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Linkin Parkがアップデートした“自身の理論” 新作『One More Light』をバンドの変遷から紐解く

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 Linkin Parkが待望のニューアルバム『One More Light』を5月19日にリリースする。前作『The Hunting Party』が2014年6月発売なので、およそ3年ぶりということになる。ここ数作はほぼ2年間隔で新作を届けてくれていたので、彼らにしては比較的空いたような気がする。しかも前作に伴う来日公演が実現していないので(最後の来日公演は2013年8月の『SUMMER SONIC 2013』)、その渇望感はこれまで以上だったのではないだろうか。

 彼らが新作をリリースすると正式にアナウンスされたのは、今年2月のこと。アルバムの5月発売、11月の来日公演発表とあわせて、アルバムからの先行トラック「Heavy feat. Kiiara」の配信もスタートした。だが、待ちに待ったこの新曲は彼らのファンのみならず、音楽シーン全体に大きな反響を及ぼすこととなった。

 思えば、Linkin Parkはアルバムをリリースするたびに、毎回賛否を呼んできた。それはいつから始まったのだろうと振り返ってみたのだが、おそらく2007年の3rdアルバム『Minutes to Midnight』からだったはずだ。

 Linkin Parkは2000年、『Hybrid Theory』と題したアルバムでメジャーデビュー。クリーン&スクリームを駆使するチェスター・ベニントン、ラップを軸とするマイク・シノダという2人のシンガーを擁するスタイル、ギター、ベース、ドラムにDJというバンド編成で適度にヘヴィかつメロウ、そこにラップが乗るという“ニューメタル”の枠で語られることが多かった。ニューメタルとはヘヴィメタル/ラウドロックにおける「ヘヴィだが聴きやすく、ラップなどを取り入れたグルーヴィなビート&サウンドが特徴」のサブジャンルのひとつだが、どちらかというと揶揄で使われるイメージが強い。

 そんな揶揄をものともせず、「雑種の理論」と命名されたLinkin Parkのデビュー作はBillboard 200(アルバムチャート)で最高2位まで上昇し、1000万枚以上ものセールスを記録。彼らは一躍時代の寵児となり、2002年にはヘヴィロックのみならずヒップホップやエレクトロ、インダストリアルなど文字どおりの雑種感を打ち出したリミックスアルバム『Reanimation』もヒットさせる。さらに2003年には2ndアルバム『Meteora』を発表。『Hybrid Theory』の延長線上にある作風の同作は全米1位を獲得し、前作に次ぐ好セールスを記録した。この初期2作がLinkin Parkのベーシック、と考える者は今でも少なくないようだ。それにより、彼らはこの先幾多の苦難と遭遇することになる。

 ライブ作品『Live In Texas』(2003年)、ジェイJとのコラボEP『Collision Course』(2004年)を経て、2007年に発表されたのが通算3枚目のスタジオアルバム『Minutes to Midnight』。先に触れた、彼らが賛否を呼ぶきっかけとなった1枚だ。もはや世界的な人気バンドとなったLinkin Parkが前作『Meteora』から約4年ぶりの新作をリリースするということで、当時は相当盛り上がったと記憶しているが、最初に届けられたシングル「What I’ve Done」を聴いて多くのものは驚きを隠しきれなかったはずだ。なにせそれまでの“ラップやスクリームが入ったメロウなヘヴィロック”というスタイルではなく、至極まっとうかつストレートな歌モノロックだったのだから。チェスターは淡々と歌い、マイクはマイクロフォンの代わりにギターを手にして演奏に加わる。これをニューメタル、いやヘヴィロックと呼んでいいものか? そう複雑な気持ちになったに違いない。アルバム自体もヒップホップの要素は減退し、スタジアムロック的な要素が急増しているのだから。

 だが、彼らの変化はこんなものでは終わらない。2010年の4thアルバム『A Thousand Suns』ではマイクのラップ、チェスターのスクリームは前作より増えているものの、サウンド自体はエレクトロの色合いが強まり、打ち込み主体の楽曲が増えている。続く2012年の5thアルバム『Living Things』もその傾向は変わらないが、それ以前の初期3作でのカラーも散りばめられ、若干集大成感も匂わせている。そして2014年の6thアルバム『The Hunting Party』では再び『Living Things』での試みを放棄し、メンバーがキッズ時代に憧れたハードコアやオルタナティヴロックを現代的に解釈。発売当時は「Linkin Parkが再びロックに帰還した!」という声もあったが、いざ蓋を開けてみたら多くのファンが望む『Hybrid Theory』路線ではなかったことで非難の声が上がった……『Hybrid Theory』の幻影を追い求める者たちにとっては、『Minutes to Midnight』以降の作品はすべて“期待はずれ”以外の何物でもないのかもしれない。

 しかし、本当にそれらの作品は駄作だったのだろうか。いやいや、そんなことはない。確かに1枚目のような天文学的大ヒット作こそないが、それでもLinkin Parkがここまで世界各国で求められ続けているのは、『Hybrid Theory』だけが好きでバンドから離れた者と同じくらい、『Minutes to Midnight』以降の作品でファンになったリスナーが存在することにほかならない。バンドが17年も第一線で活躍し続けているのだから、多少の新陳代謝だってあるはずだ。

      

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