Anlyが1stアルバムに込めた、デビュー以降の経験値「自分の声に対する“好き度”が上がった」

Anly、1stALに込めた“デビュー以降の経験値”

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「いつかは、一発録りでアルバムを作ってみたい」

ーー『anly one』はAnlyさんのいろいろな声の表情が楽しめるアルバムでもあると思います。たとえば思春期の恋をテーマにした「傘」は、「太陽に笑え」などの強い女性像の歌とはまったく声質が違っていて。

Anly:「傘」は高校生の頃に作った曲なんですけど、その時期の気持ちを思い出して歌ったんですよね。学校から家に帰ってたら、いきなりスコールみたいな雨が降ってきて。私は傘を持ってなかったんですけど、「好きな人が偶然通りかかって、傘に入れてくれたらいいだろうな」って思って。

ーー現実と空想が……。

Anly:入り混じってます(笑)。頭のなかに自然に浮かんだ風景を歌にすることが多いんですけど、現実でも妄想でもどちらでもいんです。

ーー「サナギ」もラブソングですが、この曲にも実体験が混ざってるんですか?

Anly:高校のときの友達が年上の人に恋をしていて、その話を聞いたことがもとになってます。その頃、何となくギターを弾いてるときに「この響き、いいな」と思えるコードが見つかったんです。そのコードを弾くと、なぜかその友達の話を思い出すので「じゃあ、あの恋愛の話を歌にさせてもらおう」って。コードの名前はわからなかったんですけどね。後からアレンジャーさんに楽譜にしてもらったときに、それをこっそり見て「あ、こういうコードだったのか」と。

ーー知ってるコードの種類も増えてきました?

Anly:いや、あんまり(笑)。曲を作ってるときは全体のノリとかメロディに集中していて、ギターのコードのことはそれほど気にしてないんです。出来上がった曲に彩りを与えてくれるのが、コードやアレンジだと思っているので。ただ、もう20歳になったので、少しは理論のことも学びたいなと思い始めて。とりあえず五線譜を買ってきたので、自分の曲の楽譜を書き写すことから始めようかなと思ってます。

ーーギターに関してはどうですか? 特にアコースティックギターは、Anlyさんの音楽の重要な要素だと思うのですが。

Anly:そうですね。ミックスのときも、アコギの音を前に出すようにしているので。ライブでもアコギを持って歌うことが多いから、(音源でも)かき消されないようにしたいんですよね。単純にアコギの音が好きっていうのもあるしーーアコギの音を聴くと元気になるんですよ。それがなかったら自分じゃないないかもしれないですね。私は一人っ子なんですけど、ギターのことを兄弟みたいに感じることがあるんですよ。あまりにも近い存在だから、「今日は一緒にいたくない」って日もあるんですけど(笑)。

ーーときどきイヤになるけど、離れることは絶対にないっていう。

Anly:はい。ギターに触らなかった日は、ちょっと調子が狂っちゃうんですけどね(笑)。『ミュージックステーション』に出させてもらったときも、楽屋でギターを弾いてたら落ち着いてきたし、すごく助かってます。撮影のときはギターを持ってないことが多いから、「この手をどこに置けばいいの?」っていつも困ってますね(笑)。

ーー(笑)。アルバムに収録されている「Enjoy」もギターサウンドが楽しめる楽曲ですよね。ライブ感のある演奏も印象的でした。

Anly:レコーディングのときも「盛り上がってるか!」って1人で言いながら歌ってましたからね(笑)。「Enjoy」はライブでやっていてもすごく楽しいです。バンドメンバーもノリノリで演奏してくれるので、笑っちゃいそうになるんですよ。お客さんも楽しそうに盛り上がってくれるし、ライブでは欠かせない曲になってます。こういう力の抜けたロックもやってみたかったんですよ。

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ーーオーセンティックなロックにもいろんな表情がありますからね。「FIRE」みたいにハードな曲もあれば、「Enjoy」のようにリラックスした雰囲気の曲もあって。

Anly:いろんなテンションのロックをやりたいんですよね。1stアルバムの制作中も「次はこんな曲をやってみたいな」っていうイメージがどんどん湧いてきて……。曲を作ってるときもそうなんですよね、私。たとえばタイアップの曲を書いてるときも、その途中で別のメロディが5〜6個くらい浮かんできて。たぶん、私のクセなんだと思います。

ーー曲が出来なくて悩むことはない?

Anly:メロディはどんどん浮かんでくるので、あとは人生経験を積むことかなって思ってます。いろんな場所に行って、そこで目にしたものだったり、思い浮かんでことを歌詞にしたいなって。場所によって、出て来る曲も変わってくるんですよ。伊江島にいるときはゆったりしたカントリー調の曲が多かったんですけど、都会にいると速くて鋭いロックが増えてきて。「もっと人の気持ちを分かるようになりたい」という気持ちもありますね。悲しいことを経験したいわけではないんですけど、もっと人の気持ちをくみ取れるようになりたいんですよね、人として。そのためには人との関わりを大事にしないとなって。

ーーいろいろな音楽を聴いて幅を広げることも大切ですよね。

Anly:うん、そう思います。FM802のラジオ番組で1カ月に1曲カバーを披露していて、そのときに学ぶこともすごくたくさんあって。星野源さんの「恋」やエド・シーランの「Thinking Out Loud」などのヒット曲をカバーしてるんですが、他のアーティストの楽曲を解釈して、自分が歌う曲としてクオリティを上げていくのはすごく勉強になるんですよ。最近、アデルの「Hellp」をカバーしたんですけど、そのアレンジも気に入ってます。アデル、いいですよね。すごくソウルフルだし、自分のことを包み隠さずに歌ってるところもすごいなって。エド・シーランの新作(『÷(ディバイド)』)も好きで、毎日欠かさず聴いてます。世界中を旅するなかで制作されたアルバムだから、いろんな国の音楽の感じが入ってるんだけど、ちゃんと自分のフィルターを通すことで聴きやすい音に変換されていて。芯がブレてないのも強いし、自分の人生を歌にできるって素晴らしいなって思いますね。

ーーライブについても聞かせてください。『新宿スワンII』のイベント(1月18日/横浜アリーナ)など大きな会場で歌うことも増えてきましたが、ライブに対する意識も変わってきてますか?

Anly:「いろんな土地で歌いたい」という気持ちはずっと持っていたので、それが少しずつ実現しているのは嬉しいですね。ライブは曲を直接届けられるチャンスだし、距離が近いライブハウスでお客さんが一緒に口ずさんでいるのを見ると、特別な気持ちになるんですよ。私がいろんな音楽を普段から聴いているように、私の曲を聴いてくれてる人がこんなにいてくれるんだなって実感できるというか。バンドのメンバーともどんどん関係が深まっているんです。制作のときと同じように「ここはこんな感じでやってほしい」という意見も言えるようになったし、それをミュージシャンのみなさんが形にしてくれて。アルバムの曲を演奏するのも楽しみですね。自然と手が上がったり、歌ってくれるようなライブができるようにがんばりたいです。

ーー「この会場で歌ってみたい」という目標はあるんですか?

Anly:やっぱり『FUJI ROCK FESTIVAL』ですね。フジロックが始まったのは1997年で、私と同い年なんですよ。デビューした年に初めて行かせてもらったんですけど、大自然のなかでいろんな音楽が聴けるのは本当に素晴らしいなって。『Woodstock Music and Art Festival』みたいじゃないですか。

ーーフジロックに行ってウッドストックを連想するところもAnlyさんらしいと思います。やっぱりあの時代の音楽が軸になってるんでしょうね。

Anly:魂を音にしているという感じがいいんですよね。どんな曲であっても「俺の魂を聴いてくれ!」みたいな感じがあるというか。私もそうですけど、いまはどうしてもクオリティを求める傾向があると思うんですよ。それはそれで良いなって思うけど、あの時代はそうじゃなくて、その瞬間の気持ちをそのまま表現してたんじゃないかなって。私もいつかは、一発録りでアルバムを作ってみたいですね。それが出来るようになるのは、アーティストとしても人間としても成長したときだと思うので。

ーー既に新しい作品のアイデアも浮かんでいるということなので、この先が楽しみです。次はどんなことをやってみたいと思ってますか?

Anly:いちばん好きなのはアイリッシュ、カントリーなんですよね。アメリカのカントリーの節回しを日本語で表現するには、どうしたらいいだろう? ということをずっと考えていて。フィドルなども取り入れてみたいし、次のアルバムに向けていろいろと試してみたいと思っています。

(取材・文=森朋之/写真=はぎひさこ)

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『anly one』初回限定版
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『anly one』通常盤
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「JTA日本トランスオーシャン航空」ロゴ

■リリース情報
1stアルバム『anly one』
発売:4月26日(水)
価格:初回生産限定盤(CD+DVD)¥3,000+税
通常盤(CDのみ)¥2,700+税
※初回生産限定盤は紙ジャケット仕様

<収録曲(タイアップ情報)>
1.太陽に笑え(関西テレビ・フジテレビ系火10ドラマ『サイレーン刑事×彼女×完全悪女』主題歌)
2.FIRE(「JTA日本トランスオーシャン航空」CM曲)
3.笑顔(読売テレビ・日本テレビ系スペシャルドラマ『ぼくのいのち』主題歌)
4.この闇を照らす光のむこうに(日本テレビ系 日曜ドラマ『視覚探偵 日暮旅人』エンディングテーマ)
5.サナギ
6.傘
7.カラノココロ(テレビ東京系アニメーション『NARUTO-ナルトー疾風伝ー』オープニングテーマ)
8.Enjoy
9.だから(映画『新宿スワン2』劇中歌)
10.レモンティー
11.いいの
12.Don’t give it up!
13.EMERGENCY(カンテレ・フジテレビ系、連続ドラマ『僕のヤバイ妻』オープニングテーマ)
14.Come back

<DVD収録内容>※初回生産限定盤のみ
Anly 1st Anniversary Live@SHIBUYA eggman (2016/11/25)
1.太陽に笑え
2.Bye-Bye
3.傘
4.いいの
5.Enjoy
6.EMERGENCY
7.カラノココロ

■ライブ情報
『Anly 1st Live Tour 2017“anly one”』

6月09日(金)ell.SIZE(名古屋)
OPEN18:30/START19:00

6月10日(土)南堀江knave(大阪)
OPEN17:30/START18:00

6月17日(土)原宿アストロホール(東京)
OPEN17:30/START18:00

6月18日(日)桜坂セントラル(沖縄)
OPEN16:30/START17:00

前売り¥3,500(税込)/当日券¥4,000(税込)
席種:オールスタンディング
※別途1ドリンク代¥500

■関連リンク
Anly 1st Live Tour 2017 ”anly one” 特設ページ
Anly「anly one」情報サイト

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