MAGiC BOYZが見せた、“第5期”ラストパフォーマンス 『平成28年度 卒業パーティー』レポ

MAGiC BOYZ、“第5期”ラストライブレポ

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 ラップに関してはまだまだ発展途上なマジボだが、MC3人の成長ぶりがとても頼もしい。ステージングを含め研究熱心さが伝わるリュウト、あどけない声質だが小難しいフロウもさらりとこなすトーマ。DJから転向した結果、荒削りながら華のあるMCへと成長しつつあるマヒロ。「DJスキルの進化がハンパない」(ZEN-LA-ROCK)というジョーは、パフォーマンスにおいてもその強心臓ぶりを発揮していた。

 彼らの奮闘ぶりはニューシングル『3.141592』のカップリング曲制作にあたってのドキュメンタリー動画『P!P!P! MiSSiON マジボ、また大人にふりまわされてるってよ』からも伝わってくるのだが、この日はライブ後半でその楽曲群を披露。山梨発のヒップホップユニット・stillichimiyaのYOUNG-Gと甲州弁ラッパー・原田喜照とのコラボによる「『ずら』との遭遇!」は、“原ちゃん”の唯一無二の絶唱フロウに3人が立ち向かうような構成がユニークだ。そして20年選手である餓鬼レンジャーとのコラボ曲「10000000000YEN」は、<地獄の沙汰も金次第>とかましながら偽札をバラまくパフォーマンスがなんともシュール。「ON & ON」では、リリックを手がけた本家GAGLEのHUNGERとともに、“ユニットを続けていく意味”を、熱を込めて伝えているようだった。

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 マジボの卒パといえば、オリジナルメンバーのフウト&ユウトを涙で送り出した昨年の卒パをどうしても思い出してしまうのだが、昨年リリースされた「ありのままでマジボ」と、今年の卒パタイミングでリリースを迎える「3.141592」を、本編ラストにパフォーマンスしたセットリストも象徴的だったと思う。「僕たちMAGiC BOYZは何があっても進みます。ついてきてください」というリュウトのMCに、フロアが大きく沸いた。

 本編終了後に行われたのはアンコール……ではなく、“校長”のNIPPSによるマジボ学園卒業証書授与式(!)。この日をもって中学を25年で卒業するZEN-LA-ROCKはもちろん、各メンバーにもそれぞれ卒業証書が贈られた。そして「カノン」をバックに<ホントはやめないで/けれどもその願いは絶対かなわない>などと綴った、去り行くZEN-LA-ROCKへ贈るラップが、ちょっとだけ涙腺に来てしまった。そんなセットリストのラストを締めくくったのはZEN-LA-ROCKとの想い出が詰まった「Oh!!!受験☆Night Fever」。頑張る人への応援ソングといった趣の楽曲なのに、ミラーボールの光が妙にセンチメンタルな空気を感じさせる。

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 アンコールがかかり、最後の最後に再びドロップされたのは「Do The D-D-T!!」。本編を上回るテンションで繰り出される全力の振りと「成長期!!」のレスポンス。明るく締めた「Oh!!!受験~」にすらエモさを漂わせた“第5期”マジボのラストパフォーマンスは、底抜けにエモかった。「転がる石には苔がつかない」というが、本当にいろいろありながらもアーティストとして転がってきた彼らの明るい未来を、これからも見守っていきたいと思うのだ。

(写真=Shigeo Kosaka)

■古知屋ジュン
沖縄県出身。歌って踊るアーティストをリスペクトするライター/編集者。『ヘドバン』編集参加のほか、『月刊ローチケHMV』『エキサイトBit』などで音楽/舞台/アートなど幅広い分野について執筆中。

MAGiC BOYZオフィシャルサイト

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