DEATH SIDEがPISSCHRIST、TEAR GASと共演果たした夜ーーISHIYAのメルボルンライブレポ

DEATH SIDEメルボルンライブレポ

 2017年4月21日と22日に、DEATH SIDEでオーストラリア・メルボルンにて、2DAYSのライブを行ってきた。

 筆者がもう一つメインで活動しているバンドのFORWARDで、2014年にオーストラリアツアーを行った際にオーガナイズしてくれた、友人のYEAP(HARDCORE VICTIMレーベル主催、PISSCHRIST、KROMOSOM/ボーカル)が、今回のライブもオーガナイズしてくれた。今回のライブのために、YEAPのPISSCHRISTと、2014年のFORWARDとのツアーを最後に解散したTEAR GASといった、オーストラリア二大ハードコアパンクバンドが再結成してくれるという、なんとも嬉しいライブとなったので、その様子などをレポートしていきたいと思う。

 今回はツアーではなく、DEATH SIDEがメインの2DAYS SHOWなので、ビザを取得した。渡豪直前にLOUDNESSのアメリカ入国拒否騒ぎがあり多少懸念はあったが、前回オーストラリアへ行った際、入国はスムーズだったのであまり心配はしていなかった。しかし、近年の国際事情も考え、最近は他国に行く場合でもビザを申請しているので、ビザを取得し入国した。オーストラリアの入国審査の中でも、今回入国したゴールドコーストの空港は入国審査が非常に楽なので、オーストラリアへ行く際はゴールドコーストから入国すると良いのではないかと思う。

 オーストラリアは物価が非常に高く、タバコ一箱が$25、ビール1パイント$10もするので、日本で物販用のパーカーを作って持って行ったのだが、楽器を持ち、物販のパーカーとTシャツの大きな段ボール箱を持っていけるというのは、ビザのなせる技だろう。空港職員も刺青を普通に入れていたり、バンドをやっている人間がいて話しかけてきたりと、前回と同じようにかなりスムーズに入国ができた。

 ゴールドコーストで飛行機を乗り継ぎメルボルン空港へ到着すると、オーガナイザーのYEAPと、今回泊めてくれる友人のPHILとその彼女が迎えにきてくれていた。

 今回は到着したその日に初日のライブがあるのだが、オーストラリアは日本との時差がほとんど無いので、体調も良好だ。多少の移動疲れはあるものの、夜のライブまでPHILの家で地元パンクスや、アメリカからツアーで来ているSADISTのメンバーと小パーティー。

 そこでの会話の中で、初日の前売りチケットが発売されると、一時間も経たずに320枚のチケットがソールドアウトとなり、追加公演の2日目の前売りに至っては330枚のチケットが15分でソールドアウトとなったことを聞いた。ここまでの事態になる状況は、オーストラリアのハードコアパンクのライブでは非常に稀なこと。嬉しいことであり気合も入る事柄なのだが、$25のチケットが転売価格で$200まで跳ね上がるなど、日本でも起きている問題と同じようなことが今回のライブで起きてしまったようだ。難しい問題であるが、主催者や出演者が今後も引き続き考えていかなくてはいけない課題ではないだろうか。

 午後4時からサウンドチェックがあるために、早めに初日の会場であるTHE TOTEに向かった。今回のオーストラリア・メルボルンの会場は、2カ所共に同じようなつくりで、バーが併設され、喫煙スペースの中庭がある。この日はアフターショーが同じ場所で行われるのだが、2階のスペースもライブができるようになっていて、盛り上がることは間違いない。オーガナイザーであるYEAPの計らいで、DEATH SIDEのメンバーはバーで自由に酒が呑めるようにしてくれた。前述したように、オーストラリアは物価が高いため、これには非常に助かった。

20170520-uy3.jpg
PISSCHRIST at The Tote(写真=NATSUMI ARAKAWA)

 この日は、PISSCHRISTの復活や、アメリカからアジアツアーを終え、オーストラリアツアーを行なっているSADISTの出演もあり、観客は超満員。400人以上の観客が詰めかけてくれたようだ。前回FORWARDでまわったツアーの際に仲良くなった友人もたくさん来てくれ、シドニーの友人のバンドも出演するなど、個人的にも楽しみな一日だった。そしてPISSCHRISTが始まると、観客席はダイビングの嵐で熱狂の渦。客席で観ていたが、あまりにも素晴らしいライブに度肝を抜かれた。現在活動していないのが非常に残念であると共に、この日のために再結成してくれた気持ちに答えなくてはならないと、気持ちも昂ってきた。観客の盛り上がりに刺激され、いよいよDEATH SIDEのオーストラリア初ライブの時間になった。超満員の観客の盛り上がりは凄まじく、日本のライブで踝を剥離骨折していた筆者だったが、客席に入り観客にもみくちゃにされながら歌うと、筆者をリフトアップし、クラウドサーフのような状態に。プレイヤー陣のまとまった演奏があるからこそ、こういった自由なパフォーマンスができる。この日のライブは観客と一緒にもみくちゃになる興奮状態のライブで、DEATH SIDEが再始動してから今まで活動をしてきたことによる安心感がもたらす、非常に盛り上がったライブとなった。

20170520-iy4.jpg
DEATH SIDE The toteでのライブ(写真=NATSUMI ARAKAWA)
20170520-iy5.jpg
客席で歌う筆者(写真=NATSUMI ARAKAWA)

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「音楽シーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる