GLIM SPANKYが深めた“スタイル”への確信「『自分たちは自分たち』という気持ちを持ててる」

GLIM SPANKYが深めた“スタイル”への確信

「やってきたことはムダじゃなかった、よかった」みたいな感じがあった(亀本寛貴)

ーーあの、誰かが売れると同じようなバンドが次々と出てくるのが音楽業界だ、みたいな印象を昔は持ってたんですけど、業界の前にライブハウス界隈がまずそうなるんですよね。似たようなバンドがドッと増えて。

松尾:そうなんですよね、ほんとに。

ーーアマチュアの方がプロ以上に流れに乗る、だからそうじゃないバンドはプロ以上に浮くっていう。

松尾:ああ、確かに。

亀本:そうだよね。今Suchmosみたいなバンド、めっちゃ増えてるかな?(笑)。僕らがライブハウスでやってた時は、毛皮のマリーズとかTHE BAWDIESの人気が出始めた頃だったんで。そういうバンドめっちゃ増えた。

松尾:めっちゃいたね。あと、神聖かまってちゃんが出てきた時は、ああいうヤバい感じのバンドがいっぱいいたし。ほんと早いと思います、移り変わりは。

ーーだから、そんな中で、ここを抜け出してプロにいったらこんなことはなくなるだろうと思ったら、またもや「あれ?  あんまり変わらないぞ」ってなるわけじゃないですか。

松尾:(笑)そうですね。

ーー「フジロックではウケたけど、ほかではそうでもなかったりするぞ」とか。

松尾:そうなんですよ。だからおもしろいですね。フェスによって……いつもは全然対バンしないバンドとか、たとえばアイドルとかのTシャツを着てる人が、私たちの曲でも一応ノッてる、みたいな光景が、すごいおもしろくもあり、不思議でもあるっていう。

亀本:うん。でも、2015年にフジロックに出て、2016年はいっぱいフェスに出ていく中で、だんだん「フェスに行っている人たちにも少しずつ存在を知られるようになってるぞ、僕ら」っていうのを感じるようになって。年末のCOUNTDOWN JAPANも、2015年はすごいスカスカだったんですけど、2016年はけっこうお客さんが入ってくれて。

松尾:そうだったね。

亀本:だから「やってきたことはムダじゃなかった、よかった」みたいな感じは、すごくありましたね。

ーーだから、この『I STAND ALONE』の5曲を聴くと、「あ、これでいいんだな」っていう確信を深めながら曲が作られていった感じがして。前はいろいろ戸惑いながらも「でもやるんだ!」っていう感じだったのが、もっとのびのびと「浮いてても大丈夫なんじゃん!」っていう感じになったような。

亀本:そうですね、今回は。

松尾:もうそのとおりで。なんかもう、逆に行った方が……自分たちが浮いてるって方向に行った方がいいんじゃないかと。だからそっちに完全に振り切って、好きな曲ばかりをやったっていう。ほんとに趣味というか……まあ今までも好き勝手作ってましたけど、今回、タイアップがない状態から作り始めたっていうのが、特に大きくて。ほんとに好き勝手できたんで、クリエイティブな面ではすごく楽しくて。実験してるみたいなワクワク感がありましたね。

亀本:タイアップの曲とかは……「自分たち、こんな曲できるのかなあ?」っていうぐらいの領域に行ってたんですよね。たとえば映画『ONE PIECE FILM GOLD』に書いた「怒りをくれよ」ぐらい速い曲って、デビュー前はなくて。デビューしてからドラマの主題歌で書いた「褒めろよ」から、どんどんそういうのができるようになってきて。っていうふうに、新曲を作るたびに自分たちの未知の領域に踏み込む曲が多かったし、その作業は新鮮だったっていうのはあって。で、今また次の曲を作る時に、それと同じような曲を作っても僕らにとって新鮮じゃないな、っていう気持ちになって、今新鮮だと思うことを自然にやったのがこの5曲だった、っていう流れだと思うんですけどね。

『I STAND ALONE』全曲試聴ティーザー映像

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