パスピエはライブバンドとしての強さを得たーー“音楽的DNA”表現したツアー最終公演

パスピエはライブバンドとしての強さを得た

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露崎義邦(Ba)、やおたくや(Dr)、三澤勝洸(Gt)

 緻密なアンサンブルとアイドルポップ的なメロディがひとつになった「おいしい関係」からライブは後半へ。「メーデー」「ハイパーリアリスト」などアルバム『&DNA』に収められたアッパーチューンが重ねられ、会場のテンションも一気に上がっていく。大胡田のステージングも絶品。バレエと日本舞踊を合わせたような美しい動きを見せながら、ここぞという場面では観客を煽りまくる彼女のパフォーマンスは、既存の女性ボーカリスト像にはまったく当てはまらない、独自のスタイルを確立している。ちなみに筆者はここ5年、東京で行われたパスピエのライブはほとんど観ているが、大胡田のボーカルに対して「今日は調子良くないな」と感じたことは一度もない。繊細そうなルックスとは裏腹に(?)じつは相当にタフなボーカリストなのだと思う。

 成田のトラックメイカーとしての資質と生々しいバンドグルーヴが融合した「スーパーカー」でライブ本編は終了した。アンコールでは「シネマ」「最終電車」を演奏。会場の照明が付けられてもコールは止まず、再びステージに登場したメンバーが「フィーバー」を披露し、ツアーはエンディングを迎えた。

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 ライブ中のMCで、成田は「今回はライブハウスとホールをミックスしたツアーだったんだけど、みんなの顔を見てると、どこでどうやるとか、場所は関係ないなと思いました」と語った。きわめて質の高い演奏センスだけではなく、パスピエはライブバンドとしての強靭さも身に着けつつある。今回のツアーを通して5人は、そのことを明確に証明してみせた。なお、今回のNHKホール公演の映像を収録したライブDVD『パスピエ TOUR 2017 "DANDANANDDNA" -Live at NHK HALL-』が8月23日にリリースされることが決定。こちらもぜひチェックしてほしい。

(取材・文=森朋之/撮影=Yosuke Torii、Miku Nakajima)

■セットリスト
『パスピエ TOUR 2017“DANDANANDDNA”』
2017年5月7日(日)NHKホール

1. ヨアケマエ
2. ギブとテイク
3. とおりゃんせ
4. 永すぎた春
5. チャイナタウン
6. やまない声
7. ああ、無情
8. DISTANCE
9. くだらないことばかり
10. ON THE AIR
11. S.S(2017 ver.)
12. おいしい関係
13. トキノワ
14. メーデー
15. マイ・フィクション
16. ラストダンス
17. ハイパーリアリスト
18. MATATABISTEP
19. スーパーカー
<Encore>
20. シネマ
21. 最終電車
<W Encore>
22. フィーバー

パスピエ オフィシャルサイト

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