WHITE ASHが取り組んだ斬新な表現方法 ライブ中心にその軌跡を振り返る

 これまで、WHITE ASHのライブにはファンを楽しませる工夫がたくさん仕掛けられていた。2015年に渋谷CLUB QUATTROで開催した『Charity LIVE 'Cycle' 2015』(WHITE ASH、音楽で“つながった”渋谷クアトロ公演レポ レア曲やファンとのセッション披露も)では、抽選で選ばれたファンが、メンバーと一緒に好きな曲をステージ上で演奏するという特別企画が披露された。その翌年には、ライブを意識して制作されたという『SPADE 3』を携え、赤坂BLITZにてツアー『Emperors And Dumbasses』のファイナル公演(WHITE ASH、ツアー最終日赤坂BLITZ公演をレポート 自身最多ツアーで作り上げた“ライブ”とは)を開催。WHITE ASHのライブに初めて足を運んだファンに、楽しみ方を丁寧に伝えつつ、磨きを掛けたライブ演奏でオーディエンス全員を存分に楽しませていた。

WHITE ASH / Pretty Killer Tune 【LIVE Music Video】

 そして、彼らにとって最後のツアー『Sympathy For The Monster』の東京・TSUTAYA O-EAST公演(WHITE ASHが作るその日限りのスペシャルな空間 合成・強化曲で魅了したツアー初日をレポート)では、「楽曲の合成企画」と題し、ファンからのリクエストで選ばれた2曲をMIXして披露した。ツアーで回る各地の会場によって、異なる楽曲の組み合わせを用意。O-EAST公演で見たファンはその斬新な発想から生まれたステージに、ワクワクした眼差しを向けていた。ここに記録した3公演以外のどのライブにおいても同じものはなく、メンバーとファンとのつながりを感じたステージが強く印象に残っている。

 ライブを通してファンとのたくさんの時間を残してきた彼らが、最後に正式な解散ライブを行わない、というのが悔しい。のび太が、同アルバムリリース日にTwitterに寄せていた「さよならは別れの言葉じゃなくて再び逢うまでの遠い約束」。きっと、これからもWHITE ASHの音楽に初めて出会うファンがたくさんいるだろう。この言葉を頼りに、これから先もWHITE ASHの音楽を繋いでいきたい。

(文=大和田茉椰)

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