック(19歳以下のご来場様には当日500円ご返金)
チケット一般発売日:7月8日(土) 10:00〜
問合せ:キョードーインフォメーション 0570-200-888 (全日10:00~18:00)

『908 FESTIVAL in TOKYO 2017』
9月8日(金)クレバの日 日本武道館
出演アーティスト:KREVA / 三浦大知 / and Guest Artists
開場/開演:17:30 / 18:30
チケット代:8,300円(in tax)
※U19キャッシュバック(19歳以下のご来場様には当日500円ご返金)
チケット一般発売日:8月6日(日) 10:00〜
お問合せ:DISK GARAGE 050-5533-0888 (平日12:00~19:00)

KREVAオフィシャルサイト

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