Creepy Nutsは、いつかのエキストラから最高のエンターテイナーへ 思い出の場所で見せた進化

Creepy Nuts、メジャー移籍発表の一夜を観た

 『助演男優賞』のリリース時に話を訊かせてもらった際、2人は「『朝までずっと話してたけど、結局何も残ってないな』っていうのが、一番贅沢なことだと思う」「だから、それを『面白いもの』に昇華して、みんなに楽しんでもらいたい」と語っていた(参考:Creepy Nuts、“どっちでもない”からできること「ドンキの人ともヴィレバンの人とも、ラップや音楽で戦える」 )が、この日のライブは以前にも増して、会場全体でその魅力を追求するような圧倒的な楽しさがあった。そしてこれはおそらく、その表現の裏側に見え隠れする、受け手に対する信頼があってこそだ。

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 「どっち」や「教祖誕生」といった『助演男優賞』の収録曲のMCで彼ら自身も語っていたが、自分たちがかつて“いつかのエキストラ”だったからこそ、その扉は自らのヘイターを含むあらゆるリスナーに開かれ、ひとたび足を踏み入れれば、全員を最高のエンターテインメントで迎えてくれる――。Creepy Nutsのライブには間違いなく、そうした懐の深さがある。メジャー移籍後の彼らは、自分たちのエンターテインメントをどう発信していくのだろうか。その広がりが今から楽しみになる、現時点での集大成とも言えそうなライブだった。

■杉山 仁
乙女座B型。07年より音楽ライターとして活動を始め、『Hard To Explain』~『CROSSBEAT』編集部を経て、現在はフリーランスのライター/編集者として活動中。2015年より、音楽サイト『CARELESS CRITIC』もはじめました。こちらもチェックしてもらえると嬉しいです。

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